第6回ウェビナーレポート
新しい生活様式になった今年、新生活はどう変わる?
~住まい・暮らし・公共サービスの選ばれ方の変化から、マーケティングSTPを設計~
~住まい・暮らし・公共サービスの選ばれ方の変化から、マーケティングSTPを設計~
今回開催したウェビナーではコレクシア代表の村山が登壇し、コロナ禍で大きく変わった住まい・暮らし・公共サービスの選ばれ方について触れ、今年はこういった新生活はどう変わるのか、マーケティング設計はどうするのか説明が行われました。
まずは前回同様、調査結果の数値データの背景にある顧客体験をきちんと把握することが重要であるとの話がありました。これによりマーケターが商品・サービスの売上を伸ばせる施策を打てる、つまり顧客体験を再現できると、村山は述べました。
ナラティブ(生活者の語り)とは社会学・心理学領域で研究され、特に医療領域で活用されているものですが、村山は医師と患者の関係がマーケティングに当てはまると考えています。患者と同じように消費者は自分が本当に欲しいモノを明確には話すことは難しいですが、自分の現在の状態を話すことはできます。医師となるマーケターはその消費者の内在する考えや欲求を掴み、それを元に施策を考える必要があります。そのため、医師と患者の関係がマーケターと消費者の関係に似ていると考えています。
続いて、今回のテーマであるコロナ禍で普段の生活がどのように変化したのかについて説明がありました。コレクシア独自で調査を行ったようです。
これを見ると、買い物や消費者の移動方法について変化があったことが多いことが分かりますが、それ以外も変化があったことが見受けられ、消費者の日常生活全般的に影響があったと言えそうです。
その中でナラティブをいくつか紹介しました。
スーパーに行く機会が減り、免疫力も高めたいという健康意識も大きくなり、野菜を今まで以上に家族に食べさせるようになった。しかし野菜は使い切りたいと考え、鍋の素やスープの素などを使って、残っている食材を効率的に消費する方法を気にするようになった。
⇒「免疫力」という言葉や買いだめする傾向は他のナラティブも多くみられたようです。また、冷蔵庫にストックされているものをうまく消費したいニーズもあるようです。
都内在住だと普段は電車やタクシーで移動していたが、子どもと一緒に出掛けるのが不便になり、車を購入した。これにより密を避けて郊外にドライブに行くなど、家族で安心して週末を楽しめるようになった。以前はカーシェアも利用したが、自分の車の方が安心できると気づいた。
⇒最近はシェアリングサービスが多くなっていますが、ここにきて「所有」の価値観が再認識されるようになったようです。また移動の仕方が変化するようになったことで、レジャー行動も変化しているだろうと村山は述べました。
年末でも帰省できなかったので、実家にiPadを送りビデオ通話で孫の顔を見せられるようにした。両親は電子機器に弱かったが、iPadにすぐ慣れ頻繁に使えるようになった。また普段テレワークだが、家族が動画など視聴すると通信速度が遅くなり不便だったので、NUROの導入を検討している。
⇒コロナ禍という「機会」によりテクノロジーの障壁を突破するケースが増えているようです。アンケート結果で表面的に出てきたのは多くはなかったが、今後加速度的に増えるだろうと村山は述べました。
ポイント還元されるし、人との接触を減らせるために電子マネーを使うようになったという人(58歳女性)や、明日倒れるかもしれないと思うようになり、貯金してもあの世には持っていけないと、今まで我慢していた大型テレビを購入した人(69歳男性)
⇒東北の震災のときと同様、自分の健康リスクが阻害されると感じるときに思い切った消費が発生することがあるだろうと村山は述べました。
テレワークになり、自分の書斎が欲しくなって部屋の模様替えをした。集中して仕事ができるように、仕切りを入れたり大きめの机を購入したりした。子どもが大きくなる前に家を買うことを考えていたので、次の家はきちんと自分の書斎を確保したいと考えている。
⇒住空間についてのインサイトは多く見受けられたようです。また家を購入する軸(書斎があるのかなど)が変わってきているようです。コロナ禍の影響で物事の判断順位が入れ替わっているだろうと村山は述べました。
以上のようなナラティブが紹介されました。これまでのウェビナー動画や記事から他のナラティブ事例を見ることができるので、そちらも参考にするといいでしょう。
・過去のウェビナーレポートはこちらから。
・過去のウェビナー動画はこちらから。
コレクシアではナラティブで顧客を理解しマーケティング戦略を設計することを念頭に置いているようです。
そのために、アクセプターモデルという構造を使うことで顧客体験を再現できるように設計しています。
上記の事例もこのモデルに沿ってナラティブが取得できるようにアンケートを設計しています。
アクセプターモデルについて詳しくはこちら。
続いて、村山からSTPマーケティング手法を使って戦略を立てるときの考え方について述べられました。
その名の通り、S(セグメンテーション)→T(ターゲティング)→P(ポジショニング)という順番で決めていくときに、以下のような問題が起こりえるとのことです。
・そもそもどうやって市場を分けるべきか?
- 20代女性だから、30代男性だからこうなるはず!とは単純にはいかない
・ターゲットは決まっても、ポジショニングはどうすればいいか?
- ターゲットのペルソナやインサイトが分かっても、自社のポジションを決めるのにアイデアが飛躍的になりがち
・ターゲットを決めるもポジショニングが上手くいかないので、セグメント設計からやり直す
- セグメント設計、ターゲット決め、ポジション決めを何度もぐるぐるとやり直す
・そもそも競合がいるのでは?
- STP分析では競合を考えることがないので、決まったポジションに既に競合がいると後から気づき結局やり直す
⇒誰に、何を価値に感じて買ってもらうかが大事であり、それを組み立てる戦略が述べられました。
STP設計をするための便利なツールとして次のような手法が紹介されました。
上の表のように、列(緑色)ではセグメントを表せられるような項目を列挙し、行(オレンジ色)では訴求軸となる項目を列挙したマトリクス表を作成すれば、「誰に何で訴求すればよいか」が定量的に分かるとのこと。
表の数値は調査結果から市場規模を算定したものです。
なお、今回の調査は全国の男女20歳~59歳、5060サンプル回収した結果のようです。
このセグメントとなる項目は「〇〇したい、〇〇になりたい」といったジョブを仮説する項目になり、訴求軸となる項目は上記のアクセプターモデルの受容価値を仮説する項目となりえるとのことです。
ナラティブ分析はあくまでもN=1のサンプル例を集めたものであるため、こういったポジショニング仮説をベースに定量調査を行うことで、市場規模を俯瞰することができると述べました。
このようにまとめた後に「誰に」「何で訴求するか」を決めていきます。
・今回実施したウェビナー動画はこちらからご覧いただけます。
1.数字を生み出した背景にある、顧客体験を読む
まずは前回同様、調査結果の数値データの背景にある顧客体験をきちんと把握することが重要であるとの話がありました。これによりマーケターが商品・サービスの売上を伸ばせる施策を打てる、つまり顧客体験を再現できると、村山は述べました。
2.「ナラティブ」から顧客の変化を読む
ナラティブ(生活者の語り)とは社会学・心理学領域で研究され、特に医療領域で活用されているものですが、村山は医師と患者の関係がマーケティングに当てはまると考えています。患者と同じように消費者は自分が本当に欲しいモノを明確には話すことは難しいですが、自分の現在の状態を話すことはできます。医師となるマーケターはその消費者の内在する考えや欲求を掴み、それを元に施策を考える必要があります。そのため、医師と患者の関係がマーケターと消費者の関係に似ていると考えています。
3.ナラティブから読み解く生活変化のトレンド
続いて、今回のテーマであるコロナ禍で普段の生活がどのように変化したのかについて説明がありました。コレクシア独自で調査を行ったようです。
これを見ると、買い物や消費者の移動方法について変化があったことが多いことが分かりますが、それ以外も変化があったことが見受けられ、消費者の日常生活全般的に影響があったと言えそうです。
その中でナラティブをいくつか紹介しました。
・コロナ禍の影響で変化した「日常の買い物」(45歳女性)
スーパーに行く機会が減り、免疫力も高めたいという健康意識も大きくなり、野菜を今まで以上に家族に食べさせるようになった。しかし野菜は使い切りたいと考え、鍋の素やスープの素などを使って、残っている食材を効率的に消費する方法を気にするようになった。
⇒「免疫力」という言葉や買いだめする傾向は他のナラティブも多くみられたようです。また、冷蔵庫にストックされているものをうまく消費したいニーズもあるようです。
・コロナ禍の影響で変化した「日常の移動」(36歳男性)
都内在住だと普段は電車やタクシーで移動していたが、子どもと一緒に出掛けるのが不便になり、車を購入した。これにより密を避けて郊外にドライブに行くなど、家族で安心して週末を楽しめるようになった。以前はカーシェアも利用したが、自分の車の方が安心できると気づいた。
⇒最近はシェアリングサービスが多くなっていますが、ここにきて「所有」の価値観が再認識されるようになったようです。また移動の仕方が変化するようになったことで、レジャー行動も変化しているだろうと村山は述べました。
・コロナ禍の影響で変化した「日常のコミュニケーション」(39歳男性)
年末でも帰省できなかったので、実家にiPadを送りビデオ通話で孫の顔を見せられるようにした。両親は電子機器に弱かったが、iPadにすぐ慣れ頻繁に使えるようになった。また普段テレワークだが、家族が動画など視聴すると通信速度が遅くなり不便だったので、NUROの導入を検討している。
⇒コロナ禍という「機会」によりテクノロジーの障壁を突破するケースが増えているようです。アンケート結果で表面的に出てきたのは多くはなかったが、今後加速度的に増えるだろうと村山は述べました。
・コロナ禍の影響で変化した「お金」
ポイント還元されるし、人との接触を減らせるために電子マネーを使うようになったという人(58歳女性)や、明日倒れるかもしれないと思うようになり、貯金してもあの世には持っていけないと、今まで我慢していた大型テレビを購入した人(69歳男性)
⇒東北の震災のときと同様、自分の健康リスクが阻害されると感じるときに思い切った消費が発生することがあるだろうと村山は述べました。
・コロナ禍の影響で変化した「住まい」(42歳男性)
テレワークになり、自分の書斎が欲しくなって部屋の模様替えをした。集中して仕事ができるように、仕切りを入れたり大きめの机を購入したりした。子どもが大きくなる前に家を買うことを考えていたので、次の家はきちんと自分の書斎を確保したいと考えている。
⇒住空間についてのインサイトは多く見受けられたようです。また家を購入する軸(書斎があるのかなど)が変わってきているようです。コロナ禍の影響で物事の判断順位が入れ替わっているだろうと村山は述べました。
以上のようなナラティブが紹介されました。これまでのウェビナー動画や記事から他のナラティブ事例を見ることができるので、そちらも参考にするといいでしょう。
・過去のウェビナーレポートはこちらから。
・過去のウェビナー動画はこちらから。
4.ナラティブを読み活用するために「アクセプターモデル」を使う
コレクシアではナラティブで顧客を理解しマーケティング戦略を設計することを念頭に置いているようです。
そのために、アクセプターモデルという構造を使うことで顧客体験を再現できるように設計しています。
上記の事例もこのモデルに沿ってナラティブが取得できるようにアンケートを設計しています。
アクセプターモデルについて詳しくはこちら。
5.ナラティブから戦略を組み立てる
続いて、村山からSTPマーケティング手法を使って戦略を立てるときの考え方について述べられました。
① STP分析を行うときにおこりえる問題点
その名の通り、S(セグメンテーション)→T(ターゲティング)→P(ポジショニング)という順番で決めていくときに、以下のような問題が起こりえるとのことです。
・そもそもどうやって市場を分けるべきか?
- 20代女性だから、30代男性だからこうなるはず!とは単純にはいかない
・ターゲットは決まっても、ポジショニングはどうすればいいか?
- ターゲットのペルソナやインサイトが分かっても、自社のポジションを決めるのにアイデアが飛躍的になりがち
・ターゲットを決めるもポジショニングが上手くいかないので、セグメント設計からやり直す
- セグメント設計、ターゲット決め、ポジション決めを何度もぐるぐるとやり直す
・そもそも競合がいるのでは?
- STP分析では競合を考えることがないので、決まったポジションに既に競合がいると後から気づき結局やり直す
⇒誰に、何を価値に感じて買ってもらうかが大事であり、それを組み立てる戦略が述べられました。
② 「住まい」についてSTP設計をするための手法
STP設計をするための便利なツールとして次のような手法が紹介されました。
上の表のように、列(緑色)ではセグメントを表せられるような項目を列挙し、行(オレンジ色)では訴求軸となる項目を列挙したマトリクス表を作成すれば、「誰に何で訴求すればよいか」が定量的に分かるとのこと。
表の数値は調査結果から市場規模を算定したものです。
なお、今回の調査は全国の男女20歳~59歳、5060サンプル回収した結果のようです。
このセグメントとなる項目は「〇〇したい、〇〇になりたい」といったジョブを仮説する項目になり、訴求軸となる項目は上記のアクセプターモデルの受容価値を仮説する項目となりえるとのことです。
ナラティブ分析はあくまでもN=1のサンプル例を集めたものであるため、こういったポジショニング仮説をベースに定量調査を行うことで、市場規模を俯瞰することができると述べました。
このようにまとめた後に「誰に」「何で訴求するか」を決めていきます。
・今回実施したウェビナー動画はこちらからご覧いただけます。