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顧客体験の解説 | チョコレート菓子 |「ガーナ」
から学ぶレシピ掲載施策事例

 
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 今回はチョコレートの"新規購入"の事例として、"ガーナ(LOTTE)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、甘いものが食べたいときや、自分へのちょっとしたご褒美に食べて、幸せな気分になりたい女性(22歳)が、お菓子のレシピにガーナが使われているのを見たことでガーナを再購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

レシピ掲載施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ガーナ」を例に、ガーナがお菓子に使われているレシピを見たことが再購入を促進したという構造を持つ顧客体験を基に、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、レシピ掲載施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ再購入に至ったのか、そのプロセスから「レシピ掲載で再購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

甘いものが食べたいときや、
自分へのちょっとしたご褒美に食べて、
幸せな気分になりたい。

チョコレートを食べて、リラックスしたい。(22歳女性 埼玉県)

相沢さん 22歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ガーナを再購入するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。相沢さん(22歳女性 埼玉県)は「甘いものが食べたいときや、自分へのちょっとしたご褒美に食べてリラックスし、幸せな気持ちになりたい」という方です。世帯年収200万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。

 相沢さんは「子育てや家事がひと段落したときに気分転換したい」と話していました。また、「子供や旦那のために家事等を頑張っていつも明るい母親(妻)でありたい」とも感じています。

 では、このような状態の相沢さんに、ガーナを購入することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ガーナで成立
した価値”

※1

イライラしてしまいそうな時、
ガーナを食べて一息つくと
気持ちが落ち着き、
子供や旦那のために家事を頑張ろう!
と明るい気持ちでいられる。

ブランドが果たした役割

 相沢さんは現在、ガーナを継続購入しています。最初は「バレンタインのお菓子を作ろうとレシピを調べていたところ、テレビCMで美味しそうだと思っていたガーナが使われていたので、スーパーに買いに行った」と話していました。実際に利用してみると、行き詰まった時などに食べると気持ちのリセットができて、休憩後も家事育児を頑張れると感じました。また、「味自体が好みであることに加え、昔から馴染みがある味なので、新商品のチョコレートを食べるよりもリラックスできる」ということに気づき再購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 相沢さんはガーナを利用する以前、「子育てや家事がひと段落したときに気分転換できないとイライラしてしまう」と思ったことで今のままでは良くないと気づかされました。その後、ガーナを利用することにより、行き詰まった時などに食べると気持ちのリセットができて、休憩後も家事育児を頑張れるし、さらに、継続的に購入していくうちに、「いろんな味があるので、その時の気分に合わせて食べたいものを選べる」ということに気づき、ガーナを購入するようになりました。
図解

ガーナの顧客体験事例から紐解く

「レシピ掲載施策で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「レシピ掲載施策で新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、相沢さんは元々「子育てや家事がひと段落したときに気分転換できないとイライラしてしまう」、「甘いものが食べたいときや、自分へのちょっとしたご褒美にチョコレートを食べてリラックスし、幸せな気持ちになりたい」という課題認識を持っていました。そんな時、バレンタインのお菓子を作ろうとレシピを調べてみたら、テレビCMを見て美味しそうだと思っていたガーナが使われていたので、スーパーで購入しました。その後、ガーナを利用していくにつれ、行き詰まった時などに食べると気持ちのリセットができて、休憩後も家事育児を頑張れるし、味自体が好みであり、昔からの馴染みがある味なので、新商品のチョコレートを食べるよりもリラックスでき、「イライラしてしまいそうな時、ガーナを食べて一息つくと気持ちが落ち着いて、明るい気持ちでいられる」という価値が成立して、再購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

社会的負荷

イベントシーズンに合わせて、手作りのお菓子を用意したいと感じているケース

自社の商品を使用する
手作りレシピを
SNSやネットで公開

TVCMで商品のおいしさを
訴求

結果

SNSやネットで商品を利用したレシピが公開されていたことが、昔から食べ慣れた商品を再購入するきっかけになっている。購入後は、食べることでリラックスできて気持ちも落ち着くため、生活者の理想とする明るい母親(妻)でいるために欠かせない商品だと生活者が認識したことで、継続購入を促せている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。バレンタインのシーズンに自分でチョコレート菓子を作って用意しようと考えている生活者が、TVCMで見かけておいしそうだと感じていた商品を使ったレシピを見つけたことで再購入するに至っています。商品を一時的なレシピ内での活用だけではなく、その後、食べる中で昔から食べ慣れた味だったこと思い出して愛着を感じ、家事や育児のちょっとしたご褒美として食べたり、一息ついてリラックスしたい時に食べたりすることで、幸せな気持ちを感じられています。また、行き詰まった時も商品を食べてイライラを鎮めることで、理想の自分に近づけていると理解し、継続購入に至っています。

 この構造を応用することで、自社商品を使ったレシピをHPやSNSで公開することが、商品購入のきっかけに繋がると考えられます。また、商品自体のおいしさや良さを訴求するだけでなく、食べるシーンやレシピとして使うシーンをCMや広告で提示してあげることで、その場面や状況に遭遇したときに想起される商品として、生活者の中に印象づけることができると考えられます。さらに、ロングセラー商品としての強みとしてママと娘など、商品を介して生まれる世代間コミュニケーションを訴求することにより、該当する生活者の興味・共感を得ることができます。また、生活者が商品を食べたり使ったりすることで、理想としている人物像や精神状態に近づくことができると感じられた場合、その生活者の中で商品自体の価値が高まるため、購入後の満足や他者への推奨へと繋がっていく可能性が高まります。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。