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顧客体験の解説 |テレビ|

「VIERA」から学ぶ販売員のお勧め施策事例

 
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 今回はテレビの"継続購入"の事例として、"VIERA(パナソニック)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、シンプルな機能のものを使いたいと考えている女性(36歳)が、販売員のお勧めで新規購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

販売員のお勧め施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「VIERA」を例に、販売員のお勧めが新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、販売員のお勧めのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規購入さらには継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「販売員のお勧めで新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

多機能な製品だと煩わしいため、
シンプルな機能のものを使いたい

機能も使い方もシンプルなものを使いたい。(36歳女性 埼玉県)

津田さん 36歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。VIERAを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。津田さん(36歳女性 埼玉県)は「シンプルな機能のものを使いたい」と考えている方です。世帯年収800~1000万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。

 津田さんは「多機能な製品だと煩わしさを感じるため、自分が使う機能に厳選されたシンプルなものを使いたい」と話していました。

 では、このような状態の津田さんに、VIERAがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”VIERAを購入することで成立した価値”

※1

子供も使いこなせるし、家族共通の話題ができて仲も深まった

ブランドが果たした役割

 津田さんは現在、VIERAを継続利用しています。最初は「店舗の販売員から、余計な機能がなくて使い方も簡単であると教えられ、自分に良さそうだと思い購入した」と話していました。実際に購入してみると、子供の年齢層が幅広いため、これまではそれぞれで遊んでしまっていたが、新しいテレビが来てからは、みんなが楽しめる番組が簡単に見つけられるようになったので、みんなで一緒に笑い合いながら見れていると感じました。また、「操作が簡単なため自分や子供も使いこなせるし、みんなで見る中で家族共通の話題ができて仲も深まった」ということに気づき、継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 津田さんはVIERAを購入する以前、「多機能な製品だと煩わしい」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、VIERAを購入することにより、「操作が簡単なため自分や子供も使いこなせるし、みんなで見る中で家族共通の話題ができて仲も深まった」と感じ、さらに、VIERAを購入していくうちに、「子供が騒いでいてテレビの音声が聞こえない時も、字幕機能を活用することでノンストレスで見れるようになった。テレビを見る時間が唯一自分がゆっくりできる時間である」ということに気づき、継続的に利用するようになりました。
図解

VIERAの顧客体験事例から紐解く

「販売員のお勧め施策で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「販売員のお勧めで初回購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、津田さんは元々「多機能な製品だと煩わしさを感じるため、自分が使う機能に厳選されたシンプルなものを使いたい」という課題認識を持っていました。
 そんな時、店舗の販売員から、余計な機能がなくて使い方も簡単であると教えられ、自分に良さそうだと思い購入するに至りました。
 その後、VIERAを継続して利用していく中で、「子供の年齢層が幅広いため、これまではそれぞれで遊んでしまっていたが、新しいテレビが来てからは、みんなが楽しめる番組が簡単に見つけられるようになったので、みんなで一緒に笑い合いながら見れている」と感じ、「操作が簡単なため自分や子供も使いこなせるし、みんなで見る中で家族共通の話題ができて仲も深まった」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

管理負担

多機能な製品は操作が複雑になるので、自分には不要だと感じているケース

必要な機能のみに
厳選されていて、
使い方も簡単であることを
販売員の説明などを通して
訴求

結果

余計な機能がついている製品は複雑なので、自分には不要だと感じている生活者は、購入時に販売員の説明を受けて、この製品が一番シンプルで簡単に使えそうだと感じて、購入に至っている。その後、テレビのおかげで家族共通の話題が生まれ、自宅でもゆっくりとくつろげる時間を作れていると感じている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。製品の細かい仕様の煩わしさに懸念を感じていて、使い方がシンプルで余計な機能がない、という点を重視していた生活者に、販売員が必要な機能に厳選されていて使い方も簡単であるという製品説明を行ったことで、自分向きだと感じさせることができて購入に至らせています。子供の年齢層が幅広く時間を共有しづらいと認識していた生活者が、テレビを家族で観る中で共通の話題が生まれ、家族の仲も深まり、みんなで一緒に笑い合える時間ができたことに幸せを感じ、自分の身近なコミュニティに対する不安が解消されたことで、商品に対して情緒的価値を実感し、製品自体に満足していることが伺えます。

 この構造を応用することで、技術の進歩により、様々な最先端の機能を搭載した製品が増えていますが、自分自身が使う機能に厳選されている製品のほうが好ましいと感じている生活者に対しては、「機能のシンプルさ」や「操作の簡易さ」を訴求することで、自分向きだと認識してもらえる可能性が高いと言えます。生活者それぞれが求めている機能レベルに合わせた製品ラインナップを段階的に展開することで、様々なニーズを持っている生活者全体をターゲットとすることが可能になると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。