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顧客体験の解説 | 直営店 |「TOMIZ」から学ぶ
インターネットの商品紹介と公式HP施策事例

 
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 今回は直営店の"新規利用"の事例として、"TOMIZ(富澤商店)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、家族がおいしいと言ってくれる料理を作りたい女性(39歳)が、インターネットの商品紹介でTOMIZの商品を知って興味を持ち、その後公式HPを見たことで新規利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

インターネットの商品紹介
と公式HP施策

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新規利用

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「TOMIZ」を例に、インターネットの商品紹介と公式HPが新規利用を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、インターネットの商品紹介と公式HPのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規利用さらには継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「インターネットの商品紹介と公式HPで新規利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

家庭的で料理ができる女性でありたい、
家族がおいしいと言われたい。

バレンタインやクリスマスなどお菓子を作るイベントの前は、
なにを作ろうかなとワクワクした気持ちになりたい。(39歳女性 東京都)

山本さん 39歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。TOMIZを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。山本さん(39歳女性 東京都)は「家族がおいしいと言ってくれる料理が作れる、家庭的な女性でいたい」と考えている方です。世帯年収1000~1200万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。

 山本さんは「バレンタインやクリスマスなどお菓子を作るイベントの前は、なにを作ろうかなと、ワクワクした気持ちになりたい」と話していました。

 では、このような状態の山本さんに、TOMIZがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”TOMIZを利用することで成立した価値”

※1

店舗で食材を選ぶことで、
自分のモチベーションをアップできる

ブランドが果たした役割

 山本さんは現在、TOMIZを継続利用しています。最初は「インターネットで富澤商店のホットケーキミックスが話題になっていたので興味を持ち、公式HPを訪問したところ、魅力的な商品が多かったので店舗に行ってみたくなった」と話していました。実際に利用してみると、店内には見たこともない食材が並んでいるため自分の視野が広がり、より料理やお菓子づくりを頑張りたくなると感じました。また、「まず店舗で食材を選んでいる時点で優雅でゆったりした気持ちになれるし、実際に料理やお菓子づくりをする時のモチベーションも上がる」ということに気づき、継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 山本さんはTOMIZを利用する以前、「品質の良い材料が買えないと、お菓子の出来がいまいちになりそうで気分が上がらない」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、「店舗で食材を選ぶことで優雅でゆったりした気持ちになれる上に、自分のモチベーションも上げることができる」と感じ、さらに、TOMIZを利用していくうちに、「店舗で購入したこだわりの材料を使い、家族にケーキを作ったら、おいしいと褒められて嬉しい」ということに気づき、継続的に利用するようになりました。
図解

TOMIZの顧客体験事例から紐解く

「インターネットの商品紹介と公式HPで初回利用を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「インターネットの商品紹介と公式HPで初回利用を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、山本さんは元々「家庭的で料理ができる女性でありたい、家族がおいしいと言ってくれる料理を作りたい」という課題認識を持っていました。
そんな時、ネットでTOMIZのホットケーキミックスが話題になっており、公式HPを見に行ったところ、他にも魅力的な商品が多く店舗に行ってみたいと思い、利用するに至りました。
その後、TOMIZを継続して利用していく中で、「店内には見たこともない食材が並んでいるため自分の視野が広がり、より料理やお菓子づくりを頑張りたくなる」と感じ、「店舗で食材を選ぶことで優雅でゆったりした気持ちになれる上に、自分のモチベーションも上げることができる」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

社会的負担

家庭的で料理ができる女性でありたい、家族がおいしいと言ってくれる料理を作りたいと考えているケース

自社商品に関する話題作り

公式HP内で商品の魅力が感じられるような情報を訴求

結果

こだわりの材料でおいしい料理を作りたいと思っている女性に、公式HPを通して魅力的な商品を多数揃えていることを訴求したことで、初回来店を促せている。またその後も、店舗で食材を選んでいる時から、優雅でゆったりした気持ちになれる、と満足感を感じさせたことで、継続的な利用を促進できている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。家族のためにも「家庭的で料理のできる女性」でありたい、と考えている生活者が、話題になっていたブランドの商品をきっかけにブランドの公式HPを訪れた際に、生活者に対して、品質が高く、他の店舗では取り揃えていないような商品も購入できるという魅力を訴求できたことで、初回来店を促せています。また、店舗内で食材を見て回ることで優雅な気持ちになれたり、ワクワクした気持ちになれることで、もっと料理やお菓子作りを頑張ろうと思えたり、家族にもブランドの商品で作った料理を褒めてもらえたりしたことで、継続的な利用に至っていると考えられます。

 この構造を応用することで、店舗の継続利用に繋げるためには、商品の品質の高さやこだわりだけでなく、店内体験も重要であることが分かります。趣味や暇つぶしではなく、常日頃から料理や家事をしている生活者のような主婦・主夫にとっては、今度は何を作ろうかな、とワクワクした気持ちになったり、料理・お菓子づくりを頑張ろうとモチベーションを保ったりするのは難しいことだと考えられます。生活者が店舗に来るだけで楽しい気持ちになれたり、やる気を引き起こせたりするように、季節やイベント、店舗ごとのターゲットに合わせて、店舗の空間づくりを定期的に見直したり、身近な人物から褒めてもらえる機会が得られるようにブランドが仕掛けることで満足感も生まれ、継続的な利用を促せると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。