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顧客体験の解説 | キャッシュレス決済 |「PayPay」から学ぶ高還元率のポイント付与施策事例
今回はキャッシュレス決済の"新規利用促進"の事例として、"PayPay"の事例を紹介します。このケーススタディでは、ポイント還元で得をしたいという女性(27歳)が、テレビのニュースで軽減税率が適用されると知ったことがきっかけでPayPayを使用しはじめ、継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「PayPay」を例にポイント還元率の高さが新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、高還元率のポイント付与のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ継続利用されるに至ったのか、そのプロセスから「高還元率のポイント付与で新規利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

普段の買い物で、少額でもポイント還元で得をしたい。
お得だと感じることで、自分の心に余裕を持ちたい。(27歳女性 東京都)
まず、生活者と課題を見ていきましょう。Pay Payを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。若林さん(27歳女性 東京都)は元々、「少額でもポイント還元で得をしたい」という方です。世帯年収600~800万円未満ほどで会社員、未婚の女性です。
若林さんは「普段の買い物で、少額でもポイント還元してお得な気分になり、自分の心に余裕を持たせたい」と話していました。さらに、現金支払いにするとポイント還元などの恩恵が受けられないので、すごく損をした気分になるとも感じています。
では、このような状態の若林さんに、PayPayを使用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。



”PayPayを利用することで成立した価値” ※1 |
= |
買い物をする度に増えていくポイントを アプリで見られるから達成感が得られる。 |
ブランドが果たした役割
若林さんは現在、PayPayを継続利用しています。最初は「テレビのニュースで、電子マネーを使用すると軽減税率が適用されると知り、お得だと思って利用し始めた」と話していました。しかし実際にその決済システムを利用してみると、キャンペーンに時々思いがけず当選して高還元率を受けることがあるし、さらに「日々の買い物やマッサージを受ける際に、思いがけず高還元なポイント付与を受けてお得と感じた」ということに 気づき継続利用するに至ったと考えられます。
顧客体験の変化
若林さんはPayPayを利用する以前、「テレビのニュースでキャッシュレス決済を使うと軽減税率が適用されると知った」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、PayPayを利用することにより、時々キャンペーンに当たって高還元率のポイント付与を受けて嬉しくなったり、現金を用意する頻度が減って楽になったと感じました。さらに継続的に使用していくうちに「いつでもアプリ上で保有ポイントや還元率の確認ができるため、買い物をする度に増えていくポイントを見て達成感が得られる。」ということに気づき、PayPayを継続利用するようになりました。
「高還元率のポイント付与施策で新規利用を促す」の成功要因
本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「高還元率のポイント付与で初回購入を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、若林さんは元々「少額でもポイント還元で得をしたい」という課題認識を持っていました。普段よく買い物をするお店がキャッシュレス決済を利用すると高還元率のポイント付与をしてくれるとテレビのニュースで知り、お得だと感じたことから、PayPayの利用を開始しました。その後、PayPayの利用を続けていくにつれ、キャンペーンで時々思いがけず当選して高還元率のポイント付与を受けたり、そもそも現金を用意する頻度が減ったこと自体楽になったと感じました。また、「いつでもアプリ上で保有ポイントや還元率の確認ができることで、買い物をする度に増えているポイントを見て達成感が得られる」という価値が成立して、継続利用に至りました。
応用可能性~本事例の学び
課題
現金払いは軽減税率が適用されないのですごく損をしている気分になる
利用により日常的に使う店舗でお得に買い物できることを訴求。さらに還元率も高く、アプリでいつでも最新のポイントが確認できることを訴求。
結果
よく使う店舗でPayPayを利用するためポイント付与が頻繁に行われる。生活者はアプリを開く度にポイントが増えていくことに達成感を感じるようになり継続利用に至った。
今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。キャッシュレスより現金支払いは損をしていると感じている生活者に対して、還元率の高さや利用可能店舗の多さを訴求することで、身近な生活圏内での初回利用に繋がっています。その後ポイント還元や利用額に応じた特典の付与などを行い、アプリで随時最新のポイントが確認させることで、生活者に「自分はいつも得をしている」という満足感や心の余裕を与え、さらに買い物するほどポイントが溜まっていく達成感を感じさせることで継続利用へと繋がっている事例です。
この構造を応用することで、日常の生活(身近な買い物や通勤・移動など)の中でポイントが溜まったり、アプリへのログインを促す施策(支払い時の提示やログインによるポイント付与など)を講じることが、生活者に達成感や満足感を感じさせ、継続した利用に繋がると考えられます。
注記
※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。