Collexia 
Marketing 
Casestudy

顧客体験の解説 | 調理家電 |
「おりょうりケトル ちょいなべ」から学ぶ
外出自粛による新たな需要獲得事例

 
  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 今回は家電の"顧客満足の獲得"の事例として、電気ケトル "おりょうりケトル ちょいなべ(シロカ)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、手間をかけず簡単に食事の用意を済ませたいと思っている男性(20歳)が、外出自粛中にテレビ番組の特集で商品を見て興味を持ち、価格比較サイトで調べたあと購入し、使用していく中で満足度が高まっていった、という顧客体験をご紹介します。
 

外出自粛による
新たな需要獲得

×

顧客満足の獲得

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「おりょうりケトル ちょいなべ」を例に、外出自粛により生まれた新たな需要を商品が満たしたことで、満足度が高まったという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、おりょうりケトルのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、顧客の満足度を高めたのか、そのプロセスから「外出自粛による新たな需要を満たし顧客満足を獲得する」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

外出自粛により自炊する機会が増えたが、
手間がかかりストレスが溜まる。

手間をかけずに食事の用意を済ませて、勉強の時間を確保したい。(20歳男性 東京都)

川崎さん 20歳(仮名)
学生

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。おりょうりケトル ちょいなべを購入・使用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。川崎さん(20歳男性 東京都)は「外出自粛により自炊の機会が増えたが、料理は手間がかかるためストレスが溜まる」と考えている方です。学生、未婚の男性です。

 川崎さんは「鍋でお湯を沸かすと火を気にかけなければならないため、他のことに集中できない」と話していました。

 では、このような状態の川崎さんに、おりょうりケトル ちょいなべがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”おりょうりケトル ちょいなべを購入・使用することで成立した価値”

※1

”ながら料理”で勉強に集中でき、
1台で様々な食事が作れる。

ブランドが果たした役割

 川崎さんは現在、おりょうりケトル ちょいなべを購入し使用しています。最初は「テレビ番組の特集で、1台で様々な食事が作れると知って興味を持ち、価格比較サイトで調べて購入した」と話していました。実際に使用してみると、電気だけで調理できるので火を気にかける必要がなく、手間をかけず簡単に食事の用意を済ませられるため、勉強の時間も確保できると感じました。また、「リモート授業の合間や休憩時でも”ながら料理”できるため、勉強に集中できてとても便利だ」ということに気づき、商品への満足度がより高まったと考えられます。

顧客体験の変化

 川崎さんはおりょうりケトル ちょいなべを購入する以前、「自炊は手間がかかるため時間ももったいないし、ストレスが溜まっていく」と気づき、このままではいけないと思いました。その後、おりょうりケトル ちょいなべを購入し使用することにより、「お湯を沸かすのも面倒なときでも、これなら簡単にそれなりの食事が作れる」と感じ、さらに、おりょうりケトル ちょいなべを使用していくうちに、「簡単に食事が用意できるようになったので、勉強に時間を割けるようになった。外出自粛中も学力を伸ばして、優秀な自分でいられそう」だと気づき、商品への満足度が高まっていきました。
図解

おりょうりケトル ちょいなべの顧客体験事例から紐解く

「外出自粛による新たな需要を満たし顧客満足を獲得する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「外出自粛による新たな需要を満たし顧客満足を獲得する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。このストーリーでは、川崎さんは元々「外出自粛により自炊する機会が増えたが、手間がかかるためストレスが溜まるし、調理にかかる時間ももったいない」という課題認識を持っていました。
 そんな時、テレビ番組の特集からおりょうりケトル ちょいなべに興味を持ち、価格比較サイトで調べた上で購入するに至りました。その後、おりょうりケトル ちょいなべを使用していく中で、「電気だけで調理できるので火を気にかける必要がなく、手間をかけず簡単に食事の用意を済ませられるため、勉強の時間も確保できる」と感じ、「リモート授業の合間や休憩時に”ながら料理”できるため勉強に集中できるし、自分でも1台で様々な食事が作れる。」という価値が成立して、商品への満足感がより高まりました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷+時間的負荷

外出自粛により、自炊しなければならない機会が増えたが、手間がかかりストレスも溜まるし、時間ももったいないと感じているケース

「電気だけで調理ができる」、「1台で様々な食事が作れる」という商品情報をテレビ番組の特集を通して訴求

結果

外出自粛の期間中、自宅でリモート授業を受けているため、短時間で手間をかけずに食事を作りたいと考えている生活者に、テレビ番組の特集を通して1台で食事が作れるという点を訴求したことで購入を促せている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。リモート授業の合間や休憩時間に、手間をかけずにできるだけ早く料理を作りたいと考えている生活者に、テレビ番組の特集を通して、1台あれば電気のみで様々な食事が作れる点を訴求したことで購入を促せています。自粛期間中もできるだけ勉強に時間を割いて「優秀な自分でありたい」と考えている生活者は、この商品のおかげで勉強や休憩の途中に”ながら調理”するだけでそれなりの食事ができるため、時間を無駄にせずに済み、勉強にも集中できていると満足しています。

 この構造を応用することで、自炊をストレスに感じている生活者には、手間をかけずに食事が作れるという点を訴求することで調理器具や家電の購入を促すことができると考えられます。また、昨今のコロナウイルスの影響で外出を制限されたことにより家で食事をとる機会が多くなったため、自炊の必要性を感じ始めている生活者も増えていると考えられます。そのような生活者に対しては、自炊への負荷を減らしつつ、自炊するという本来の目的は達成できる点を訴求することで、購入後の顧客満足を獲得できると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。