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顧客体験の解説 | シャンプー |「ダイアン」
から学ぶTVCM施策事例

 
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 今回は"TVCM施策"の事例として、"ダイアン"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、頭皮の匂いが気になっている女性(51歳)が、TVCMからの店頭により、ダイアンを新規購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

TVCM施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ダイアン」を例に、TVCM施策が新規購入を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、TVCM施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「TVCMで新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

頭皮の匂いが気になるが、
髪がきしむシャンプーはなるべく使いたくない。

ノンシリコン処方のシャンプーを使って頭皮の匂い悩みを解消したいが、
髪がきしむという話も聞くので購入をためらってしまう。(51歳女性 福岡県)

篠原さん 51歳(仮名)
パート・アルバイト

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ダイアンを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。篠原さん(51歳女性 福岡県)は元々、「頭皮の匂いが気になっている」という方ですが、理想は「人とすれ違う時にほのかに香りのする華やかな女性」でありたいと考えている、世帯年収200万円未満ほどで、パート・アルバイト、未婚の女性です。

 しかし、篠原さんは、「頭皮の匂いを解消してくれるであろうノンシリコン処方のシャンプーは、髪がきしみそうで購入を躊躇してしまう。」と話しており、髪質をキープしながら頭皮の匂いも解消したいが、どの商品がいいのかわからないと考えている状況です。

 では、このような状態の篠原さんに、ダイアンがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ダイアンで成立した価値”

※1

髪質をいい状態で保ちつつ、
香水のような香りも楽しめる

ブランドが果たした役割

 篠原さんは現在、頭皮の匂いが気になる時にダイアンを使用する習慣が続いています。最初は「TVCMで信頼できるモデルがダイアンを勧めていた。」「香水瓶のようなパッケージに惹かれた。」と話しており、その後SNSで色んな有名人が使用感を投稿していたのも見て店頭で商品を購入。「容器がおしゃれで香りもよく、髪質もいい状態にしてくれる」と篠原さんは理解し、継続購入に至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 篠原さんはダイアンを利用する以前、「髪がきしむシャンプーはなるべく使いたくないが頭皮の匂いが気になる。」と、自分の悩みを全て解決してくれるシャンプーを探していました。その後、ダイアンを利用することで、いい香りを楽しみつつ髪の状態をキープできるようになり、自分に自信が持てるようになりました。また、「女子力が上がったような気分になり、理想とする華やかな自分に近づいている。」とまで感じ、継続利用をするようになりました。
図解

ダイアンの顧客体験事例から紐解く

「TVCMで新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「TVCMで新規購入を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、篠原さんは元々「頭皮の匂いが気になるが髪がきしむシャンプーは使いたくない。」という課題認識を持っていました。しかし、TVCMを見て「信頼できるモデルが勧めている商品なら間違いない。」と認識し、購入して使用する中で「髪質をいい状態で保ちつつ香水のような香りも楽しめる。」という価値を感じたことで、継続購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷

自分の悩みは解消してくれるがその分、別のデメリットが生まれてしまうと感じているケース

相反する効果が
両立できている商品であることを訴求

結果

頭皮の匂いを解消できるシャンプーは髪がきしむというイメージを持っていた生活者に、信頼できるモデルのCMや香水のような容器から性能も香りも良くて、女子力がアップできるような商品だと認識させたことが新規購入を促した。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。髪のきしみや頭皮の匂いなどの悩みから心理的負荷を感じている生活者に、相反しそうな「髪質の維持」と「匂いの解消」という効果を併せ持った商品であることを、イメージモデルやパッケージにより訴求できたため新規購入を促し、さらに周りの人からも評価されたことで、その後の継続利用にも繋がっていると考えられます。

 この構造を応用することで、生活者がもともと持っている悩みを解消できる製品を選択したすると、結果として別の悩みが発生してしまう場合に、どちらも解消できる商品であることをパッケージやイメージモデルにより認識させ、正確に製品の特長を理解させることが購入に繋がると考えられます。

注記
※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。