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顧客体験の解説 | キャッシュレス決済 |「Suica」
から学ぶ身近な人や利用者からの口コミ施策事例

 
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 今回はキャッシュレス決済の"継続利用"の事例として、"Suica"の事例を紹介します。このケーススタディでは、よりお得な方法を使って増税分を解消したい女性(29歳)が、身近な人や利用者からの口コミをきっかけとしてSuicaの利用を開始し、その後の体験によって継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

身近な人や利用者からの口コミ
施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「Suica」を例に身近な人や利用者からの口コミによって利用開始を促進したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、身近な人や利用者からの口コミのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ利用開始するに至ったのか、そのプロセスから「身近な人や利用者からの口コミで初回利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

よりお得な決済方法を使って増税分をできるだけ解消したい。

JREポイントが貯まるので、改札内のNewDaysや自動販売機を利用するタイミングで決済するなどしたい。(29歳 女性)

霧崎さん 29歳(仮名)
公務員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。Suicaを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。霧崎さん(29歳女性 群馬県)は元々、「決済時にもたついて他の人に迷惑をかけたくない」という考えを持つ方です。世帯年収200~400万円未満ほどで公務員、既婚の女性です。

 霧崎さんは「現金が足りないとき、ATMを探して、手数料を払って下さなくてはならないので不便」と話していました。さらに、消費税が増税したことによって今までよりもお金がかかってしまうとも感じています。

 では、このような状態の霧崎さんに、Suicaを利用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”Suicaを利用することで成立した
価値”

※1

スマートフォンで簡単に決済できるので、財布から小銭を出す手間がかからない。

ブランドが果たした役割

 霧崎さんは現在、Suicaを継続利用しています。最初は「モバイルSuicaはAndroidでもGooglePayを経由で決済ができると友人から聞いて、キャッシュレス決済の広まりとともに利用を開始した」と話していました。さらにSuicaを利用していくうちに、チャージもすぐできて決済も早いからレジで並んでいる人に迷惑をかけなくて済むということに気づき、さらに、SuicaはJREポイントがたまって洋服をお得に買うことができるし、チャージ分もクレジットカードにポイントがたまってお得と感じたため継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 霧崎さんはSuicaを利用する以前、「よりお得な方法を使って増税分をできるだけ解消したい」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、Suicaを利用することにより、チャージもすぐできて決済も早いからレジで並んでいる人に迷惑をかけなくて済むと感じるようになりました。さらに、JREポイントがたまって洋服をお得に買うことができ、チャージ分もクレジットカードにポイントがたまってお得と感じ、アプリを起動しなくても自動で決済をしてくれるという利便性に気づいたことによってSuicaを継続利用するようになりました。
図解

Suicaの顧客体験事例から紐解く

「友人からの口コミ施策で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「身近な人や利用者からの口コミで初回利用を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、霧崎さんは元々「よりお得な方法を使って増税分をできるだけ解消したい」という課題認識を持っていました。そんなときに、モバイルSuicaはAndroidでもGooglePayを経由するとクレジット決済ができると身近な人や利用者から聞き、さらにAndroidの場合は、電源が切れている状態であっても自動決済できると知ったことよって、Suicaの利用を開始しました。その後、Suicaを利用することによって「決済がすぐに終わるので、財布や小銭を出す手間がないし、JREポイントでお得に買い物ができたり、チャージ分もクレジットカードにポイントがたまるのでお得」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負担

増税した分をできるだけ解消できる決済方法にしたい、決済時のもたつきを解消したいという負担

身近な人や利用者からの口コミ

結果

Google Payを利用しているならSuicaもクレジット決済にできるし、スマートフォンの電源が入っていなくても決済できるという身近な人や利用者からの口コミによって、初回利用に結びついた。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。よりお得な方法を使って増税分をできるだけ解消したい、スムーズに決済したいという負担を抱えた生活者が、身近な人や利用者からの口コミにより、AndroidでもGoogle Payを経由するとSuicaがクレジット決済にできるし、スマートフォンの電源が入っていなくても決済できると認識したことが初回利用につながったと言えます。

 この構造を応用することで、スマートフォンの電源が切れてしまった時にSuicaが使えないのではないか、自分のスマートフォンの機種でもお得に決済できるのか、などの不安材料があり、それが使用のハードルになってしまう商品やサービスについて、その商品を利用するメリットと共に、ユーザーがぶつかるであろうハードルは問題ないのだと明確にわかるようにアピールすることで、新規利用促進につながる可能性があります。

注記
※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。