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顧客体験の解説 |輸入車(外車)|

「Aクラス」から学ぶイベント施策事例

 
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 今回は輸入車の"新規購入"の事例として、"Aクラス(メルセデスベンツ)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、休日は好きな車を運転して爽快な気持ちになりたい男性(35歳)が、イベントで販売員にお勧めされ、そのあと試乗したことで新規購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

イベントでの試乗施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「Aクラス」を例に、イベントでの試乗施策が新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、イベントでの試乗施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規購入さらには継続購入するに至ったのか、そのプロセスから「イベントでの試乗施策で新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

仕事でストレスを感じているので、
休日は車の運転で気分転換したい。

買い物などの時、快適に運転したい。(35歳男性 大阪府)

八代さん 35歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。Aクラスを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。八代さん(35歳男性 大阪府)は「休日は好きな車を運転して爽快な気持ちになりたい」と考えている方です。世帯年収800~1000万円未満ほどで会社員、既婚の男性です。
 
 八代さんは「平日は仕事でストレスを感じているため、休日は好きな車を運転して爽快な気持ちになりたい」と話していました。

 では、このような状態の八代さんに、Aクラスがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”Aクラスで成立した価値”

※1

車に乗っている間は仕事のストレスを
忘れることができる。

ブランドが果たした役割

 八代さんは現在、Aクラスを継続利用しています。最初は「年度末の決算セールのイベントでディーラーの営業マンに勧められて一度試乗させてもらったら、とても乗り心地がよく、購入した」と話していました。実際に購入してみると、高級車を所有していることでブランド品を身につけているような満足感を得られるため、休日に車に乗れることが平日の仕事のモチベーションになっていると感じました。また、「自分の車に乗ると爽快な気持ちになれて、車に乗っている間は仕事のストレスを忘れることができる」ということに気づき、継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 八代さんはAクラスを購入する以前、「平日は仕事でストレスを感じている」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、Aクラスを購入し、使用することにより、「自分の車に乗ると爽快な気持ちになれて、車に乗っている間は仕事のストレスを忘れることができる」と感じ、さらに、Aクラスを利用していくうちに、「Aクラスなのでそこまで周りへの優越感はないが、メルセデスは自分にとって最高の車だし、乗り回すことでストレス発散もできている」ということに気づき、継続的に利用するようになりました。
図解

Aクラスの顧客体験事例から紐解く

「イベントでの試乗で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「イベントでの試乗で初回購入を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、八代さんは元々「平日は仕事でストレスを感じているため、休日は好きな車を運転して爽快な気持ちになりたい」という課題認識を持っていました。
 そんな時、年度末の決算セールのイベントでディーラーの営業マンに勧められて一度試乗させてもらったところ、とても乗り心地が良かったので、購入するに至りました。
 その後、「高級車を所有していることでブランド品を身につけているような満足感を得られるため、休日に車に乗れることが平日の仕事のモチベーションになっている」と感じ、「自分の車に乗ると爽快な気持ちになれて、車に乗っている間は仕事のストレスを忘れることができる」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷

平日は仕事でストレスを感じているため、休日は好きな車を運転して爽快な気持ちになりたいと考えているケース

年度末に決算セールイベントを開催
+
ディーラーの試乗体験で
乗り心地の良さを訴求

結果

生活者は年度末の決算セールのイベントで試乗体験を行い、乗り心地の良さを実感したことで購入に至っている。その後、自分の車に乗ることで爽快感を感じたり、車に乗っている間は仕事のストレスを忘れられることに気づき、ブランドへ愛着を抱くようになっている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。「休日に好きな車を運転して爽快な気持ちになることで、平日の仕事でのストレスを解消したい」と考えている生活者は、年度末の決算セールイベントで試乗体験を通して、乗り心地の良さを実感したことで車を購入するに至っています。それ以降、土日に車に乗れることをモチベーションにして平日は仕事に取り組めるほどになっています。また、高級車を所有することはブランドを身に着けているのと同じだと考えていることから、自己表現の手段としても車を活用していることが分かります。

 この構造は、車やバイクなどの商品に応用することができ、自分が乗車したり運転するような商材では、実際に乗り心地を体験することで自分向きだと実感できたり、購入後のライフスタイルの変化をリアルにイメージできたりすることで生活者の購入への意欲が高まるのではないかと考えられます。また、車のように日々乗り回したり、身に着けたりするカテゴリでは、商品自体のブランド力が自分自身のステータスを表す手段だと考えている生活者も一定数存在するため、高級感のあるイメージを訴求するとともに、その商品を使用することでライフスタイルが充実しそうだと期待させることも重要であると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。