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顧客体験の解説 | マンガアプリ |「LINE漫画」から学ぶ閲覧数制限の施策事例

 
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 今回はマンガアプリの"継続課金"の事例として、"LINE漫画"の事例を紹介します。このケーススタディでは、マンガアプリで無料で読める制限を取り払い、早く先の話を読みたいと感じている女性(62歳)が、1日1話の制限解除をするために課金するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

閲覧数制限

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課金

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「LINE漫画」を例に、閲覧数制限が課金を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、閲覧数制限のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規利用(課金)さらには継続課金するに至ったのか、そのプロセスから「閲覧数制限で課金を促進する」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

無料で読める制限を取り払い、
早く先の話を読みたい

無料で読み続けていたが無料で読める話数を読み終わってしまい、早く先を読み進めたいと感じている。
(62歳女性 東京都)

中島さん 62歳(仮名)
パート・アルバイト

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。LINE漫画を継続課金するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。中島さん(62歳女性 東京都)は「無料で読める制限を取り払い、早く先の話を読みたい」と考えている方です。世帯年800~1000万でパート・アルバイト、既婚の女性です。

 中島さんは「無料で読み続けていたが無料で読める話数を読み終わってしまい、早く先を読み進めたいと感じている。」と話していました。

 では、このような状態の中島さんに、LINE漫画がどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”LINE漫画で成立した価値”

※1

仕事後に漫画を読んで違う
世界を覗くと気分転換になる

ブランドが果たした役割

 中島さんは現在、LINE漫画に継続課金しています。最初は「1日1話の制限解除を待つことなく読み進めたいと思っていた時に、課金することで続きが読めると知り課金した」と話していました。実際に利用してみると、課金して生活感のない漫画を読みたいだけ読むことで、在宅での仕事から頭を切り離すことができて良い気分転換になると感じました。また、「仕事でひと段落した時に漫画を読むことで全く違う世界を覗くことができ、気分を変えてくれる」ということに気づき、継続課金するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 中島さんはLINE漫画で課金する以前、「無料で読み続けていたが、無料で読める話数には制限がある」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、LINE漫画で課金して利用することにより、「仕事でひと段落した時に漫画を読むことで全く違う世界を覗くことができ、気分を変えてくれる」と感じ、さらに、LINE漫画を利用していくうちに、「カラーがとても綺麗に描かれていて読んでいて楽しい。課金が少々高いとは思うが、買うより安いのでちょっとくらいなら良い」ということに気づき、継続的に課金利用するようになりました。
図解

LINE漫画の顧客体験事例から紐解く

「閲覧数制限で課金を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「閲覧数制限で課金を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、中島さんは元々「無料で読み続けていたが無料で読める話数を読み終わってしまい、早く先を読み進めたい」という課題認識を持っていました。
 1日1話の制限解除を待つことなく読み進めたいと思っていた時に、課金することで続きが読めると知り、課金するに至りました。
 その後、「課金して生活感のない漫画を読みたいだけ読むことで、在宅での仕事から頭を切り離すことができて良い気分転換になる」と感じ、「仕事でひと段落した時に漫画を読むことで全く違う世界を覗くことができ、気分を変えてくれる」という価値が成立して、継続課金に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

時間的負荷

無料で読める話数を読み終わり、早く先を読み進めたいと感じているケース

1日で読める話数の制限
1話ずつの課金システムの
訴求

結果

無料で読める話数を読み終わり、早く先を読み進めたいと感じていた生活者が、1日1話の制限解除を待ちたくないと思い、課金することで読めると知り課金に至っている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。無料で読める話数を読み終わり、早く先を読み進めたいと感じていた生活者が、1日1話の制限解除を待ちたくないと思い、課金することで読めると知り課金に至っています。課金したことで、在宅の仕事でひと段落した時に漫画を読み進められ、まったく生活感のない漫画を読むことで、仕事から頭を切り離していい気分転換ができていると感じています。また、課金は高いが本を買うよりは安いと思い、ちょっとならいいかなと感じて継続課金に至っています。

 この構造を応用することで、無料でも1日1話ずつなど、少しずつなら楽しめるというシステムがあることで初回利用を促進することができ、その後は1話ずつという少ない単位(金額)から課金できることで、初回課金を促すことができていると考えられます。また、昨今の在宅勤務や家にこもりがちな状況で、オンオフの切り替えができていない生活者にとって、気分転換ができるようなコンテンツが好まれる傾向があるのではないかと考えられます。

 上図のような生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を実際のマーケティング施策で役立てる方法や、マーケティング施策に使えるカスタマージャーニーの創り方については「カスタマージャーニーの教科書」に掲載しております。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。