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顧客体験の解説 | リテールブランド |
「Loft」から学ぶO2O施策事例

 
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 今回は"O2O施策"の事例として、"Loft"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、忙しくなると些細な可愛さや楽しさを忘れてしまいがちになる女性(25歳)が、アプリとポイント利用により、Loftのファンになった、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「20-30万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
O2O施策でファン化を促す



O2O

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ファン化

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「Loft」を例に、O2O施策がファン化を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、O2O施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「O2O施策でファン化を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

“忙しくなると些細な可愛さや楽しさを忘れてしまいがち”

毎日毎日仕事で疲れる中で、やっぱり少しでも安らぎや癒しが欲しいと考えているが、
忙しかったりするとそんな些細な気持ちもどこかに置いていきがちなので、常に自分も笑顔で居られるようにしたい。(25歳女性 埼玉県)

吉田さん(25歳)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。Loftを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。吉田さん(25歳女性 埼玉県)は「忙しくなると些細な可愛さや楽しさを忘れてしまいがちになる」と話している方ですが、「毎日毎日仕事で疲れる中で、やっぱり少しでも安らぎや、癒しが欲しいと考えるのは当然のこと。可愛い文房具で、クスッと笑ってもらえたり、可愛いメッセージ用の付箋で癒されたり。そういうことが当たり前になってる人でありたい。」と考えている、世帯年収300~400万円未満ほどで、会社員、独身の女性です。

 吉田さんは「以前は100円ショップなどで購入していました。安くていいものもあるけど、やっぱり、100円なりの品質だったりしていた。」と話しており、この時には運用負荷(買いに行って探したりするのが手間)を感じたと話しています。しかし、気分転換にかわいい小物があるお店に行くこと自体は続けたいと考えている状況です。

 では、このような状態の吉田さんに、Loftがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”Loftが提供
した価値”

※2

忙しい仕事の中でも
笑顔を忘れないでいられる

ブランドが果たした役割

 吉田さんは現在、Loftの文房具のインスタグラムアカウントがあることを知り、フォローし、定期的にチェックし、欲しいものがあった場合、店舗に行くようにしています。そして現在はすっかりLoftのファンになりました。最初は「店頭でアプリをダウンロードして、その場で購買した。比較的頻繁にロフトに行って文房具を購入するので、アプリならカードはたまらないし、ポイントを貯められるならいいなと思って、ダウンロードしてから購入しました。」と話しており、「ポイントプログラム」という特長がきっかけでアプリを使うようになり、「インスタグラムでの商品紹介」を見ることで日々の商品のチェックから来店へとつながる体験が作られた結果、Loftは「忙しい仕事の中でも笑顔を忘れないでいられる」を吉田さんに提供し、ファンに育てられたと考えられます。

顧客体験の変化

 吉田さんはLoftを利用する以前は、100円ショップ等で小物を手に入れていましたが、品質の低さや買いに行く手間を感じていました。その後Loftを利用するようになったことで、「いろんな人に商品をおすすめしたり、商品を通じて楽しく会話出来ることにつながったり、営業のきっかけになったりしています。」と話しています。
図解

Loftの顧客体験事例から紐解く

「O2O施策でファン化を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

20-30万人

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「O2O施策でファン化を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

 このストーリーでは、吉田さんは元々「忙しくなると些細な可愛さや楽しさを忘れてしまいがち」という課題認識を持っていました。しかし、Loftが、「アプリのポイントプログラムとインスタグラムでの商品紹介を提供することで、」によりO2O施策が機能したことで、「忙しい仕事の中でも笑顔を忘れないでいられる」という価値が成立して、ファン化に成功しました。また「20-30万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

情報負荷

商品カテゴリ内のアイテム数が多かったり、好みがわかれやすい商品カテゴリの課題

O2O施策

結果

日々の仕事を楽しくしてくれる雑貨をいち早く知れるという価値に気づき、ファン化した。

 
  今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。運用負荷を感じている生活者に、O2O施策(アプリのポイントプログラム、インスタグラムでの商品紹介)が対応したことで「日々の仕事を楽しくしてくれる雑貨をいち早く知れる」という認識が生まれ、その結果ファン化したと言えます。

 この構造を応用することで、他にも「自分が好きな商品を見つけるのが大変」と考えている消費者をターゲットとしている商品やサービス(例:アパレル・化粧品 等)についても、O2O施策(アプリのポイントプログラム、インスタグラムでの商品紹介)を用いる事でファン化に導ける可能性があると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。