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顧客体験の解説 | アパレルブランド |
「UNIQLO」から学ぶO2O・デジタルチラシ事例

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 今回は"O2O・デジタルチラシ"の事例として、"UNIQLO"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、子どもには高い服ではなくても清潔感のある服装を用意してあげたい女性(42歳)が、LINEチラシ広告により、UNIQLOのファンになった、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「5-15万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
O2O・デジタルチラシでファン化を促す

O2O

×

ファン化

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「UNIQLO」を例に、O2O・デジタルチラシがファン化を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、O2O・デジタルチラシのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「O2O・デジタルチラシでファン化を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

清潔でもすぐ痛んでしまうと買い替えが大変

安いだけの衣服だと、結局すぐ汚れたり破けたりして、買い替えることになってお金がかかる。安くても質が良いものがいい。(42歳女性 千葉県)

加藤さん 42歳(仮名)
パート・アルバイト

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。UNIQLOを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。加藤さん(42歳女性 千葉県)は元々、「清潔さが大事なので、新品で安い衣類が良いが、清潔でもすぐ痛んでしまうと買い替えが大変」という方です。自身は目指したいあり方として「清潔で安くて丈夫な服であれば、兄弟で色違いのおそろいを買ってあげたりもできる」とも考えている、世帯年収600~800万円未満ほどで、パート・アルバイト、既婚の女性です。

 一方加藤さんは、「安くても質がよくなければ無駄なお金を使ってしまうことになる」とも話しており、この時には金銭的負荷, 頻繁な買い替え・更新の必要性を感じたと話しています。しかし、家族が清潔な服を着て過ごせると考えている状況です。

 では、このような状態の加藤さんに、UNIQLOがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”UNIQLOで
成立した価値”

※2

多くの色から選べる服を、安く買える

ブランドが果たした役割

 加藤さんは現在、LINEで今週のチラシなどの情報が送られてくるので、それをチェックして、実際に店舗に行って購入することが多いようです。このようにUNIQLOを利用し続け、現在はファンになりました。最初は「LINEで情報を受け取って、店舗で購入した今週のチラシで、今安いものや新商品の情報を見て、安いなとかいいなと思って購入」という体験を経ており、「LINEチラシによるセール情報」「多くのカラーバリエーションの用意」という特長が「多くの色から選べる服を安く買える」という価値を加藤さんに提供し、ファン化に至らせたと考えられます。

顧客体験の変化

 加藤さんはUNIQLOを利用する以前、「多少ボロが出ていても、すぐ気づくけれどまあいいかなと判断してしまい、傷んだ服を使い続けたことがあった」と話しており、この時に今のままでは良くないと気づきました。その後UNIQLOを利用することで、安くても質がいいものが多い、品揃えもよくたくさんの中からほしいものを選べる、すぐ汚れたり破れたりしない、兄弟でお揃いや色違いの服などを買ってあげられる、といったことが実現できるようになりました。
図解

UNIQLOの顧客体験事例から紐解く

「O2O・デジタルチラシでファン化を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

5-15万人

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「O2O・デジタルチラシでファン化を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

 このストーリーでは、加藤さんは元々「清潔でもすぐ痛んでしまうと買い替えが大変」という課題認識を持っていました。そこにUNIQLOが「LINEチラシと店頭でカラーバリエーションがわかる陳列を提供」することにより、O2O・デジタルチラシが機能したことで、「多くの色から選べる服を安く買える」という価値が成立して、ファン化に成功しました。また「5-15万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

管理負荷

清潔で新しいものの為に頻繁に買い替える必要があるが、コーディネートも気にしたい場合の課題

O2O・
デジタルチラシ

結果

安く手に入るタイミングで購入できる上、カラーバリエーションが事前に確認できると組み合わせを選べるので、買い続けられる

 
  今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。金銭的負荷, 頻繁な買い替え・更新の必要性を感じている生活者に、O2O・デジタルチラシ(LINEチラシ、店頭でカラーバリエーションがわかる陳列)が対応したことで「安くて色が豊富な商品を手に入れられるようなった」という認識が生まれ、その結果ファン化したと言えます。

 この構造を応用することで、他にも「コスト重視で安く頻繁に買い替えたいが、見た目も意識したい」商品やサービス(例:タオルリネンやマスク等)についても、O2O・デジタルチラシ(LINEチラシ、店頭でカラーバリエーションがわかる陳列)を用いる事で、同じ商品でも買うたびにカラーを変える等して使い続けられるので、ファン化に導ける可能性があると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。