JMA共催 オンラインセミナーレポート



「売れる」の答えは顧客が持っている

~「ナラティブ」から実践する顧客体験マーケティング~



新型コロナウイルスの影響により、多くの商品・サービスの売上が変動しました。その変化の背景には生活者の認識変化があり、ほとんどの生活者はすでに「コロナが過ぎても元通りの生活には戻らない」と自覚しています(自社調べ)。
つまり、今後は「今まで通りの顧客」を想定したマーケティングでは変化に対応しきれず、十分な成果を出すことは難しいと言えます。
村山は、今回はこのように生活者の認識が変化してしまった市場において、マーケティングの新たな成功パターンを顧客から見つける「ナラティブ分析」を紹介し、ブランドが顧客に受け入れられた構造を捉え、ナラティブデータから顧客体験を設計する手法をご紹介しました。

 

1.「ナラティブ」で売上に至った背景の顧客体験を理解する 

村山は、「顧客理解」について、ただ顧客を理解すればよいという訳ではないと述べました。
今はいろいろな顧客データが手に入り、アクセスデータや購買データ、SNSのデータ、アンケート結果など、数字上では生活者の行動が変化したことは明らかになり、顧客をよく知るのみならどのデータでも見ることはできます。
ですが、そのデータからだけでは価値が生まれず、顧客理解をした後、アイデアや企画を生み出して初めて価値が生まれます。



では、マーケターは顧客理解をどう捉えればいいのでしょうか。
村山は、数字を生み出した背景にある顧客体験からアイデアは生まれるとし、ナラティブ分析について解説しました。

「ナラティブ(ナラティヴ)」は社会学・心理学領域で研究され、特に医療領域で活用されている言葉です。医療領域では患者の「語り」を材料に症状を把握し、疾病の特定と具体的に適切な治療や処方が実行できるようにすることを目的としてナラティブが活用されています。

村山はこの患者と医者の関係が、顧客とマーケターの関係に似ているといいます。

商品に対しての語りの裏側には消費者のインサイトがあり、マーケターはその語りの裏にある消費者のインサイトや本当に消費者にあてはまるべき価値は何かを考えて適切なマーケティングを行い、サービスを使用してもらう、買ってもらう必要がある。このように実はこのナラティブという言葉の使われ方は、マーケティングと消費者の関係にも非常に通ずるところがあると村山は述べました。

そして、現在コロナの影響で売上が下がっている業界のひとつである化粧品のリップのナラティブを取り上げ、定量的な変化の中に埋もれている、それでも買っている消費者のナラティブを分析することで、勝ち筋や成功パターンをみつけて再現し、ブランドが狙って実現すべき顧客体験を設計できると続けました。

ではナラティブからどうやって顧客体験をつくるのでしょうか。

 

2「アクセプターモデル」でブランドが顧客に受け入れられた構造を捉える

村山は、顧客にとっての価値が成立した構造に沿ってナラティブを集めることで、成果を出せる顧客体験を作ることができるとし、100以上の商材、5,000件以上の顧客体験を分析する中で、顧客が商品・サービスを受け入れるという瞬間に顧客の頭の中で起こっていることにはある一定の構造があると言い、その構造が「アクセプターモデル」だと述べました。


 
「アクセプターモデル」とは、顧客が商品・サービスを受け入れる構造をモデル化したもので、顧客理解だけではなく、自社商品・サービスで提供すべき顧客体験を設計できる手法です。

アクセプターモデルは顧客が商品を受け入れる構造であるため、アクセプターモデルに沿って顧客体験を分析することで、アイデア頼りの企画作りからの脱却ができるといいます。


 アクセプターモデルについて詳しくはこちらで解説しています。
アフターコロナで変化した顧客体験を4ステップで分析「売れる」を仕組み化する【マンガで解説】

https://webtan.impress.co.jp/e/2020/09/09/37370

 
また、村山はアクセプターモデルを応用することで、競合の狙いを明らかにすることが可能だとし、実際の自動車保険のTVCM2社を例に出し、TVCMの描写をアクセプターモデルに当てはめ、競合がどのような顧客体験が描かれているかを分析し顧客体験構造を読み解くことで、競合の狙いを明らかにし、自社サービスが攻めるべき戦略も見えると述べました。

 

3.ナラティブデータから顧客体験を設計する

続いて、実際にアクセプターモデルを使い、実際のナラティブから顧客体験ストーリーを作るまでの手法例を2つ取り上げて紹介しました。


1つ目はレギュラーコーヒーを飲むようになった男性のナラティブです。このナラティブから、アクセプターモデルに整理し、レギュラーコーヒーブランドが実現すべき顧客体験ストーリーをつくるまでを描きます。

村山は、コーヒーを飲むために「缶コーヒーを都度自動販売機で買っていた」生活者がコロナの影響で自宅で仕事をするようになり、「レギュラーコーヒーを都度淹れる」ことで、「仕事から離れ休憩する時間へと切り替えたい」という生活者の本来解決したかった課題を見つけ、課題感と価値成立の構造を描写すると述べました。




2つ目に、コロナ禍でもリップを購入した生活者のナラティブを読み解き、顧客体験ストーリーを作りました。

このナラティブの生活者は、元々メイクを手間に感じていましたが、コロナの影響でいざメイクをしなくてもよくなったにも関わらず、わざわざリップをしてしまっているようです。このナラティブをさらに読み解いていくと「ポイントメイクは丁寧に手入れして見てもらうためではなく、自分自身の気分を高めて笑顔でいるためのものとして機能している」ということが分かり、この生活者のナラティブの裏側に隠れているルールは「マスクで隠れるとしても、リップをした自分を鏡で確認することで、1日を笑顔で過ごせるテンションに自分を高めている」と導き出されると村山は述べ、この価値成立条件を実際に顧客体験ストーリーとして作成しました。



コミュニケーションストーリー作成の詳しい解説・手法は、実際のウェビナーの動画でご覧頂くことができます。ウェビナー動画はこちらから。(動画閲覧には無料会員登録が必要です。会員登録して頂くと、過去のアーカイブやウェビナー動画を閲覧することができるようになります。会員登録はこちらから。)

この顧客体験ストーリーは「アクセプターモデル」と対応しており、消費者がブランドの価値を気づいて受け入れている過程を描き、どう価値成立が起こったのかを描写しています。

さらに詳しい作成手法や活用方法などの詳細は『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する(Web担選書)』で解説しています。

村山は、「変化してしまった生活者に向けて、どのようにマーケティングを進めていけば良いか?」という問いに対して、「売れる」の答えは顧客がすでに持っており、顧客の変化を読み解いて、「売れる」を再現することができる。と提言し、今回のウェビナーは締めくくられました。

 

弊社では、ナラティブデータから顧客体験を設計するご支援をしております。
顧客体験設計に関するご相談やご依頼はこちらまでご連絡ください。




また、今回のウェビナーでご紹介した顧客体験ストーリー作成以外にも、様々な調査、広告効果測定、コンサルティングなど、企業様の様々なご支援をさせていただいております。