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顧客体験の解説 | カフェチェーン |
「タリーズコーヒー」から学ぶFree Wi-Fi施策事例

 
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 今回はカフェチェーンの"継続利用"の事例として、"タリーズコーヒー"の事例を紹介します。このケーススタディでは、退職した夫が一日中家にいるので、自宅を出て時間をつぶしたい女性(52歳)が、Free Wi-Fiが時間制限なく使えることを知り、タリーズコーヒーを継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

Free Wi-Fi施策

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継続利用

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「タリーズコーヒー 」を例にFree Wi-Fiが継続利用を促進したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、Free Wi-Fi施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「Free Wi-Fiで継続利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

夫が退職して一日中家にいるので、自宅以外の居場所が欲しい

他に行き場がない時、美味しいコーヒーを飲みながらネットに勤しむことで、
自分の時間を作り、ゆったりのんびりしたい。(52歳女性 千葉県)

平田さん 52歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。タリーズコーヒーを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。平田さん(52歳女性 千葉県)は元々、「退職した夫が一日中家にいるので、自宅を出て時間をつぶしたい」という方です。世帯年収200万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。

 平田さんは「普段は図書館に行き自分の時間を作っているが、図書館の休館日は他に行き場がないし、ちょっとご褒美気分で美味しいコーヒーを飲みながらゆったりのんびり過ごしたい」と話していました。また、「タリーズコーヒーが何かの事情で営業していなかったら、タリーズで過ごすことが私の心の命綱なので心の拠り所が無くとても困る」「ここでの息抜きがなかったら酸欠になるかも」と、タリーズコーヒーに行けないことを想定すると不安にも感じています。

 では、このような状態の中田さんに、タリーズコーヒーを利用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”タリーズコーヒーを利用することで成立した
価値”

※1

Free Wi-Fiが時間無制限で使えるので、ゆっくり過ごせるし、嫌なことや面倒くさいことを全部忘れて心の息抜きができる。

ブランドが果たした役割

 平田さんは現在、タリーズコーヒーを継続利用しています。最初は「Free WIi-Fiのお店で時間を潰したかったので検索したら、タリーズコーヒーだけは時間制限が無かったし、コンセントもあったので時間がつぶせると思って入店した」と話していました。しかし実際に店舗を利用してみると、ゆったりのんびりできることで、嫌なことから解放されて気持ちがリフレッシュされ、また頑張って子供のためにごはんを作ろうという気になるし、店員さんの程よいサービスや明るい対応もありがたいということに気づき継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 平田さんはタリーズコーヒーを利用する以前、「退職した夫が一日中家にいて、自分ひとりの時間が作れなくなったので、自宅を出て自分の時間を作りたい」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、タリーズコーヒーを利用することにより、Free Wi-Fiが時間無制限で使用できるので、おいしいコーヒーを飲みながらのんびり時間つぶしできるし、さらに、継続的に利用していくうちに、嫌なことから解放されて気持ちがリフレッシュされると感じています。また、「店員さんの程よいサービスや明るい対応がうれしい」ことや「家に帰って、また頑張って子供のためにご飯作ろうという気になれる」ということに気づき、タリーズコーヒーを継続利用するようになりました。
図解

タリーズコーヒーの顧客体験事例から紐解く

「Free Wi-Fi施策で継続利用を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「Free WI-FI施策で継続利用を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、平田さんは元々「退職した夫が一日中家にいて、自分ひとりの時間が作れなくなったので、自宅を出て自分の時間を作りたい」という課題認識を持っていました。そんな時、タリーズコーヒーならFree WI-FIが時間無制限使えてコンセントもあることネット検索で知り、ベローチェの利用を開始しました。その後、ベローチェを利用していくにつれ、店員の程よいサービスや明るい対応もありがたいし、「Free WI-FIが時間無制限で使えるから、嫌なことから解放されてのんびりでき、気持ちがリフレッシュする」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負担

自分またはパートナーの退職後、自宅以外で自分を取り戻す時間を作りたいと思っているケース

時間無制限で使える
Wi-Fiがあることや
コンセントが使えることを
ネット上で訴求

結果

ネットをしながら自分の時間を楽しみつつ、外で息抜きしたいと思っている生活者に、時間無制限で使えるFree Wi-Fiなどの設備と、店員の心地よい接客が受け入れられ継続利用を促した。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。自宅にいることで心理的負荷を感じている生活者に、望ましい設備環境や接客サービスを提供し、自宅よりも居心地のいい空間だと認識させることで、自宅で息苦しさや居づらさを感じた時に、息抜きができる場所として自社店舗を想起させ、継続的な利用に至らせる、という構造が読み取れます。

 この構造を応用することで、飲食店、特にカフェなど個々の時間を過ごせる場所では、提供する食事や飲み物などの充実だけでなく、店内設備の充実や雰囲気づくりに取り組み、生活者に居心地の良さを実感させることが継続的な利用につながると考えられます。

注記
※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。