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顧客体験の解説 | 調理家電 | 象印のホットプレート|
から学ぶ新たな需要獲得事例

 
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 今回は調理家電の"顧客満足の獲得"の事例として、"ホットプレート(象印)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、本当は外で少し贅沢な食事をしたいのに、外出自粛中で制限されているのでつまらないと考えている女性(29歳)が、友人からのお勧めで購入し、使用していく中で満足度が高まっていった、という顧客体験をご紹介します。
 

外出自粛による
新たな需要獲得

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顧客満足の獲得

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ホットプレート」を例に、外出自粛により生まれた新たな需要を商品が満たしたことで、満足度が高まったという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、ホットプレートのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、顧客の満足度を高めたのか、そのプロセスから「外出自粛による新たな需要を満たし顧客満足を獲得する」の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

本当は外で少し贅沢な食事をしたいのに、
外出自粛中の生活で自粛疲れが溜まる。

外出自粛中だけど、美味しいものを食べたい(29歳女性 神奈川県)

野村さん 29歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。象印のホットプレートを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。野村さん(29歳女性 神奈川県)は「外出自粛中だけど、美味しいものを食べたい」と考えている方です。世帯年収200~400万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。

 野村さんは「本当は外で焼肉やお好み焼きなど少し贅沢な食事をしたいのに、外出自粛中で制限されているので自粛疲れが溜まる」と話していました。
 
 では、このような状態の野村さんに、象印のホットプレートがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”象印のホットプレートを購入することで成立した
価値”

※1

外出自粛でもホットプレートで
家の中で楽しく過ごせる。

ブランドが果たした役割

 野村さんは現在、象印のホットプレートを継続利用しています。最初は「友人から象印のホットプレートはお好み焼きやたこ焼きも作れるから、みんなで囲んで食事したいときに便利だとオススメされたので購入した」と話していました。実際に使用してみると、外に出られなくても、みんなでホットプレートを囲んで美味しい食事を食べれば、家の中でも楽しく過ごせてストレス発散ができると感じました。また、「外出自粛など制限されている状況でも、ホットプレートがあれば家の中で楽しく過ごすことが出来る」ということに気づき、商品への満足度がより高まったと考えられます。

顧客体験の変化

 野村さんは象印のホットプレートを購入する以前、「本当は少し贅沢な外食をしたいのに、外出自粛中で制限されているので自粛疲れが溜まる」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、象印のホットプレートを利用することにより、「外出自粛など制限されている状況でも、ホットプレートがあれば家の中で楽しく過ごすことが出来る」と感じ、さらに、象印のホットプレートを利用していくうちに、「ファーストフードのテイクアウトやピザの配達サービスの利用が減り、家庭でも楽しく食事ができることで気晴らしできている」ということに気づき、商品への満足度が高まっていきました。
図解

象印のホットプレートの顧客体験事例から紐解く

「外出自粛による新たな需要を満たし顧客満足を獲得する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「外出自粛による新たな需要を満たし顧客満足を獲得する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、野村さんは元々「本当は外で焼肉やお好み焼きなど少し贅沢な食事をしたいのに、外出自粛中で制限されているので自粛疲れが溜まる」という課題認識を持っていました。
 そんな時、友人から象印のホットプレートはお好み焼きやたこ焼きも作れるから、みんなで囲んで食事したいときに便利だとお勧めされ、購入するに至りました。
 その後、象印のホットプレートを継続して利用していく中で、「外に出られなくても、みんなでホットプレートを囲んで美味しい食事を食べれば、家の中でも楽しく過ごせてストレス発散ができる」と感じ、「外出自粛など制限されている状況でも、ホットプレートがあれば家の中で楽しく過ごすことが出来る」という価値が成立して、商品への満足感がより高まりました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負担

外出自粛中で外に出られないため、外食などで気晴らしもできず疲れが溜まっているケース

1台でさまざまな
メニューが作れて、
家にいてもみんなで食事が
楽しめる点を訴求

結果

外出自粛中、家でも焼き肉やたこ焼きなどおいしい食事を食べたいと思っていた時に、友人に便利だと勧められ購入に至っている。購入後、子どもと一緒に食事を作ったり、家族みんなで囲みながら楽しく食事ができたことにより、家にいても楽しく過ごすために欠かせない存在だと感じ、自粛疲れも解消できたので満足している。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。外出自粛で疲れが溜まっていた生活者が、家でもたまに贅沢して、楽しく食事したいと思っていた時に、友人の勧めを受けて商品を購入するに至りました。生活者は商品を使うことで、家族が喜ぶようなメニューを食卓を囲いながらみんなで作れたり、家でもちょっと贅沢な気分が味わえることに満足し、また自粛疲れから来るストレスも発散できたことで、家で楽しく過ごすためには欠かせないと感じるほど、商品に価値を見出しています。

 この構造を応用することで、以前は外出でストレスを発散していた生活者に対して、家の中でも同じような気分になれたり、同じような体験ができたりする商品やサービスを訴求することで、今まで認識していなかった新たな価値を感じさせることができて購入を促せると考えられます。また、自社の商品やサービス自体の便益が変わっていなくても、コロナウイルスの影響で生活者の中で様々な価値観の変化が起こっているため、新たな層への需要が生まれていたり、新たな価値を見出している可能性もあります。今後は生活者に起きている変化を確実に捉えて、適切なマーケティング施策を実施していく必要があると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。