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顧客体験の解説 | カフェチェーン |
「スターバックス コーヒー」から学ぶ
店頭看板施策事例
今回はカフェチェーンの"初回利用促進"の事例として、"スターバックス コーヒー"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、仕事続きで疲れた頭をリフレッシュしたい男性(44歳)が、スターバックスコーヒーを継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「40-80万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「スターバックス コーヒー」を例に店頭にある看板をきっかけに入店し、店内体験を通じて継続利用するに至ったという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、カフェチェーンのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「看板や店内体験を通じ初回利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。
本格的なコーヒーをゆっくりとした環境で飲むことで
疲れをリセットしたい。
毎日コーヒーを数杯飲むが、味や香りが本格的なコーヒーで仕事の疲れやストレスをリセットし、
自分らしくありたい。(44歳男性 岐阜県)
まず、生活者と課題を見ていきましょう。スターバックスを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。西川さん(44歳男性 岐阜県)は元々、「仕事の疲れをコーヒーで癒したい」という方です。世帯年収400~600万円未満ほどで会社員、既婚の男性です。
西川さんは「普段からコーヒーを飲むが、味や香りが物足りない。会議続きで疲れた頭をリセットするためにおいしいコーヒーを飲んで落ち着きたい。」と話しており、さらに、コーヒーの味や香りだけではなく落ち着いて過ごせる環境もリラックスするには必要だと考えてます。
では、このような状態の西川さんに、スターバックスコーヒーを継続利用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。
スターバックスコーヒーを継続利用することで成立した価値 ※2 |
= |
ゆったりとできる空間で本格的なコーヒーを飲むことにより、疲れをリセットできる。 |
ブランドが果たした役割
西川さんは現在、どうしてもストレスを発散できないときや仕事の打ち合わせをするときにスターバックスコーヒーを利用しています。最初は「店頭の看板を見て、雰囲気の良さそうなコーヒー店だと思い入店した」、「コーヒーの味や香りがよく定期的に飲みに行きたくなる」と話しており、コーヒーがおいしいことに加えて、店内がゆっくりと過ごしながら一息つける環境なので、「その時の気分に合わせたコーヒーを選び、ゆっくりと店内で過ごすことで仕事の疲れをリセットできる」ということに気づきスターバックスコーヒーを継続利用するに至ったと考えられます。
顧客体験の変化
西川さんはスターバックスコーヒーを利用する以前、「仕事続きで頭を休める暇がなく、自分らしくいられない」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、スターバックスコーヒーを利用することにより、会議続きで頭がパンクしそうなときにおいしいコーヒーを飲むことで、一度疲れ切った頭を整理することに役立てています。また、「他のコーヒーチェーンと比べ、適度に混み合っても落ち着いて過ごせる空間なので仕事の疲れを自然にリセットできる。」さらに「子供でも楽しめるメニューがあるので家族でも利用できる」という点も気に入り、継続利用するようになりました。
図解スターバックスコーヒーの顧客体験事例から紐解く
本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「看板や店内体験が初回利用を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、西川さんは元々「仕事続きで頭を休める暇がなく、自分らしくいられない」という課題認識を持っていました。しかし、スターバックスコーヒーを利用したことによって味や香りが本格的なコーヒーが楽しめるようになり、定期的に飲みたいと感じるようになりました。さらに、「他のコーヒーチェーンと比べ、適度に混み合っても落ち着いて過ごせる空間なので仕事の疲れを自然にリセットできる環境・時間を提供してくれる。」という価値が成立して、継続利用に至りました。
応用可能性~本事例の学び
課題
生活者のストレスや忙しさに伴う心理的な負担がある状態
結果
コーヒーを飲むというより、忙しい自分が気分転換する場所として良さそうだと感じ利用し始めた
今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。心理的負担を感じている生活者に、内装や看板で「リラックスできそう」と感じさせたことで、初回の利用を生み出し、その後の継続利用にもつながっていると考えられます。
この構造を応用することで、他にも「気分転換」「リフレッシュ」を求めて居る消費者をターゲットとしている商品やサービス(例:飲食店・カフェ・エステ等)についても、内装や外観から「そこに行けばリフレッシュできそう」と感じさせ、利用を促すことができると考えられます。
注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。
※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。
「カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。
https://www.journey-navi.com/