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顧客体験の解説 | リテールブランド |
「無印良品」から学ぶO2O施策事例
Online to Offline case:14004
今回は"O2O施策"の事例として、"無印良品"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、シンプルで慎ましいデザインを好み、新しい発見ができる自分でありたい女性(29歳)が、雑誌の広告や特集、アプリにより、無印良品に切り替えた(イケアから)、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「3-10万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
O2O施策でブランドスイッチを促す
今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「無印良品」を例に、O2O施策がブランドスイッチを促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、O2O施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「O2O施策でブランドスイッチを促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。
単品でデザインが良いものでも、
部屋全体で統一感を出そうとすると大変
イケアはやすくて面白いカラフルなデザインで良いが、部屋が色々と色であふれてしまい、汚く見えてしまう。シンプルな色で統一した空間に憧れる。あと組み立てたり運ぶ手間もあって大変。(29歳女性 神奈川県)
千賀さん 29歳(仮名)
専業主婦
まず、生活者と課題を見ていきましょう。無印良品を利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。千賀さん(29歳女性 神奈川県)は元々、「単品でデザインが良いものでも、部屋全体で統一感を出そうとすると大変」という方です。自身は目指したいあり方として空間が統一感のある色でまとまった、部屋自体が居心地がよく、くつろげる部屋にしたい とも考えている、世帯年収600~800万円未満ほどで、専業主婦、既婚の女性です。
千賀さんは、「色や文字が多いと、部屋が雑然としてしまうような感じになり、住んでいて疲れてしまう。」と話しており、この時には身体的負荷(体力を要したり、疲れたりした)を感じたと話しています。「ミニマリストに憧れており、なかなか難しいが肝心なところはシンプルであればできるような気がしている。」と考え、生活スタイルの向上に努めている状況です。
では、このような状態の千賀さんに、無印良品がどのような変化をもたらしたのかを解説します。
”無印良品が 成立した価値”※2 |
= |
家具ではなくライフスタイルを提供 |
ブランドが果たした役割
千賀さんは現在、部屋を整えることのために無印良品を利用し、以前は様々な店を使っていた状態から、無印良品メインで使うようにブランドスイッチしました。最初に無印良品で買い物をしたときは「店頭で在庫がないから販売員がオンラインショッピングを代行してくれた、雑誌で見て綺麗な部屋の人は無印で色々買い物している、シンプルな商品が飽きなくて良いと思った」と話しており、その後も「”天然生活”等の雑誌」「アプリ」という情報源から、「家具ではなくライフスタイルを提供するブランド」と千賀さんに認識されたため、ブランドスイッチに至ったと考えられます。
顧客体験の変化
千賀さんは無印良品を利用する以前、様々なお店で色々見て、ついつい買い物をしてしまっていました。この時に今のままでは良くないと気づかされました。その後無印良品を利用することで、自分が求めていた、飽きのこないデザイン、自然素材、白・茶色・黒が基本の配色等、整然と見える空間が統一感のある色でまとまってるので、無印良品で揃えさえすれば、部屋自体が居心地がよくくつろげる環境にできるようになりました。
体験価値の
市場規模
3-10万人
本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「O2O施策でブランドスイッチを促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、千賀さんは元々「単品でデザインが良いものでも、部屋全体で統一感を出そうとすると大変」という課題認識を持っていました。しかし、無印良品が「、”天然生活”等の雑誌と公式アプリ」によりO2O施策が機能したことで、「家具ではなくライフスタイルを提供」という価値が成立して、ブランドスイッチに成功しました。また「3-10万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
応用可能性~本事例の学び
課題
商品単一ではなく、複数の商品を組み合わせてコーディネートする場合の課題
結果
単一の商品だけではなく、商品を部屋や他の商品と組み合わせた場合のイメージ与え、ブランドに興味を持たせた。
今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。身体的負荷, 体力を要したり、疲れたりするを感じている生活者に、O2O施策(”天然生活”等の雑誌、公式アプリ)が対応したことで「雑誌で紹介されているシンプルなライフスタイルがイメージでき、アプリですぐに商品を探せる」という認識が生まれ、その結果ブランドスイッチしたと言えます。
この構造を応用することで、他にも「複数の商品を組み合わせたり、コーディネートの世界観が重要な商品やサービス」(例:ファッション・インテリア 等)についても、O2O施策(雑誌、公式アプリ)を用いる事で、そのブランドが持つ世界観自体のファン化を進めることで、ブランドスイッチに導ける可能性があると考えられます。
注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。
※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。
「カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。
https://www.journey-navi.com/