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顧客体験の解説 | 小売店 |「ジュピター」から学ぶ
店頭の品揃え施策事例

 
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 今回は小売店の"新規利用"の事例として、"ジュピター "の事例を紹介します。このケーススタディでは、好きな海外食品を自分が食べたいと思った時に、いつでも食べられるようにしておきたい男性(60歳)が、店頭の品揃えがきっかけでジュピターを新規利用するようになった生活者の顧客体験をご紹介します。
 

店頭の品揃え
施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ジュピター」を例に、店頭の品揃えが新規利用を促進したという構造を持つ顧客体験を基に、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、店頭の品揃えのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ新規利用するに至ったのか、そのプロセスから「店頭の品揃えで新規利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

好きな海外の食品はなかなか他の店で売っていないが、
いつでも食べられるようにしたい

海外のチョコレートやピーナッツバター、アメリカンマヨネーズなど、
好きな食品のストックを切らしたくない。(60歳男性 神奈川県)

寺内さん 60歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ジュピターを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。寺内さん(60歳男性 神奈川県)は「好きな海外のチョコレートやピーナッツバター、アメリカンマヨネーズなどはなかなか売っていないが、いつでも食べられるようにストックを切らしたくない」という方です。世帯年収800~1000万円未満ほどで会社員、既婚の男性です。

 寺内さんは「幼少期に住んでいた家の隣の店にはアメリカ製の洋菓子しか売っていなかったため、子供の頃はハーシーのキスチョコ、スニッカーズ等を食べた記憶しかなく、少し大きくなってからも他の店で外国のお菓子を買っていたことを思い出す」と話していました。しかし、「他にも輸入食品を扱っているお店はあるが、それらの店は定価で販売しているので、緊急時以外には使いたくない」とも感じています。

 では、このような状態の寺内さんに、ジュピターを利用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ジュピターで成立した価値”

※1

他の店では手に入りづらい食材でも、
なんでも買える便利な店なので、
自分が欲しいものはほぼ全て揃えられる。

ブランドが果たした役割

 寺内さんは現在、ジュピターを継続利用しています。最初は「駅構内の店先を歩いていた時、ジュピターの店頭にいつも利用しているお店には置いていないコーヒー豆があったので、気になって入店し、購入した」と話していました。実際に利用してみると、ジュピターに行けば欲しいものがすべて買えてとても便利だし、コーヒーや紅茶の種類も多岐にわたる品揃えで、見ているだけでも楽しく、子供のころを思い出して懐かしい気分にもなれると感じました。また、「インターネットで買うように欲しいもの全てが揃うお店なので、わざわざ出かける価値のある店だし、購入後は幸せな気分になれる」ということに気づき継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 寺内さんはジュピターを利用する以前、「好きな海外の食品はなかなか売っていないが、いつでも食べられるようにストックを切らしたくない」と思ったことで今のままでは良くないと気づかされました。その後、店頭の品揃えに惹かれ入店し、ジュピターを利用し始めたことにより、行けば欲しいものがすべて買えてとても便利だし、コーヒーや紅茶の種類も多岐にわたる品揃えで、見ているだけでも楽しく、子供のころを思い出して懐かしい気分にもなれるし、さらに、継続的に利用していくうちに、「インターネットで買うように欲しいもの全てが揃うお店なので、わざわざ出かける価値のある店だし、購入後は幸せな気分になれる」ということに気づき、ジュピターを継続利用するようになりました。
図解

ジュピターの顧客体験事例から紐解く

「店頭の品揃え施策で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「店頭の品揃え施策で新規利用を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、寺内さんは元々「好きな海外の食品はなかなか売っていないが、いつでも食べられるようにストックを切らしたくない」という課題認識を持っていました。そんな時、店先を歩いた時、ジュピターの店頭にいつも利用しているお店には置いていないコーヒー豆があったので、気になって入店しました。その後、ジュピターを利用していくにつれ、「コーヒーや紅茶の種類も多岐にわたる品揃えで、見ているだけでも楽しく、子供のころを思い出して懐かしい気分にもなれる」、「インターネットで買うように欲しいもの全てが揃うお店なので、わざわざ出かける価値がある」、さらに「購入後は幸せな気分になれる」と感じ、「他の店では手に入り辛い食材でも、なんでも買える便利な店なので、欲しいものはほぼ全て揃えられる」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

入手負担

海外からの輸入食品などの手に入りづらい商品を常にストックしておきたいと感じているケース

店頭の陳列を充実させ、
他店では置いていないような商品も揃えていることを訴求

結果

海外の輸入食品を好んで食べている生活者が、普段利用している他店では見かけたことのないような店頭に陳列された商品に惹かれて新規利用した後、自分好みの商品の品揃えに「見ているだけでも楽しい」と感じて来店し、「ほぼ欲しいものはすべて揃う」「なんでも買える便利なお店」と満足して
継続利用に至っている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。自分好みの商品が身近な実店舗ではなかなか購入できずに入手負荷を感じていた生活者は、店頭のコーヒー豆や、他店では置いていないような商品の品揃えの充実具合を感じたことから入店したと考えられます。また、店内で、それまではインターネットで買っていたような海外輸入の商品を見つけたり、多岐にわたる品揃えのコーヒーや紅茶を見て回ることで、来店時に「子供の頃を思い出して楽しい気持ちになる」と感じたり、購入後に「幸せな気分になる」と感じるなど、情緒的な満足も得られたことが、継続的な利用に繋がったと考えられます。

 この構造を応用することで、インターネット通販が普及した現代で、「店舗にわざわざ出かける価値」を創造する方法として、店内陳列の工夫や、商品の種類の充実、バラエティーに富んだ商品の販売が、店舗で商品を選ぶ価値を高められることができるため有用だと考えられます。また、今回のケーススタディの生活者のような中高年層は、それぞれが幼少期によく口にしていた商品(駄菓子やお菓子など)に、懐かしさを感じたり、過去の体験に紐づいた幸福感・ワクワク感を覚えることがわかります。そのため、お菓子、特に駄菓子のような、一見、味や価格面では子供向きだと思われる商品カテゴリでも、大人(中高年層)にとっては、個人の幸福感を想起するキッカケとなったり、幸福感を誰かに伝えられるツールとしての可能性も秘めています。よってこのような商品は、「情緒的満足が得られる商品」として訴求することで、幅広い年齢層からの需要を創出できると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。