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顧客体験の解説 | アパレルブランド |「無印良品」から学ぶ商品紹介施策事例

 
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 今回はアパレルブランドの"継続購入"の事例として、"無印良品"の事例を紹介します。このケーススタディでは、クーラーにあたる時間が増えたことで足元が冷えるようになり、冷え性対策をしたいと考えている女性(61歳)が、公式サイトや店頭で商品紹介を見て、良いものだと感じて継続購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

商品紹介施策

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継続購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「無印良品」を例に、商品紹介が継続購入を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、商品紹介施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、継続購入させるに至ったのか、そのプロセスから「商品紹介で継続購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

足元が冷えるようになったので
冷え性対策がしたい

コロナの影響で家でクーラーにあたる時間が増えて足元が冷えるようになってしまったので、
冷えをなくして免疫力を上げたい(61歳女性 大阪府)

松野さん 61歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。無印良品を継続購入するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。松野さん(61歳女性 大阪府)は「もともと冷え性だったがクーラーにあたる時間が増えて、より足元が冷えるようになったので対策したい」と考えている方です。世帯年収600~800万円未満ほどで会社員、未婚の女性です。

 松野さんは「常に冷え性対策をすることで冷えを少なくして免疫力を上げたい」とも話していました。

 では、このような状態の松野さんに、無印良品がどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”無印良品で成立した価値”

※1

身の回りを同じブランドで
揃えることで気分も上がる

ブランドが果たした役割

 松野さんは現在、無印良品を継続利用しています。最初は「公式サイトや店頭を見て、少し高くても毎日使いやすいシンプルで良いものだと感じて分厚い靴下を購入した」と話していました。実際に分厚い靴下を使ってみると、冷えが軽減され、靴を履いて歩く時も楽になったことで足取りが軽くなったと感じました。また、このことをきっかけに、「毎日身に付けるものには少々お値段が張っても購入しよう」と思うよになり、「靴下以外の他の商品も長持ちする良いものが多く、同じブランドで揃えることで自分の気分も上がる」ということに気づき、ブランドの商品を継続購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 松野さんは無印良品の分厚い靴下を購入する以前、「足元が寒いと足取りも重く、常に冷えた身体に苦しめられながら生活したくはない」と感じて、このままではいけないと思いました。その後、無印良品の分厚い靴下を利用することで、「靴下のおかげで冷え性対策ができ気持ちも楽になったし、外出する際は靴の履き心地が良くなったことで足も疲れにくくなった」と感じ、さらに、無印良品のお店に行くと、「シンプルで良いものがたくさんあって、家中をシンプルで過ごしやすい空間にしてくれる」ということに気づき、ブランドの商品を継続的に購入するようになりました。
図解

無印良品の顧客体験事例から紐解く

「商品紹介で継続購入を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「商品紹介で新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、松野さんは元々「コロナの影響で家にいてクーラーにあたる時間が増えたことで足元が冷えるようになり、冷え性対策をしたい」という課題認識を持っていました。
 そんな時、冷え性対策のサイトを見る中で無印良品の公式サイトにたどり着き、HPや店頭で分厚い靴下を見て、少し高くても毎日使いやすいシンプルで良いものだと感じて購入するに至りました。
 その後、利用していく中で、「ひとまわり分厚い靴下のおかげで冷えが軽減され、靴を履いて歩く時も楽になったことで足取りが軽くなった」と感じ、お店に通うなかで「靴下以外の他の商品も長持ちする良いものが多いので、同じブランドで揃えることで気分が上がる」という価値が成立して、継続利用するに至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

身体的負荷

コロナの影響で家にいてクーラーにあたる時間が増えたことで足元が冷えるようになり、冷え性対策をしたいと考えているケース

店頭の品揃えやサイト内で
シンプルで使いやすいイメージを定着させる

結果

コロナの影響で家にいてクーラーにあたる時間が増えて足元が冷えるようになり、冷え性対策をしたい生活者が、公式サイトや店頭を見て、少し高くても毎日使いやすいシンプルで良いものだと感じて購入に至っている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。コロナの影響で家にいてクーラーにあたる時間が増えたことで足元が冷えるようになり、冷え性対策をしたいと考えている生活者が、公式サイトや店頭を見て、少し高くても毎日使いやすいシンプルで良いものだと感じて購入に至っています。ひとまわり分厚い靴下のおかげで冷えが軽減され、靴を履いて歩く時も楽になったことで足取りが軽くなったと感じて、今後は靴下以外の他の商品も同じブランドで揃えて気分が上げていきたいと考えています。

 この構造を応用することで、コロナの影響で日用品や衣服の需要に変化が起きていると考えられるため、自社の顧客理解を深めて需要を把握して適切な商品を提供していくことで、ユーザーの離反防止や新規ユーザーの獲得に繋げることができると考えられます。また、商品の検討段階では公式サイト含めネットを活用し、そのあと店頭で商品を見て購入を決める生活者のために、公式サイトと店頭のイメージを統一したり、店頭で商品を見つけやすくする工夫をしていく必要があると考えられます。

 発売中の書籍『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する』では、上図の応用可能性のように顧客体験を設計してブランドが次に打つべき企画や施策のアイデアを導き出す方法を解説しています。
『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する(Web担選書)』村山幹朗(著) 芹澤 連(著)(上記をクリックすると、amazonの販売ページに移動します。)

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。