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顧客体験の解説 | ゲーム |「ポケモンGO」
から学ぶ課金施策事例

 
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 今回はゲームの"課金施策"の事例として、"ポケモンGO"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、自分の収集欲をみたし満足したい男性(45歳)が、自分がまだ持っていないポケモンの出現情報を知った時に準備のためにポケモンGOに課金するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

収集欲の充足

×

課金

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ポケモンGO」を例に、自分の収集欲を満たすため、欲しいポケモンの出現イベントがわかった時にゲーム内課金に至ったという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、ゲームのどのような特徴が、生活者の抱くどんな課題を解消するために受け入れられ、課金するに至ったのか、そのプロセスから「欲しいポケモンを捕まえることで生活者の収集欲を満たし、ゲーム内課金を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

持っていないポケモンを発見し捕まえることで
自分の収集欲を満たしたい。

修正案→捕まえづらいポケモンキャラクターを効率よく集めて、自分の収集欲を満たしたい。またアイテムを充実させることで、移動時間に効率よくポケモン発見したり捕まえることで取集欲が満たされる。
(45歳男性 埼玉県)

田中さん 45歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ポケモンGOに課金するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。田中さん(45歳男性 埼玉県)は元々、「暇な時や移動時間の時間つぶしにゲームをしている。」という方です。世帯年収600~800万円未満ほどで、会社員、既婚の男性です。

 しかし田中さんは、「レアなポケモンを見つけたのに捕まえられないと、とてもブルーになり落ち込む。」と話しており、ポケモン出現イベントの情報はわかっていたのに準備が出来ていなかったと考えています。

 では、このような状態の田中さんに、ポケモンGOへの課金がどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ポケモンGOへの課金で成立した
価値”

※1

課金をして準備しておくことで欲しいキャラクターを捕まえられる確率が上がり、
収集欲が満たされる

ブランドが果たした役割

 田中さんは現在、暇な時や移動時間などに時間つぶしのためにゲームをする習慣が続いています。「ポケモンは勿論のこと、収集欲がある人にはたまらないアプリだ」と話しており、日常の退屈な移動時間を気分転換の時間に変えられるゲームとして楽しんでいました。加えて、自分だけでなく、子どもに「こんなレアなポケモンを捕まえたよ。」など帰宅後、家族内での共通の話題になることで、親子のコミュニケーションにも良いと田中さんは考え、ゲーム内課金の継続利用に至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 田中さんはポケモンGOをプレイする以前、「暇な時や移動時間などに時間つぶしのために目的もなく何となくゲームをしている。」と感じていました。ポケモンGOのゲームを始めてからは、移動時間で自分の収集欲を満たせていることで満足感を得ています。また、課金により効率よくキャラクターの収集ができ、「どんなポケモンを捕まえた。」など、このアプリをきっかけに子どもと会話する機会が増えたことで、自分のためだけではなく家族共通の話題となるのでコミュニケーションツールとしても最適だと認識し、アプリ課金を正当化できる口実もできたため、課金し続けるようになりました。
図解

ポケモンGOの顧客体験事例から紐解く

「欲しいポケモンを捕まえることで自分の収集欲を満たすめにゲーム内課金を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「欲しいポケモンを捕まえることで自分の収集欲を満たすめにゲーム内課金を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、田中さんは元々「暇なときや移動時間などに時間つぶしのために目的もなく何となくゲームをしている。」という課題認識を持っていました。しかし、ポケモンGOをダウンロードしたことで、時間がつぶせるうえに自分の収集欲を満たし、ゲームをすることで満足できるようになりました。さらに捕まえたポケモンやゲームの内容などで、家族との会話のきっかけにもなっており、「こんなレアなポケモンを捕まえた。」など家族の共通話題になると田中さんは思ったことで課金へ至りました。自分の満足を得られるだけではなく家族の共通話題となりコミュニケーションツールの一部にもなるという価値が成立して、課金に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

入手負荷+心理的負荷

自分が持っていないキャラクターを思ったように収集できないことにより、気分の落ち込みを感じているケース

金アイテムを使うことで
キャラクターが
手に入りやすいこと
+
レアキャラクターの
出現情報を発信

結果

アイテムを充実させることでキャラクターが入手しやすくなることを認識させ、なおかつレアキャラクターの出現情報を事前に発信することで課金を促している。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。欲しいキャラクターが思ったように手に入れられないことにより、入手負荷と心理的負荷を感じている生活者に、課金アイテムを使うことで仕事など日常生活を維持しながら、効率よくレアキャラクターを手に入れやすくなることを生活者に認識させ、レアキャラクターの出現情報を知らせることで実際にアイテムの使用機会を啓蒙し、レアキャラクターを獲得して満足できる経験をさせることで課金に繋がっていると考えられます。
 
 この構造を応用することで、課金をしなくても楽しめるようなアプリゲームにおいても、課金をすることとによる「効率の良さ」や「入手できるキャラクターの多さ」を訴求し、「課金アイテムを効率的に利用できるタイミング」を事前に発信することで課金することで満足できる体験の機会を促し、お金はあっても時間がない大人に課金を促すことができます。さらに子供向けコンテンツを大人向けにも展開することで親子共通の話題が増えるので、課金による満足感や社会的な言い訳・口実を作ることができ、課金を肯定的に受け入れられるため、継続的な課金を促していると考えられます。

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。