Collexia 
Marketing 
Casestudy

顧客体験の解説 | 家電 |「BRAVIA」から学ぶ
体験訴求による新規獲得事例

 
  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 今回は体験訴求の事例として、”BRAVIA”の事例を紹介します。前のテレビだと画質が悪いためにコンテンツにのめりこめなかった男性(51歳)が、4Kの高画質で、鮮明で鮮やかな映像を堪能でき、コンテンツの本来の魅力を十分感じ取ることができるBRAVIAを購入するに至った顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「2-4万人」の顧客層に訴求できたと推定されます※1

顧客理解

多少古くてもまだ使えるし、勿体ないと思うので
最新の家電に買い替えるのに躊躇する。

家電はできるだけ最新のものを使い、最先端の暮らしをしたいと思う。
より新しく、より高品質の商品があると、自分が今持っているものが古臭く感じてしまうが、
まだ道具としては十分に使えるので、欲しい気持ちと勿体ない気持ちでせめぎあっている。
(51歳男性 東京都)

松本さん 51歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。BRAVIAを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。松本さん(51歳男性 東京都)は元々、「できるだけ自宅は最新の家電で揃えたい」という方です。自分が目指したいあり方として、最先端の生活をして、自宅での時間を充実したものにしたい、とも考えている、世帯年収600~800万円未満ほどで、会社員、独身の男性です。

 しかし、松本さんは、「自分のテレビが1世代古いと思ってしまうと、画質の悪さも気になり、コンテンツの本来の魅力を十分味わえない気がする。」と話しています。とはいえまだ自宅のテレビも使えるということもあり、4Kテレビも機種が出そろい、選べるようになるまでテレビの買い替えを控えていました。

 では、このような状態の松本さんに、最新のBRAVIAがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

BRAVIAで成立した価値

※2

1世代前のテレビを古く感じさせるだけの臨場感

ブランドが果たした役割

 現在の松本さんはBRAVIAを使うようになり、日常的に映画鑑賞や、世界遺産の番組など、4K画質を堪能できるコンテンツを多く観ています。BRAVIAを使用し始めたことで、「4Kの高画質で、鮮明で鮮やかな映像を堪能でき、コンテンツの本来の魅力を十分感じ取ることができる」「コンテンツ本来の魅力を味わえるようになるため、日々の生活をより豊かにすることができる」と話しています。

 この事例では、BRAVIAの映像の品質というだけではなく、「映像と音が一体となって生み出される臨場感」という製品特長が、松本さんにとって他の類似商品よりも「時代に合った生活を体験できる」という価値を実現してくれると認識したことで、BRAVIAが選ばれ購入された事例だと考えられます。

顧客体験の変化

 松本さんは、以前のテレビを使用している際に、店頭で最新の4Kテレビを見て臨場感の違いに気づかされたようです。しかしすぐに買わず、製品が出そろうまで待ってから、ネットの比較サイトで調べたり、家電量販店で実機を確認するなどして、BRAVIAを選び購入しました。その結果、手ごろな金額で4Kテレビを手に入れ、最先端の生活を実現できるようになったようです。
図解

BRAVIAの顧客体験事例から紐解く

「体験訴求で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

12-24万人

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「体験訴求で新規購入を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

このストーリーでは、松本さんは元々「多少古くてもまだ使えるし、勿体ないと思うので最新の家電に買い替えるのに躊躇する」という課題認識を持っていました。しかし、最新型のBRAVIAが家電量販店のリビング型の展示により、「1世代前のテレビを古く感じさせるだけの臨場感」を体験したことで、「今のテレビでもまだ使えるから勿体ない」という認識が変わり、新たにBRAVIAを買うこととなりました。また同様の体験は「2-4万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

金銭的負担

高額で”買い替え”が主に行われる商品で、短いスパンで新商品が登場した場合の課題

性能差を体感できる
顧客体験展示

結果

1世代前の商品であっても、それが過去のものと感じられるくらいの体験差を感じさせる事で、勿体ないと思う気持ちに段違いの性能差で購入の言い訳を作った。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。金銭的負担を感じている生活者に、1世代前の商品すら陳腐化するくらいの顧客体験を店頭展示で提供したことで、「これだけ性能が高いなら(前の商品を買ったばかりだけど)買い替えしても良いだろう」と感じさせ、購入に至らせたと言えます。

 この構造を応用することで、他にも「金銭的負担」「買い替えたいが、買い替えたばかりで勿体ない」という考えで買い替えを控えられる商品(例:家具や家電 等)についても、体験により価値が大きく向上したことを実感させ、買い替える理由を提供することで、新型への買い替えを促せるようになると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。