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顧客体験の解説 | カフェチェーン |
「カフェ・ベローチェ」から学ぶ
公式アプリ施策事例

 
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 今回はカフェチェーンの"継続利用"の事例として、"カフェ・ベローチェ"の事例を紹介します。このケーススタディでは、誰にも干渉されず自分の思い通りに仕事を進めたい男性(37歳)が、公式ホームページで紹介されていた専用アプリに興味を持ちカフェ・ベローチェの利用を開始し、その後の店内体験によって継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

公式アプリ施策

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継続利用促進

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「カフェ・ベローチェ」を例に公式アプリが継続利用を促進したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、公式アプリ施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「公式アプリで継続利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

自分のペースでだれにも邪魔されずに仕事をしたい

落ち着いた場所でリラックスしてパソコン作業がしたい。(37歳男性 大阪府)

中田さん 37歳(仮名)
自営業

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。カフェ・ベローチェを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。中田さん(37歳男性 大阪府)は元々、「誰にも干渉されず自分のペースで作業がしたい」という方です。世帯年収1500~2000万円未満ほどで自営業、未婚の男性です。

中田さんは「心地よい音楽を聴きながら自分のペースでだれにも邪魔されず仕事がしたい」と話していました。さらに、自分のオフィスで作業をしていると雑務が舞い込んできて自分の仕事に集中できないとも感じています。

では、このような状態の中田さんに、カフェ・ベローチェを利用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”カフェ・ベローチェを利用することで成立した価値

※1

仕事に集中できるため、
オフィスでパソコン作業をするよりも
効率が2割ほど高く感じる。

ブランドが果たした役割

 中田さんは現在、カフェ・ベローチェを継続利用しています。最初は「公式ホームページで紹介されていた専用アプリを見て定期的に行くとお得であると思い入店した」と話していました。しかし実際に店舗を利用してみると、利用するたびポイントが貯まり、お得である上に、落ち着いた内装や独特な音楽が集中できる環境を生み出しており、仕事が捗る環境だということに気づき継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 中田さんはカフェ・ベローチェを利用する以前、「自分のオフィスで仕事をしていても自分がやらなければいけない仕事に集中できない。」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、カフェ・ベローチェを利用することにより、公式アプリを利用してお得に自分の仕事ができる場所が見つかった。さらに、継続的に利用していくうち、ポイントが貯まり、お得に利用できるだけではなく、「無料でWi-Fiが利用できるためパソコン作業ができる」ことや「落ち着いた内装や独特な音楽が集中できる環境を生み出している」ということに気づき、カフェ・ベローチェを継続利用するようになりました。
図解

カフェ・ベローチェ顧客体験事例から紐解く

「公式アプリ施策を通じて継続利用を促す」の成功要因

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「公式アプリ施策で初回利用・継続利用を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、「落ち着いた環境で誰にも邪魔されず仕事に集中したい」という課題認識を持っていた中田さんが、公式HPで専用アプリが紹介されているのを見つけ、通うたびに来店ポイントがたまり、割引クーポンが発行されるというお得さと、無料Wi-Fiサービスの機能的価値から、オフィス以外の仕事場としてトライアル利用を行いました。来店後、「Wi-Fiが無料で使えて、店内の雰囲気も落ち着いているため集中して仕事に打ち込める」という価値を実感できたことで、ブランドへのエンゲージメントが高まり、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷

オフィス環境では自分がやるべきことに集中して取り組めないため不満に感じているケース

公式HPで継続利用により
割引クーポン発行が
できるアプリを訴求

結果

自社ブランドを継続利用することでポイントがたまり、お得に通えることを訴求して、生活者がオフィス以外の”仕事場”として日常的に利用できる最適な空間だと認識させたことで、初回利用・継続利用を促した。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。本来のオフィスでは自分の仕事に集中できない、気が散ってしまうなど社会的な役割を果たす上で、現状の環境に対して心理的負荷を感じている生活者に、仕事や勉強、作業ができる新たな環境として自社を選んでもらい、さらに継続利用してもらう手段として、来店ポイントが貯まると割引クーポンがもらえるサービスをアプリ上で展開することにより初回利用に繋げることができています。また、初回利用時に、店内の雰囲気も仕事を行う環境として最適だと感じさせることで、利用者の自社ブランドへのエンゲージメントを高め、継続利用させるに至っています。

 この構造を応用することで、生活者に対し通うことでポイントが貯まる、クーポンがもらえるなど、お得感があることが継続利用を促す手段になると考えられます。
さらに長時間滞在する場所においては、商品や接客サービスだけでなく、内装や音楽などで快適な空間づくりをすることにより、利用者に情緒的価値を実感させることができ、そのブランドへのエンゲージメントを高めることができると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。