第2回ウェビナーレポート

変化を捉えたマーケティングプランニング美容・化粧品編

 

~With/Afterコロナの消費者変化からのプランニング~


先日開催したウェビナーでは、弊社代表の村山が登壇し、外出自粛のコロナ禍で苦戦している美容・化粧品にスポットを当て、逆境の中でのマーケティングを大逆転させるための、ブランドが狙って実現すべき顧客体験の設計から、実際にコミュニケーションストーリーを作成し、プランニングまで行うまでを解説・ご紹介しました。

コロナの影響で消費者が変わったことは数値では分かっておりますが、コロナウイルスの影響で売り上げが減少した商品を見ると、外出自粛で美容・化粧品カテゴリが特に減少傾向があります。
では、「コロナの影響で売り上げが下がった」後、どうすればよいのでしょうか。

村山は、「売上が下がった」という定量的な変化の中に埋もれている、「それでも買ってくれている人」のナラティブ(消費者の語り)を分析し、美容・化粧品カテゴリの勝ち筋、成功パターンをみつけて再現し、ブランドが狙って実現すべき顧客体験を設計することで逆境を越えられる答えがあると述べました。

1.化粧品カテゴリを読み解き、ナラティブ(消費者の語り)を施策に落としこむ為のフレーム「アクセプターモデル」

では、「それでも買ってくれている人」の勝ち筋、成功パターンを再現するにはどのように行えばよいのでしょうか。

村山は、延べ5,000件以上のカスタマージャーニーを作成する中で生まれた「ブランドが生活者に受け入れられるプロセス」を一般化した構造である「アクセプターモデル」を紹介し、ナラティブを分析するための手法を述べました。

「アクセプターモデル」とは、ナラティブを観察して得られた情報を組み立て、商品やサービスなどのブランドが顧客に価値として受け入れられるときに共通する価値成立のプロセスを、4段階のモデルでとらえたものです。


アクセプターモデルについて詳しくはこちらから。

このアクセプターモデルを使いナラティブデータを集めることで、実際に顧客を獲得できた変化の体験のナラティブから逆算して、同様の顧客獲得を再現できるストーリーをつくることができると言い、実際にアクセプターモデルの分析の考え方を使い、実際の美容・化粧品カテゴリのナラティブを分析します。

2美容・化粧品カテゴリのナラティブ分析の結果」

実際にアクセプターモデルを使って集めた、美容・化粧品カテゴリのコロナ前後で変化のあった消費者のナラティブを各カテゴリで見ていくと、以下のような特徴があったと村山は話しました。

・「化粧水」を購入・利用したナラティブ

元々メイクに手間をかけたくないと考えていた女性が、コロナ後にマスクをするようになり、ムレを避けたいので「さっぱりした化粧水で肌をさらっと保ちたい」と思うようになり、さっぱりした使用感の化粧水を利用するようになった。

・「美容液」を購入・利用したナラティブ

元々しっかりメイクはしていてコロナ影響でマスクするようになった女性が、メイクも薄くなったので肌の根本から綺麗になりたいと思うようになり、美容液を利用するようになった。

・「ファンデーション」を購入・利用したナラティブ

マスクをするがファンデーションはしたいので、マスクにつきにくいものをさがした女性は、ファンデーションを利用することで、顔が明るくなり、気持ちが上向き、自分に自信が持てるようになった。

・「アイシャドウ」を購入・利用したナラティブ

元々丁寧にメイクしていたが、外出が減って気分も落ちてきた女性が、アイシャドウを利用することで、元気で明るい気持ちになったりしたいと考えるようになった。

・「リップ」を購入・利用したナラティブ

メイクにそこまで力を入れていなかったが、コロナの影響で本当にメイクする必要がなくなった女性が、いざ化粧をしなくなると物足りなくなり、マスクでも落ちないティントリップを使うようになった。

村山は、コロナ前後の売上データと照らし合わせ、マスクで落ちにくいことは前提の上で、気分を上げる、笑顔にする、といった「人に見られるよりも自分が楽しめて自分の気分を上げられるか」といった認識が購入されている重要なパターンであると言い、分析したナラティブには、メイクの表面的な便益ではなく、メイクをする行為自体によって自分に自信が付くような便益が実は裏で機能していることが分かると述べました。

5つのナラティブの詳しい分析・解説は、実際のウェビナーの動画でご覧頂くことができます。
ウェビナー動画はこちらから。


3.ポイントメイクでのコミュニケーションストーリー案を実際に作成

続いて、村山はその中でも特にコロナウイルスの影響で売り上げの減少が著しかった「口紅」カテゴリに視点を当て、リップを購入・利用したナラティブから、実際にコミュニケーションストーリーを作成しました。




村山は、ナラティブは語られた事実が成り立つ、隠された認識変化を起こすためのルールを探すように読み、消費者のナラティブから違和感を見つけ、顧客固有の意味付けの癖を見つけて分析すると話しました。


このリップの消費者は、元々メイクを手間に感じていました。ですが、コロナの影響でいざメイクをしなくても良くなったにも関わらず、わざわざリップをしてしまっているようです。では、消費者の「鏡を見るのも退屈になった」の裏には、どのような意味が隠されているのでしょうか。

このナラティブの顧客固有の考え方として「ポイントメイクは丁寧に手入れして見てもらうためではなく、自分自身の気分を高めて笑顔でいるためのものとして機能している」と言い、この「顧客固有の"意味付けの癖"」から、この生活者のナラティブの裏側に隠れているルールは「マスクで隠れるとしても、リップをした自分を鏡で確認することで、1日を笑顔で過ごせるテンションに自分を高めている」と導き出されると村山は述べました。



さらに、生活者のナラティブから価値成立条件の意味付けのルールを見出して、それを「アクセプターモデル」でとらえ、①~④の形でまとめていくことが、ナラティブ分析からアクセプターモデルを使って施策を作るためのブリッヂになると言い、アクセプターモデルで価値成立条件を導いていくと、なぜコロナの影響でマスクで隠れるとしてもリップを買ったのか、それがどういう成り立ちで成立したのかが整理されると述べました。

また、この価値成立条件を、課題が生まれたことで起こる「対立」とブランドがどう対立を「解決」するかを描写することで、ストーリーに落とし込むことができると話しました。

 

まず、「①現状体験」と「②課題感の発生」は元々の当たり前に対し、だがこうしなければならないという対立関係にあるという状態にあります。問題を提起する部分を、価値成立条件をより際立たせるどんな描写を描くかをキーワードとしてあげていくことで描写をつくり、対立で発生した需要に対して、ブランドを受け入れてもらう部分として③④を描写し、需要構造をつくります。

実際に描写にする際には、需要したことはどう描かれるべきか、生活変化とはどういった情景なのかを描くと、具体的なクリエイティブの描写やメッセージやキーワードに落とすことができると述べ、実際にリップのナラティブから作成したコミュニケーションストーリーをご紹介しました。



コミュニケーションストーリー作成の詳しい解説・手法は、実際のウェビナーの動画でご覧頂くことができます。ウェビナー動画はこちらから。(動画閲覧には無料会員登録が必要です。会員登録して頂くと、過去のアーカイブやウェビナー動画を閲覧することができるようになります。会員登録はこちらから。)

このコミュニケーションストーリーは「アクセプターモデル」と対応しており、消費者がブランドの価値を気づいて受け入れている過程を描き、どう価値成立が起こったのかを描写しています。

このストーリーから、「リップを付けることで気分が上がる」「マスクをしていても魅力的に見られる」「魅力的な人の自信はマスクの下のリップが生み出している」ということが価値として伝わることが、このマスクを付けなければいけない中でも、リップをすることの切り口の一つとなりうると村山は述べました。

4.逆境の美容・化粧品カテゴリでの戦い方への提言

村山は、今回の美容・化粧品カテゴリを扱った意味として、環境はマーケティングでは変えられないことがあるが、そんな中でも買ってくれている人がいること、その顧客がその答えを既に持っているんだということが、苦しい中でもマーケティングを上手く進めていくための糸口となると述べました。

今のような逆境の時こそ顧客を見てほしい。顧客にとってブランドがどう映っているかを基に今のブランドをどう変えていくかを考えれば、逆境を越えられる答えが出てくる。と提言し今回のウェビナーは締めくくられました。

 

【次回ウェビナー概要】
実践!変化を捉えたマーケティングプランニング
~With/Afterコロナのお盆休みの過ごし方でのナラティブから読み解く~
開催日時:9月18日(金)16:00~17:15
開催方法:オンラインセミナー(Zoom)
参加費 :無料
入場人数:100名まで(応募者多数の場合は先着順)

概要詳細、お申込みはこちらから