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顧客体験の解説 | 家電 |「ヘルシオ」から学ぶ体験訴求による新規顧客獲得事例

 
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 今回は”体験訴求による獲得”の事例として、”ヘルシオ”の事例を紹介します。調理の負担が原因で夫婦仲も悪くなることがあった女性(46歳)が、調理が楽しくなる家電を選ぼうと考え、”ウォーターオーブン”タイプであるヘルシオを購入するに至った顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「3-6万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
 

体験訴求

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ヘルシオ」を例に、体験訴求が新規購入を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、どのような体験訴求により、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「体験訴求で新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

調理の負担が原因で、夫婦仲が悪くなり続けた

料理が完成するまで調理器具の前を離れられず、いつも3品は作りたい私は上手く段取りが出来ずイライラしていた。その上仕事も忙しくなるとさらに料理が負担に感じ、作っていても楽しく感じられなくなっていた。(46歳女性 大阪府)

武田さん 46歳(仮名)
公務員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。武田さん(46歳女性 大阪府)は元々、「仕事で忙しくなると帰宅後の料理が負担に感じてしまうことがあった。そうすると、作っていても楽しくないので単調なものになってしまっていた。」「以前はその料理が完成するまでついていなければならなかった。なので、いつも3品は作っている私はうまく段取りができなくてイライラしていた。」という方で、年収200~400万円未満ほどで、公務員、既婚の女性です。

 しかし自身で「負担を感じずに、たのしく料理、家事をして大好きな主人に笑顔で接する自分でいたい。 主人がご飯を食べ終わったときに「食べてくれてありがとう」ってこれからおばあちゃんになってもずっと言い続けたい。 」とも考えています。

 では、このような状態の武田さんに、スチームオーブンヘルシオがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

ヘルシオで成立した価値

※2

家族に自分の料理を、笑顔で提供できる

ブランドが果たした役割

 現在の武田さんはスチームオーブンヘルシオを使う用になり、日常的に仕事帰りの短い時間で家族に料理を作っています。ヘルシオを使用し始めたことで、「時間がかかっていた作業も短く済ませられるようになり、心にゆとりができたと思う。」「楽しく家事をして夫と笑顔で生活できるようになった」と話しており、調理に手間のかからないことが武田さんに「調理の楽しさ」を感じさせる体験を実現できたため、新規購入に至らせたと考えられます。

顧客体験の変化

 武田さんは、電子レンジの買い替え時に、ご主人から「料理が楽しくなるものを選んだら?」と言われたことで今のままでは良くないと気づかされたようです。そこから「なりたい自分」を意識するようになり、笑顔で食卓を迎えられるようになるために、ネットで調べたり、家電量販店でご主人と一緒に他の商品との違いを店員さんに聞いたりして、ヘルシオを選び購入しました。その結果、短時間でたのしく料理ができるようになり、心にゆとりも生まれ、家族と笑顔で生活できるようになったようです。
図解

ヘルシオの顧客体験事例から紐解く

「体験訴求で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

3-6万人

本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「体験訴求で新規購入を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

このストーリーでは、元々「調理の負担が原因で、夫婦仲が悪くなり続けた」という状況だったのが、電子レンジ買い替えのタイミングで「料理が楽しくなるものを選んだら?」と言われたことで、「“まかせて調理”機能は調理の負担が減り、毎日の料理が楽しくなりそう」と感じ、ヘルシオを購入したというストーリーです。調理の負担が減る機能が消費者にとって“家族に自分の料理を、笑顔で提供できる”という価値だと感じられたことで、「体験訴求による獲得」が成功した事例と言えるでしょう。また「3-6万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

時間的負担

理想的なゴールを実現するには手間や段取りが必要な作業に関わる道具・家電に関する課題

本来の料理の楽しさを
得られると感じさせた

結果

料理を楽しく行う自分を実現でき、新規購入から継続利用へと繋がった。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。手の込んだ料理をしたいが時間的負担により実現できていない生活者に、手間がかからない調理家電は「料理本来の楽しさを実現できる」と認識させられたことで、調理家電の新規購入、そして継続的な利用、ファン化へとも進められたと考えられます。

 この構造を応用することで、他にも「時間的負担」を感じている消費者をターゲットとしている商品やサービス(例:調理家電、家事代行サービス 等)についても、時間が節約されることで得られる体験を想起させる事で、新規利用や継続利用へと導ける可能性があると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。