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キット食品戦略事例:「麻婆春雨の素」の顧客離反防止戦略実現のためのターゲットとは

ターゲットケーススタディ

キット食品カテゴリで売り上げ上位である「永谷園 麻婆春雨」は、ターゲットセグメントに対し、どのようにマーケティングを展開すべきか?本記事ではキット食品が狙うべきターゲットセグメントについて分析し、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食づくり」というジョブに対して行うべきのターゲティング指針を解説する。

T O P I C S

・麻婆春雨を買わなくなった消費者の離反を防ぐための戦略を紹介。

・狙うべきターゲットは、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食づくり」というジョブを持つ、意識高めDINKS奥様層。

・”夫婦いっしょに仕事も健康も全力”を実現できるブランドとして、”麻婆春雨の素”をポジショニングする。

ブランドの現状とゴール

意識高めDINKS奥様層のうち課題認識に至っている人は半数。購入までの全フェーズへの施策実施必要。

今回ターゲットとして設定しているのは、麻婆春雨の素を利用しうる消費者の中でも「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食づくり」というジョブを持つセグメントです。以後このセグメントを「夫婦で自分磨き、意識高めDINKS世帯の共働き奥様(または”意識高めDINKS奥様層”)」と呼称し解説していきます。

 

予算効率性の診断とターゲット精緻化

意識高めDINKS奥様層は、麻婆春雨の素のビジネスターゲット全体(日本全国 女性全体)の内22%を占め、約600万人と推定されます。まず、このセグメントにおける麻婆春雨の素のブランド診断を行います。図では”麻婆春雨の素”のマーケティングKPIの集計値を掲載しています。ターゲットである意識高めDINKS奥様層の潜在層100%ライン(赤、獲得限界線)に対して、[認知獲得]、[課題認識]、[物性理解]が過剰投資になっています。女性全体に対するこれらを目的としたコミュニケーションはこれ以上必要なく、ターゲットを意識高めDINKS奥様層に絞って予算を再配分することがコスト効率性の向上に繋がります。

 

250万人

効率的な予算の使い方

意識高めDINKS奥様層の内、”手軽&ヘルシーな夕食の準備”というジョブを既に持っている顕在顧客は約300万人です。この層はすでにジョブを認識しておりジョブの解決を望んでいるため、余剰予算の再配分はまずこの層に対して行うと成果に結びつきやすいでしょう。特に優先して伸ばすべきは、[自分ゴト]、[比較]、[確信]です。これらのフェーズを現在の顕在顧客数である300万人のライン(青)まで伸ばす為の施策へ予算を回すべきです。また、潜在顧客600万人の内、50%がまだジョブを認識していないという状況でもあります。従って、この残り50%の潜在顧客に”手軽&ヘルシーな夕食の準備”というジョブを認識させて顕在顧客総数を増やす施策も同時に打つことで、売上拡大を目指していけると考えられます。

 

現状のカスタマージャーニーとコミュニケーション上の課題

意識高めDINKS奥様は、夫婦で家庭も健康も大事な生活を送りたいが、忙しさが障害になっている。

では次に、このターゲットが日常においてキット食品に関与していくカスタマージャーニーマップを描き、麻婆春雨の素の購買へ至らせるまでに発生している課題・障害についてみてみましょう。図のように、山崎さん(仮名)は昼は会社に勤務し、帰りにジムに通い、その後に自宅で家事を行う、という生活をしており、食品を買うときはジムから自宅への帰りに近所のスーパーを利用することが多い。ジム通いは夫と一緒に以前より続けており、平日の食事は糖質を控えつつ野菜やたんぱく質を中心に考えて献立を作っています。

このターゲットが生活の中で目標としていることは、「仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」であり、それは本人にとって、「夫婦いっしょに仕事も健康も全力」という規範価値があることから生まれている。よってこのターゲットに対しポジショニングするには、共働きのため忙しい毎日ではあるが、ジムに通いトレーニングと食事にも気を使い、健康で互いに高めあうことが出来ている夫婦、という自分であることを叶えられるように、キット食品をポジショニングすべきと考えられる。

BrandJob

”夫婦いっしょに仕事も健康も全力”を実現できるブランドとして、”麻婆春雨の素”をポジショニングする。

では、このターゲットへのポジショニングを実現するためのフローを設計します。このターゲットが現状遭遇しているフロー上の障害をクリアし、ドクターシーラボの新規購入を起こすために必要な変化まとめたBrandJobを各フェーズごとに解説していきます。

 「忙しい時でも手軽&ヘルシーな夕食の準備」はできると気づかせる。

1. ジョブを認識させる

 

まず”ジョブの認識”段階では、ターゲットに対し、自身で気づいていないかもしれないジョブに気づかせます。今回のキット食品のマーケティングにおいては、「忙しい時でも”手軽&ヘルシーな夕食の準備”」という認識を顕在化させる必要があります。まだジョブの認識に至っていないターゲットは、キット食品を使って手軽でヘルシーな夕食を作る、という考えに至ってすらいないかもしれません。なので「キット食品をうまく使えば健康も準備の手軽さも実現できる」ことなどに気づかせることが必要です。

 「濃いめで旨味も豊富な麻婆ソースは、そのままスープにできる」

2. ブランド特性(物性)を理解させる

次に、”理解”の段階では、麻婆春雨の素が認識したジョブを解決できるかもしれないと期待させます。今回の場合、麻婆春雨の素の”濃いめで旨味も豊富な味付けの麻婆ソース”について、「これなら他の調味料を使わなくても主食にアレンジできそう」と理解させることで、「麻婆春雨の素」は自分の課題を解決できるブランドたりうると感じさせます。例えばライフスタイル系雑誌とのコラボなどにより、「麻婆春雨の素」によるヘルシー系アレンジレシピ特集を行う等、麻婆春雨の素が”手軽&ヘルシーな夕食の準備”を実現してくれるブランドであると知ってもらう必要があります。

 「あまり野菜も消費してヘルシーな料理ができる」

3. ブランドを自分ゴトにさせる

その後”自分ゴト化”の段階で、ジョブがブランドにより解決された後の体験について、顧客にとって理想的な主観的予測を成立させます。具体的には、「自分が麻婆春雨の素を使えば、仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備ができそう」という期待を抱かせた状態です。例えば共働きで忙しい女性がついつい余りがちな自宅のあまり食材も、麻婆春雨の素を使えば手軽にヘルシーかつ、自分がいま抱えている問題も解決してくれそうだ、と予測されるようにする必要があります。

 「これだけで主食が賄える。他はいらない。」

4. 競合ブランドを選ばせない

次に”比較評価と心理的な解雇”の段階では、他の代替品、代替アプローチではなく、自社ブランドであるべきと認識させます。今回のキット食品の場合、時間をかけずに調理を済ませる方法は他の商品にもありますが、「麻婆春雨の素を使わず、野菜炒め等のおかずを作ることで余り食材を消費しようとすると、主食などの準備も必要になる。」という差異に気づけば、”麻婆春雨の素”を他の代替手段よりも積極的に選ぶ理由が作れます。また、麻婆春雨の素が自分の課題を解決してくれそう、と思ってもらえたとしても、今まで使っている商品や方法を捨てさせなければいけない、という関門があります。従来の商品や方法を選ぶ言い訳として「麻婆春雨の素は麻婆春雨しか作れない」という声に対し、「アレンジレシピで特に追加食材を使わなくても、麻婆春雨担々麵風 を作れるくらい汎用性がある」という差異にに気づかせるといった対応が必要です。

 「他の消費者のレシピで確信させる」

5. 確信させる

次に、”確信、納得、得心”の段階で、麻婆春雨の素が体験を通し、”ジョブを解決できる”とターゲットが深く認識します。この段階はターゲットが今までのジャーニーを踏まえ、この商品で大丈夫だと確信を抱く段階です。「麻婆春雨の素を使ったレシピを調べ、他の人やメーカーが作るレシピでも確かに手間がかからなさそうな内容だった」を見つけた体験のような、実際に購買を決めた消費者と同様の体験をさせ、確信を抱かせることが必要です。

 「大容量・標準的な価格・5分で作れる。」

6. 周辺的制約条件をクリアする

そして、購買に至る最後の関門として、”周辺的制約条件の充足”を満たす必要があります。すでに麻婆春雨の素を買うべきと確信しているターゲットであっても、「容量が思ったより少なくて物足りなかった」「あまり値引きされていなかった」など、最後の落とし穴に陥って買われない可能性は残っています。そしてこれらの最低限満たしているべき条件も同時に満たせば”購買”が発生します。

まとめ

意識高めDINKS奥様の、”夫婦いっしょに仕事も健康も全力”を麻婆春雨の素で実現する。

このように、”仕事上がりジム帰りの夜でも手軽&ヘルシーな夕食の準備”というジョブを持つママが持つ、”夫婦いっしょに仕事も健康も全力”というインサイトを満たすパーセプションフローを用いて「麻婆春雨の素」をポジショニングさせることで、既存顧客の離反防止を実現できると考えられます。

具体的にターゲットのパーセプション各フェーズにおいて、起こすべき変化については、次回よりフェーズコンテンツを用いて具体的に解説していきます。

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”麻婆春雨の素”ケーススタディ

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