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顧客体験の解説 | 加工調味料 |「DONBURI亭牛丼」から学ぶ店頭陳列施策事例

 
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 今回は加工調味料の"継続購入"の事例として、"DONBURI亭牛丼(江崎グリコ)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、手間暇かけずに夫にバランスの取れたご飯を食べさせたい女性(34歳)が、店頭で商品を見たことで新規購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

店頭陳列施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「DONBURI亭牛丼」を例に、店頭陳列が新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、店頭陳列のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規購入さらには継続購入するに至ったのか、そのプロセスから「店頭陳列で新規購入を促進する」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

手間暇かけずに夫にバランスの
取れたご飯を食べさせたい

テレワーク中の夫に時間や手間をかけずにバランスの取れたご飯を食べてもらいたい。
(34歳女性 東京都)

細田さん 34歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。DONBURI亭牛丼を継続購入するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。細田さん(34歳女性 東京都)は「手間暇かけずに夫にバランスの取れたご飯を食べさせたい」と考えている方です。世帯年収600~800万円未満で会社員、既婚の女性です。

 細田さんは「テレワーク中の夫に時間や手間をかけずにバランスの取れたご飯を食べてもらいたい」と話していました。

 では、このような状態の細田さんに、DONBURI亭牛丼がどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”DONBURI亭牛丼で成立した価値”

※1

余裕を持って
出勤できる自分でいられる

ブランドが果たした役割

 細田さんは現在、DONBURI亭牛丼を継続購入しています。最初は「店頭でどんぶり亭のレトルトが目に入り、和食が食べたくなった時にいいなと思い購入した」と話していました。実際に購入してみると、夫の昼食の準備を心配する必要がなくなり、朝も自分の時間をしっかり持てるようになったと感じました。また、「朝は身支度のみ気にかければいいため、余裕を持って出勤できる自分でいられる」ということに気づき、継続購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 細田さんはDONBURI亭牛丼を購入する以前、「夫がテレワーク中は、バランスの取れたものを食べさせるための支度が大変である」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、DONBURI亭牛丼を購入することにより、「朝は身支度のみ気にかければいいため、余裕を持って出勤できる自分でいられる」と感じ、さらに、DONBURI亭牛丼を利用していくうちに、「自分はご飯を用意するだけで、あとは主人が食べる時に商品を温めれば簡単に食べることができるのでバタバタせずに済んでいる」ということに気づき、継続的に購入するようになりました。
図解

DONBURI亭牛丼の顧客体験事例から紐解く

「店頭陳列が新規購入を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「店頭陳列が新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、細田さんは元々「テレワーク中の夫に時間や手間をかけずにバランスの取れたご飯を食べてもらいたい」という課題認識を持っていました。
 そんな時、店頭でどんぶり亭のレトルトが目に入り、和食が食べたくなった時にいいなと思い、購入するに至りました。
 その後、DONBURI亭牛丼を継続して購入していく中で、「夫の昼食の準備を心配する必要がなくなり、朝も自分の時間をしっかり持てるようになった」と感じ、「朝は身支度のみ気にかければいいため、余裕を持って出勤できる自分でいられる」という価値が成立して、継続購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

時間的負荷

テレワーク中の夫に時間や手間を省きつつも、バランスの取れたご飯を食べてもらいたいケース

店頭で目立つパッケージや
陳列で配置

結果

テレワーク中の夫に時間や手間を省きつつも、バランスの取れたご飯を食べてもらいたい生活者が、店頭で商品を見かけて、和食が食べたい時に良さそうだと感じて購入に至っている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。テレワーク中の夫に時間や手間を省きつつも、バランスの取れたご飯を食べてもらいたい生活者が、店頭で商品を見かけて和食が食べたい時に良さそうだと感じて購入に至っています。夫の昼食を心配する必要がなくなったため、朝も余裕をもって自分の支度をして出勤できるようになったので助かると感じ、常にストックするために継続購入しています。

 この構造を応用することで、食事のように工程が何段階にも渡る行為の手間や時間を、商品やサービスを使って省くことで、どのような生活変化が起こりうるのかをCMやプロモーションを通じて訴求することで、初回購入を促せる可能性があります。また、テレワークの普及や外出自粛により、内食や中食の頻度が増えているため、食事に関する負担を軽減できる商品やサービスへの需要が高まっているのではないかと考えられます。

 上図のような生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を実際のマーケティング施策で役立てる方法や、マーケティング施策に使えるカスタマージャーニーの創り方については「カスタマージャーニーの教科書」に掲載しております。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。