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キット食品戦略事例:「麻婆春雨の素」の顧客離反防止戦略実現のために生活者に行うべき”自分ゴト化”施策

コミュニケーションケーススタディ

前回の”ブランド理解”フェーズに引き続き、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」というジョブを持つターゲットセグメントに”自分ゴト化”を促すための施策を検討します。ジョブが認識され、ブランドを正しく理解したターゲットが、ブランドを自分ゴトであると認識させるために狙うべきインサイト、示すべき価値提案について解説します。

T O P I C S

・麻婆春雨の素は、麻婆春雨を食べたいと思われない限り買われないのが現状。

・麻婆春雨の素を、自分の家の冷蔵庫の余り食材を消費してくれる保存食品、という役割を持たせられることを知ってもらう。

・冷蔵庫の食材をやりくりするための麻婆春雨の素、として自分ゴト化させる。

戦略のゴール

アレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫のあまり食材もおいしく処理できそう、と期待を感じさせる。

今回ターゲットとして設定している「意識高めDINKS奥様」の中で、まだ”自分ゴト化”に至っていない消費者は約180万人存在します。この人たちに麻婆春雨の素を買ってもらうためには、「"麻婆春雨の素"をつかってつくるアレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫のあまり食材もおいしく処理できそう」だと自分ゴトにさせることが必要です。

発生している障害の解説

麻婆春雨はそれ単体で完結しているので、麻婆春雨をどうしても食べたいとき以外は買わない

何故、「”麻婆春雨の素”をつかってつくるアレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫のあまり食材もおいしく処理できそう」という期待が持たれていないのでしょうか。この提案を受け入れる事ができる文脈に必要な要素を探っていきます。意識高めDINKS奥様のカスタマージャーニーを分析し問題を見てみましょう。

総じて意識高めDINKS奥様は「麻婆春雨はそれ単体で完結しているので、麻婆春雨をどうしても食べたいとき以外は買わない」という障害によって、「”麻婆春雨の素”をつかってつくるアレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫のあまり食材もおいしく処理できそう」という認識に至っていないと考えられます。特に売り場で他の中華おかずと並んで売られている際に、このような間違ったブランド理解に至ることがあるようです。この障害に着目して、ブランドが現在機会損失して取り逃している可能性がある180万人の潜在顧客のカスタマージャーニーを動かす施策を講じていきましょう。

ターゲットインサイト

麻婆春雨の素は、 麻婆春雨を食べたいときだけに買うもの。 ”昔はスーパーに行ったときに麻婆春雨が食べたい、と感じたら麻婆春雨の素を買っていた。しかし今はスーパーで麻婆春雨を食べたいと思う前に、いくつか家に買いだめするようになった。その結果、野菜が余ったときに麻婆春雨の素を使って調理し、残り野菜の消費のために麻婆春雨を使うようになった。”(29歳 女性 東京都)

この生活者にとって麻婆春雨の素は、スーパーで麻婆春雨が食べたい、と思った際に買われるものでした。これにより麻婆春雨の素は「麻婆春雨はそれ単体で完結しているので、麻婆春雨をどうしても食べたいとき以外は買わない」といった認識され、正しい期待を抱かせることが出来ていません。この生活者に正しく麻婆春雨の素から期待を抱かせ、自分ゴト化することが必要です。

ストーリーテリング

「”麻婆春雨の素”のアレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫の余り食材も消費できそう」に気づかせるストーリー

麻婆春雨の素でジョブを解決すると、自宅の余り食材が消費できるという体験を得られ、冷蔵庫の余分な食材を一掃しすっきりできそう、という期待を抱かせる。具体的なストーリーとしてはクライアントブランドでジョブを解決すると、”麻婆春雨の素は、麻婆春雨を食べたいときに買うもの”という認識が、”あまり食材をおいしく消費するために麻婆春雨の素を買い置きしておく”に変わるという体験を描き、その結果、自宅の冷蔵庫に食材が半端に余った状態が、余り食材を麻婆春雨に入れてすっきり消費、になれる、家族やママ友から料理上手・やりくり上手として認識してもらう事ができる。その際に際立たせるべき主人公の感情は、[あきらめ]から[達成感]への変化です。

”麻婆春雨の素は、麻婆春雨を 食べたいときだけに買うもの。”

麻婆春雨を食べたいときしか買う気にならない

インサイト2

麻婆春雨の素は、

アレンジしづらそう

冷蔵庫の余り食材を

捨てるのはもったいない

インサイト1

インサイト3

手を加えずスープにできる 麻婆ソース 春雨担々麵に簡単に アレンジできる 麻婆の濃い味付けは どんな食材にも合う

・・・

・・・

・・・

プロポジション1

プロポジション2

プロポジション3

”余り食材が出たときに 簡単に消費できる保存食”

「麻婆春雨の素は、麻婆春雨の素を食べたいときに買うもの。」というインサイトを持つターゲットに対し、「”余り食材が出たときに簡単に消費できる保存食”」というプロポジションによって、「麻婆春雨の素」をつかってつくるアレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫のあまり食材もおいしく処理できそう、と期待を感じさせ、自分ゴト化を狙う。次のセクションではこのプロポジション―価値提案を用いたクリエイティブを提案する。

クリエイティブコンセプト提案

冷蔵庫のやりくり上手の秘密は、 麻婆春雨の素! 食材を余さず、きれいに消費できるデキる主婦の秘密は、麻婆春雨の素。麻婆の味付けはどんな食材もおいしく食べられて、おかずにも主食にもできて、とってもヘルシー。賢いあなたの台所にストックしておきましょう。―――永谷園 麻婆春雨の素

ゴール

このクリエイティブが狙うゴールは、忙しさのあまり生活を妥協してしまっている部分がある意識高めDINKS奥様に対し、”妥協しないために妥協すべき”という価値に気づかせ、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」を目指せるのだと、課題認識させることがゴール。

人物

ターゲットセグメントである”意識高めDINKS奥様”。兼業主婦で子どもはいない。とにかく忙しい。仕事は残業も辞さないし、仕事が終わればジムに通い健康な生活と体形を心掛ける。でも本当は料理が苦手。料理に時間をかけたくないが、家庭をおろそかにしたくはない。夫婦の時間・夫婦の食卓を大切にしたいと思っている。料理があまり得意ではないので、冷蔵庫の食材を余らせることがあり、もったいないと思っている。

対比構造

よく知られている描写

「麻婆春雨の素は、

麻婆春雨を作るためだけのもの」

キット食品は基本的にその料理を作るためのもの、と思っている。アレンジができることは知っているが、料理があまり得意ではないので手を出さない。よって、麻婆春雨を食べたいと思わない限り、買ってくれない。

知られていない描写

「”余り食材が出たときに

簡単に消費できる保存食”」

実は麻婆春雨の素は、保存がきき、濃い味付けなのでいろいろな余り食材を入れてもだいたいおいしく簡単に処理できる。食材が余ったときの為に、自宅に1つ買い置きをしておくアイテムとして持っておく。

反感チェック

今回のコピー・ストーリーについて、ターゲットと同様にDINKS女性に対して提示したところ、自身が反感を感じると回答した人は0%(0人/20人)。同じ回答者に対し、「もし反感・炎上することがあるとしたら、どのような理由が考えられるか」と20名に質問したところ、全員が「思いつかない」という回答だった。

測定KPI

自分ゴト化した人の増分を測定

今回の施策の場合、ジョブがまだ認識されていない意識高めDINKS奥様に対し、ジョブがどれだけ顕在化されたかを評価することがこのフェーズにおける指標となります。そのため、キャンペーン展開を行った後に消費者アンケート調査により、施策実施前後で「”余り食材が出たときに簡単に消費できる保存食”」と考える人がどれだけ増加したかを測定する等の方法が考えられます。また、実際に自分ゴト化によってどれだけの購買が実現したかの寄与を測定することで、このフェーズが起こした変化による売り上げへの貢献増分を算出することが望ましいと言えます。

 

まとめ

このように、ブランドを理解させるためのクリエイティブとしては、従来は麻婆春雨を食べたいときに麻婆春雨を買う、という状況であるのに対し、余り食材を消費するためにあらかじめ買い置きしておく、という描写を用いて、「麻婆春雨の素」をつかってつくるアレンジ担々麵なら、自宅の冷蔵庫のあまり食材もおいしく処理できそう、と期待を感じさせることが有効と考えられます。ではこのクリエイティブについて展開する媒体としては、店頭の麻婆春雨売り場に至る前に接触する必要があるため、TVCM等のマス媒体での訴求が有効と考えられます。以上の様に、「麻婆春雨の素」のカスタマージャーニーを「自分ゴト化」へ進めることが出来ると考えられます。

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”麻婆春雨の素”ケーススタディ

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