Collexia 
Marketing 
Casestudy

顧客体験の解説 | WEBサービス |「AmazonPrime」

から学ぶサブスクリプション型活用事例

 
  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 今回は”サブスクリプション”の事例として、”AmazonPrime”の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、日々忙しく買い物に行くのも面倒だと感じている女性(31歳)が、サブスクリプション型の提供形態により、AmazonPrimeをトライアル利用した、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「20-30万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
サブスクリプションでトライアル購買を促す

サブスク
リプション

×

トライアル

 サブスクリプション型※2とは、期間契約によって一定の期間に決められた範囲のサービスを自由に利用できるサービス提供形態で、動画配信サービス等が代表的です。都度決済が発生しないため、ユーザーは一度加入するだけで非常に多くのサービスやコンテンツを自由に利用できるようになるため、試用時でも契約後の利用体験をイメージしやすく、継続利用後は買い忘れや離反を防ぎやすくなる効果が期待できます。

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「AmazonPrime」を例に、サブスクリプション型のサービスであることがトライアル獲得※3を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、サブスクリプション型サービスのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「サブスクリプションでトライアル購買を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

遅くまで仕事した後だと
買い物する場所も時間も限られる

仕事で夜遅くなることが多いので、欲しいものがあっても移動や営業時間を踏まえると買いに行けないことが多く、土日の時間を割いて買い物したりするので、休日もあまり休めなかったりした。(31歳女性 福岡県)

坂井さん(31歳)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。AmazonPrimeを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。坂井さん(31歳女性 福岡県)は元々、「ネット通販はたまに必要な時だけ使っていた。」「百貨店で買い物をすることが好きだが、仕事が遅くなると平日は行けないので、休日に買い物することが多い」という方です。自身は目指したいあり方として「恋人との時間を大事にしたい。休日は一緒に過ごしたい。」とも考えている、年収600~800万円未満ほどで、会社員(事務系)、独身の女性です。

 しかし、坂井さんは、「仕事で夜遅くなることが多いので、欲しいものがあっても移動や営業時間を踏まえると買いに行けないことが多かった」と話しており、この時には時間的負担を感じたと話しています。しかし、恋人とゆっくりできる時間が削られるのは良くないと考えている状況です。

では、このような状態の坂井さんに、AmazonPrimeがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”AmazonPrimeで
成立した価値”

※4

自宅で恋人と一緒にゆっくりできる時間

ブランドが果たした役割

 坂井さんは、AmazonPrimeVideoを見ることができたのがきっかけで、AmazonPrimeをトライアル利用し、その後継続利用するようになりました。最初にAmazonPrimeをトライアルしたときは「恋人と一緒に見たい映画があったから試してみた」と話しており、「AmazonPrimeVideoで動画も見放題」という特長が「自宅で恋人と一緒にゆっくりできる時間」を坂井さんに提供し、トライアルをするに至ったと考えられます。その後、「当日お届け便」を利用し「平日に時間に追われながら買い物に行かなくて良い」便利さに気づいた事で、トライアルから継続利用にもつながったと考えられます。

顧客体験の変化

坂井さんはAmazonPrimeを利用する以前、「仕事が忙しく恋人と一緒の時間が取れなくなったり、一緒にいることに飽きを感じてしまったとき」に今のままでは良くないと気づかされました。その後AmazonPrimeを利用することで、一緒に見たい動画を見ながら過ごすことが出来るようになった上に、平日の夜も買い物に追われることがなくなって、平日も週末も楽しく時間を過ごせるようになりました。
図解

AmazonPrimeの顧客体験事例から紐解く

「サブスクリプションでトライアルを促す施策」の
成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

6-20万人

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「サブスクリプションでトライアルを喚起する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。



 このストーリーでは、坂井さんは元々「遅くまで仕事したあとだと買い物する場所も時間も限られる」という課題認識を持っていました。しかし、AmazonPrimeが、「見たい動画毎に幾らかかるのかを考えて、累積で幾ら使ったかを気にしなくていい」というサブスクリプションならではの役割を果たす事で、「好きな時に好きな動画を、恋人と一緒に見られる」という価値が成立して、トライアルしてもらうことに成功しました。また「20~30万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

金銭的負荷

期間契約など、利用しない時期があるサービスの場合の課題

サブスクリプション型の
動画サービス付与

結果

未利用期間も契約を続ける理由が生まれ、継続的に使用し続けることが出来た。

 
  今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。契約型サービスで利用しない期間でも、別のサービス(動画閲覧)が対応したことで「配達サービスを使わない期間でも動画で楽しめる」という認識が生まれ、その結果継続利用をしていると言えます。

 この構造を応用することで、他にも「契約商品だけど使わない期間のコストがもったいない」と考えている消費者をターゲットとしている商品やサービス(例:スポーツジム 等)についても、サブスクリプション型で別の付帯サービスを用いる事で、継続利用に導ける可能性があると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 サブスクリプション
サービスの契約形態の一種。月額費用等の定期定額の料金設定により、設定された範囲で定期的に商品やサービスが供給・利用される形式を指す。具体的には携帯電話、動画配信サービス、スポーツジムのような毎月定額で提供されるサービスを利用できるものや、毎月定額で月数回食品、健康商品、化粧品などの商品が定期定額で提供されるものなどが代表的。サブスクリプション型の契約形態で消費者を獲得できることで、買い忘れや離反を防ぎやすくなる効果が期待できる。

※3トライアル
消費者が製品やサービスを試しに利用することを指す。一般消費財のように単価が安く手に入りやすい商品であれば、初回に「試しに使ってみよう」と購入してみることを指すことが多い。耐久消費財やサービス財等であれば、店舗で実機の機能の一部を試しに利用する、一部機能のみに利用制限されたトライアル版を利用する、機能制限は無いが利用期間が限られている製品を利用する等の仕組みが用いられる。これらのトライアル施策を行う事で、初回利用のハードルを下げ、ユーザー化の促進を狙う。

※4 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。