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顧客体験の解説 | ノンアルコール飲料 |

「パーフェクトフリー」から学ぶ

テレビCM施策事例

 
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 今回はノンアルコール飲料の"継続購買"の事例として、"パーフェクトフリー(KIRIN)"の事例を紹介します。お祝いの席に車で出かけた時、アルコールは飲めないが、みんなと一緒にお祝いムードを味わいたい女性(67歳)が、テレビCMを経てパーフェクトフリーを継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

テレビCM施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「パーフェクトフリー」を例にテレビCMが新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、テレビCM施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「テレビCMで新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

結婚式に車で行った時、アルコールは飲めないが、
みんなと一緒にお祝いムードを味わいたい。

お酒を飲まなくても、飲んだ時の雰囲気は味わいたい。(67歳女性 大阪府)

吉本さん 67歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。パーフェクトフリーを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。吉本さん(67歳女性 大阪府)は「アルコールが飲めない時でも、お祝いの時などはみんなと一緒にお祝いムードを味わいたい」という方です。世帯年収は不明で専業主婦、既婚の女性です。

吉本さんは「お酒が飲めない時、ジュースやお茶しか無かったら、口さみしい」と話していました。また、お祝いや飲み会の席でなくても、「休肝日にもリフレッシュしたい」と感じています。

では、このような状態の吉本さんに、パーフェクトフリーを利用するこあとがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”パーフェクトフリーで成立した
価値”

※1

ビールを飲んだ雰囲気を味わえるので、
リフレッシュでき、
うれしい気分になれる。 

ブランドが果たした役割

 吉本さんは現在、パーフェクトフリーを継続購入しています。最初は「キリンは以前、日本初のノンアルコールビールとしてテレビCMをしていた印象があり、とても興味があった。どんな味なのか気になって購入した」と話していました。実際に商品を購入して飲んでみると、お酒を飲んだような気分になれ、お祝いの席などではお祝いムードをみんなと一緒に感じることができると感じました。更に、健康を維持するために休肝日に飲めば、ビールらしさを感じることができるのでリフレッシュできるということに気づき、継続購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 吉本さんはパーフェクトフリーを利用する以前、「アルコールが飲めない時でも、お祝いの時などはみんなと一緒にお祝いムードを味わいたい」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、パーフェクトフリーを利用することにより、お酒を飲んだような気分になれ、お祝いの席などではお祝いムードをみんなと一緒に感じることができると感じ、さらに、継続的に利用していくうちに、「健康を維持するために休肝日に飲めば、ビールらしさを感じることができるのでリフレッシュできる」ということに気づき、パーフェクトフリーを継続利用するようになりました。
図解

パーフェクトフリーの顧客体験事例から紐解く

「テレビCM施策で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「テレビCMで新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、吉本さんは元々「アルコールが飲めない時でも、お祝いの時などはみんなと一緒にお祝いムードを味わいたい」という課題認識を持っていました。そんな時、キリンは日本初のノンアルコールビールだというテレビCMを以前見たことがあり、印象に残っていたので、どんな味なのか気になって購入して飲み始めたところ、パーフェクトフリーを飲むとお酒を飲んだような気分になれ、お祝いの席などではお祝いムードをみんなと一緒に感じることができると感じました。その後、パーフェクトフリーを利用していくにつれ、「健康を維持するために休肝日に飲めば、ビールらしさを感じることができるのでリフレッシュできる」とも感じるようになりました。さらに、「ビールに近い味で、飲んだ感覚を味わったり、リフレッシュすることができる」という価値が成立して、継続購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷+社会的負荷

車移動でアルコールが飲めない状況でも、場の雰囲気やムードを自分も一緒に味わいたいと感じているケース

ノンアルコールでも
ビールに近い味わいを楽しめることをテレビCMで訴求

結果

車を運転するためアルコールを控えなければならない状況でも、ビールを飲んだような感覚で結婚式のお祝いムードをいっしょに楽しみたいと思っていた生活者に、ノンアルコールでもビールのような味わいが楽しめることを訴求したことで、新カテゴリーの味わいへの興味が生まれ、新規購入を促した。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。周りがアルコールを飲んでいる場で、本当は一緒にアルコールを飲んで場の雰囲気やムードを楽しみたいと思いつつも、ドライバーとして必然的に飲むことができない生活者は、TVCMでノンアルコールでありながらビールの味わいが楽しめる商品が誕生したことを知り、「どのような味がするのだろう」と興味が湧き、新規購入に至っています。その後も、健康を維持するために設けている休肝日にも、ビールのような味わいが楽しめて気分もリフレッシュできるので、継続的な購入を行っています。

 この構造を応用することで、生活者は、購入・利用したことのないカテゴリの商品や世の中で初めて誕生したような新しい商品に対して、多少の抵抗を感じたり・疑いを持ったりする場合があります。そのため、マーケターがその商品やサービスを実際に使ってほしいと考えている場所やシーンを訴求することで興味を促し、試供品を提供するなどしてトライアルできる機会をプロモーションの中で作ることは、商品自体の価値や利便性を生活者に気づかせることができ、さらに新商品の初回購入・初回利用の障壁を下げてあげることが可能になると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。