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顧客体験の解説 | アイスクリーム |「pino」
から学ぶパッケージ訴求施策事例

 
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 今回はアイスの"継続購入"の事例として、"pino(森永乳業)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、自分へのご褒美におやつを用意したい女性(45歳)が、パッケージを見て個包装なことや味が数種類入っていることに惹かれて新規購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

パッケージ訴求施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「pino」を例に、パッケージの訴求が新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、パッケージ訴求のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規購入さらには継続購入させるに至ったのか、そのプロセスから「パッケージ訴求で新規購入を促進する」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

おやつを用意したいが、
量が多かったり味に飽きたりする

家事へのやる気を出すためにご褒美のおやつを用意したいが、1つの量が多すぎたり味に飽きたりする。
(45歳女性 福岡県)

野崎さん 45歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。pinoを継続購入するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。野崎さん(45歳女性 福岡県)は「おやつを用意したいが、量が多かったり味に飽きたりする」と考えている方です。世帯年収400~600万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。
 
 野崎さんは「家事へのやる気を出すためにご褒美のおやつを用意したいが、1つの量が多すぎたり味に飽きたりする」と話していました。

 では、このような状態の野崎さんに、pinoがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”pinoで成立した価値”

※1

一休みしたらまた頑張ろう
という気を起こしてくれる

ブランドが果たした役割

 野崎さんは現在、pinoを継続購入しています。最初は「店頭でパッケージを見て、個包装かつ複数の味が入っているところに惹かれて購入した」と話していました。実際に購入してみると、個装されているため好きな数だけ食べられて、味も数種類あるので飽きないし、ちょっとつまむのに最適であると感じました。また、「家事の合間に食べると一休みしたらまた頑張ろうかなという気を起こしてくれる」ということに気づき、継続購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 野崎さんはpinoを購入する以前、「おやつは、1つの量が多すぎたり味に飽きたりする」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、pinoを購入することにより、「家事の合間に食べると一休みしたらまた頑張ろうかなという気を起こしてくれる」と感じ、さらに、pinoを購入していくうちに、「子ども達も好きな味なので、長期間の休みで一緒に食べる機会も増えて、みんなでワイワイ言って食べる楽しさが感じられた。また、季節ごとに新しい味が出るため新鮮さもあって食べ比べの楽しみもある」ということに気づき、継続的に購入するようになりました。
図解

pinoの顧客体験事例から紐解く

「パッケージ訴求が新規購入を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「パッケージ訴求が新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、野崎さんは元々「家事へのやる気を出すためにご褒美のおやつを用意したいが、1つの量が多すぎたり味に飽きたりする」という課題認識を持っていました。
 そんな時、店頭でパッケージを見て、個包装かつ複数の味が入っているところに惹かれ、購入するに至りました。
 その後、個装されているため好きな数だけ食べられて、味も数種類あるので飽きない。ちょっとつまむのに最適であると感じ、「家事の合間に食べると一休みしたらまた頑張ろうかなという気を起こしてくれる」という価値が成立して、継続購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

管理負荷

家事へのやる気を出すためにご褒美のおやつを用意したいが、1つの量が多すぎたり味に飽きたりすると感じているケース

個包装かつ複数の味が入っていることを
パッケージでアピール

結果

家事へのやる気を出すためにご褒美のおやつを用意したいが、1つの量が多すぎたり味に飽きたりすると感じていた生活者が、パッケージを見て個包装かつ複数の味が入っているところに惹かれて購入している。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。家事へのやる気を出すためにご褒美のおやつを用意したいが、1つの量が多すぎたり味に飽きたりすると感じていた生活者が、パッケージを見て個包装かつ複数の味が入っているところに惹かれて購入しています。家事の合間にコーヒーと一緒につまむことで、また頑張ろうという気を起こしてくれると感じました。また、季節ごとに新しい味が出て新鮮さがあるし、個装されているため好きな数だけ食べられて、味も数種類あるので飽きないと感じています。

 この構造を応用することで、アイスやお菓子のような嗜好品は、個包装であることで食べすぎや摂りすぎを防ぐことができて、味が複数あることで飽きも来ないと生活者は考えるため、店頭で目に入りやすいパッケージや商品POPで個包装や味の種類を訴求することで購入を促進できると考えられます。また、季節限定や期間限定商品の発売は自社顧客に新鮮さを与えることができるだけでなく、新規顧客の獲得の可能性もあるため有効だと考えられます。

 発売中の書籍『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する』では、上図の応用可能性のように顧客体験を設計してブランドが次に打つべき企画や施策のアイデアを導き出す方法を解説しています。
『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する(Web担選書)』村山幹朗(著) 芹澤 連(著)(上記をクリックすると、amazonの販売ページに移動します。)

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。