Collexia Marketing Casestudy

キット食品戦略事例:「麻婆春雨の素」の顧客離反防止戦略実現のために生活者に行うべき”課題認識”施策

コミュニケーションケーススタディ

「麻婆春雨の素」が置かれているマーケティング環境と、既存顧客の離反防止というビジネスゴールを鑑みた際、最もポテンシャルが高い狙うべきターゲットセグメントは、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」というジョブを持つ人達です。このターゲットの離反を防止する具体的なマーケティング施策について論じます。まずはそもそも当該のジョブを自覚すらしていない、まず課題認識をさせる必要がある生活者に対して行うべき施策を構築します。

T O P I C S

・健康な食事は、手間がかかると思われている。

・つい忙しいと総菜や外食で済ませてしまうが、本当は夫婦で家で食事をしたい。

・夫婦の食事や毎日の生活を妥協しないために、毎日の食事をおいしく健康なまま、楽に準備できることに気づかせる。

戦略のゴール

「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」という認識を顕在化させる。

今回ターゲットとして設定している「意識高めDINKS奥様」の中でも、まだジョブの認識に至っていない消費者は約250万人存在します。この人たちに麻婆春雨の素を買ってもらうためにはまず大前提として、「キット食品をうまく使えば健康も準備の手軽さも実現できる」ことなどに気づかせることが必要です。

発生している障害の解説

平日の夜はわざわざ調理することが手間に感じる

何故、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」という課題認識が浸透していないのでしょうか。この提案を受け入れる事ができる文脈に必要な要素を探っていきます。意識高めDINKS奥様のカスタマージャーニーを分析し問題を見てみます。

総じて意識高めDINKS奥様は「平日の夜はわざわざ調理することが手間に感じる」という障害によって、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」という認識に至っていないと考えられます。特にジムに通った日や、残業で遅くなった日などで、この障害がよく発生するようです。この障害に着目して、ブランドが現在機会損失して取り逃している可能性がある250万人の潜在顧客のカスタマージャーニーを動かす施策を講じていきましょう。

ターゲットインサイト

本当は忙しい平日の夜も、 夫婦いっしょに食事をしたい。 "昔は食事も自分で作り、家事もしっかりこなす自分でありたいと思っていたが、今は時間が無いとつい自分が苦手な料理は手を抜き、仕事や体形維持のための運動に時間を割くようになった。その結果、夫婦の時間が前よりも少なくなってしまっており、できるだけ食事の時間を合わせたり、休日は一緒にいられるようにしている。"(38歳 女性 滋賀県)

【規範的価値】”夫婦いっしょに仕事も健康も全力”な自分である

この生活者は、「仕事もしっかりこなし、家族や自身の健康も両立している夫婦だと見られたい。」という、”夫婦いっしょに仕事も健康も全力”な自分であることを、自身の根底にある規範価値として抱いています。

 

【反規範的な認識・行動】

しかし、「ジムに通った日は調理せずに済む食事で済ませる」 「遅くまで残業すると外食しがちになる。」といった障害が起こっているために(反規範的行動の原因)、自分で夕食の準備をしなくなっている状態になってしまっている、という現状です(反規範的な行動)。ブランドはこの差分を埋める役割を担うべきです。では、この反規範的な行動の原因を解消する為に、ブランドがどのような価値提案を行えばよいでしょうか。

 

ストーリーテリング

「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」は可能であることに気づかせるストーリー

まず、時間が無いことで夫婦いっしょの食卓をおろそかにすると、夫婦仲が悪くなるなど、今後の家庭環境に良くない事が起こりうることを提起する。具体的なストーリーとしては、意識高めDINKS奥様が時間がなくて夕食を自分でつくることを怠る、というシーンが続く事により、夫婦の時間が減り、家庭環境が悪くなり良くない未来になりうる、という描写を行う。そこからキット商品が忙しい共働きの女性のジョブを解決することで、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」ができるという認識に変化させる。

“本当は忙しい平日の夜も、 夫婦いっしょに食事をしたい。”

本当は毎日夫婦で

食卓を囲みたい

インサイト2

忙しいと苦手な料理を

サボってしまいがちになる

健康を意識した食事を

手軽に行いたい

インサイト1

インサイト3

自分の苦手は商品(キット)に補ってもらえばいい 常温で長期保存でき、 これだけですぐ食事が作れる。 余った野菜で簡単アレンジ 野菜たっぷり春雨担々麵風

・・・

・・・

・・・

プロポジション1

プロポジション2

プロポジション3

“夫婦を妥協しない為の、妥協。”

「本当は忙しい平日の夜も、夫婦いっしょに食事をしたい。」というインサイトを持つターゲットに対し、「夫婦を妥協しない為の、妥協。」というプロポジションによって、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」という課題認識を顕在化させることを狙う。次のセクションではこのプロポジション―価値提案を用いたクリエイティブを提案する。

クリエイティブコンセプト提案

何も妥協したくない私は、 5分でかんたん麻婆春雨の素。 私は妥協しない。仕事に家事に子育てはもちろん、すべてをこなせる女性であるために妥協しない。忙しい平日の夜でも、残業から帰った深夜でも、ジムで汗を流した後でも、ヘルシーで時短でおいしい食事を家族で楽しむ事を妥協しない為に―――永谷園 麻婆春雨の素

ゴール

このクリエイティブが狙うゴールは、忙しさのあまり生活を妥協してしまっている部分がある意識高めDINKS奥様に対し、”妥協しないために妥協すべき”という価値に気づかせ、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」を目指せるのだと、課題認識させることがゴール。

人物

ターゲットセグメントである”意識高めDINKS奥様”。兼業主婦で子どもはいない。とにかく忙しい。仕事は残業も辞さないし、仕事が終わればジムに通い健康な生活と体形を心掛ける。でも本当は料理が苦手。料理に時間をかけたくないが、家庭をおろそかにしたくはない。夫婦の時間・夫婦の食卓を大切にしたいと思っている。

対比構造

よく知られている描写

「夫婦の夕食を大事にしたいが時間が無い」

時間が無いとつい自分が苦手な料理は手を抜き、仕事や体形維持のための運動により時間を割いている。その結果、夫婦の時間が前よりも少なくなってしまっており、このままでは良くない、夫婦の時間をもっと増やしたい、とひそかに思っている。

知られていない描写

「夫婦を妥協しない為に、妥協する。」

良い夫婦であるために、毎日の夕食は一緒に自宅で食卓を囲む。おいしさはもちろん、手軽さ、健康にももちろん妥協しない。料理が苦手なら便利なキットを使うという”妥協”はするが、夫婦で食卓を囲むことは妥協しない。

 

反感チェック

今回のコピー・ストーリーについて、ターゲットと同様にDINKS女性に対して提示したところ、自身が反感を感じると回答した人は0%(0人/20人)。同じ回答者に対し、「もし反感・炎上することがあるとしたら、どのような理由が考えられるか」と質問したところ、「ジム通いとか、あまり意識高すぎる内容だと地方に住んでると現実味が薄いかもしれない」等が挙がっている。

測定KPI

課題が顕在化した人の増分を測定

今回の施策の場合、ジョブがまだ認識されていない意識高めDINKS奥様に対し、ジョブがどれだけ顕在化されたかを評価することがこのフェーズにおける指標となります。そのため、キャンペーン展開を行った後に消費者アンケート調査により、施策実施前後で「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」と考える人がどれだけ増加したかを測定する等の方法が考えられます。また、実際に課題認識によってどれだけの購買が実現したかの寄与を測定することで、このフェーズが起こした変化による売り上げへの貢献増分を算出することが望ましいと言えます。

 

まとめ

このように、認識を顕在化させるためのクリエイティブとしては、妥協をしたくない女性が、妥協をしない為に、麻婆春雨の素を選ぶ、という描写を用いて、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」が可能だと気づかせることが有効と考えられます。ではこのクリエイティブについて展開する媒体としては、ターゲットが閲覧するライフスタイル系の雑誌媒体やWEBメディアや、店頭ではヘルシー関連の商品と組み合わせた売り場での展開などが考えられます。以上の様に、「麻婆春雨の素」のカスタマージャーニーを「課題の顕在化」へ進めることが出来ると考えられます。

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”麻婆春雨の素”ケーススタディ

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