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顧客体験の解説 |ノンアルコール飲料|
「オールフリー」から学ぶ
友人のお勧め施策事例

 
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 今回はノンアルコール飲料の"継続購入"の事例として、"オールフリー(SUNTORY)"の事例を紹介します。育児の疲れから解放されて、夫と一緒にリラックスできるひとときを過ごしたい女性(30歳)が、ママ友たちのお勧めを経てオールフリーを継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

友人のお勧め
施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「オールフリー」を例にママ友たちが新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、ママ友たちのお勧めする商品のどのような側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられて継続利用するに至ったのか、そのプロセスから「友人のお勧めで新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

子供を寝かしつけたあと、
夫と一緒にリラックスできるひとときを過ごしたい

飲んでいる夫と一緒にリラックスできるひとときを過ごしたい。(30歳女性 神奈川県)

和田さん 30歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。オールフリーを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。和田さん(30歳女性 神奈川県)は元々、「子供を寝かしつけたあと、飲んでいる夫と一緒にリラックスできるひとときを過ごしたい」という方です。世帯年収400~600万円未満ほどで専業主婦、既婚の女性です。

 和田さんは「日中はどうしても子供中心となりがち」と話していました。「育児の疲れが溜まっている時や、大人の会話を楽しみたいときは、夫とゆっくりと過ごしたい」とも感じています。

 では、このような状態の和田さんに、オールフリーを利用することがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”オールフリーで成立した価値”

※1

ノンアルコールでもビールの味に近いので
夫と晩酌しながら楽しかったことや
悩んでいることを自然に話せて、
楽しい気持ちになれる。

ブランドが果たした役割

 和田さんは現在、オールフリーを継続購入しています。最初は「出産後、ママ友たちと育児の息抜きの話題の中でノンアルコールビールが挙がり、オールフリーをおすすめする人が多かったので、授乳をきっかけに購入して飲み始めた」と話していました。実際に商品を購入して飲んでみると、爽やかで好きな味だし、ノンアルコールだけれど、夫と一緒にビールを飲んでいる気分になれると感じました。更に、他のノンアルコール飲料はジュースみたいで気分が変わらないが、オールフリーだとアルコールを飲んでいる時のような気分になれるのでリラックスできることに気づき、継続購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 和田さんはオールフリーを利用する以前、「子供を寝かしつけたあと、飲んでいる夫と一緒にリラックスできるひとときを過ごしたい」という体験で今のままでは良くないと気づかされました。その後、オールフリーを利用することにより、爽やかで好きな味だし、ノンアルコールだけれど、夫と一緒にビールを飲んでいる気分になれると感じ、さらに、継続的に利用していくうちに、「日中はどうしても子供中心となりがちだが、夜夫と二人で晩酌をする時間は子供の日中の様子や夫の一日の話を二人で共有でき、よいコミュニケーションがとれる」ことや「他のノンアルコール飲料はジュースみたいで気分が変わらないが、オールフリーならアルコールを飲んでいる時のような気分になれるのでリラックスできる」ということに気づき、オールフリーを継続利用するようになりました。
図解

オールフリーの顧客体験事例から紐解く

「友人のお勧め施策で新規購入を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「友人のお勧めで新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、和田さんは元々「子供を寝かしつけたあと、育児の疲れから解放されて、夫と一緒にリラックスできるひとときを過ごしたい」という課題認識を持っていました。そんな時、ママ友たちと育児の息抜きの話題の中でノンアルコールビールが挙がり、オールフリーをお勧めする人が多かったので、授乳をきっかけに購入して飲み始めたところ、爽やかで好きな味だし、夫と一緒にビールを飲んでいる気分になれると感じました。その後、オールフリーを利用していくにつれ、他のノンアルコール飲料はジュースみたいで気分が変わらないが、オールフリーだとアルコールを飲んでいる時のような気分になれると感じるようになりました。さらに、「ビールを飲んでいる時のように夫と二人で晩酌をする時間がとれ、リラックスしてよいコミュニケーションがとれる」という価値が成立して、継続購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

身体的負荷+心理的負荷

育児疲れを感じつつも授乳の影響で食生活が制限されている中で大人の時間を過ごしたり息抜きもしたいと感じているケース

自分と同じライフステージを経験している
友人からの勧め

結果

妊娠中や授乳中で、飲酒を控えなければならない時期も息抜きしたい。といった状況で、ママ友の勧めでノンアルビールを飲んだ経験から、寝かしつけた後の夫との晩酌のひとときに必要な存在となり、継続購入に至った。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。アルコール摂取による母乳・子どもへの影響を考え、息抜きしたいと思いつつも飲酒を控えている母親に対して、同じような経験をしているママ友からノンアルコールビールを勧められたことで新規購入に至り、飲んでみると爽やかな味が自分好みであることを知ったり、子供が寝た後の夫の晩酌に、自分自身も本当のビールを飲んでいる時のような楽しい気分になれることに気づき、それ以降もリラックスしたいときや疲れがたまったと感じた時に夫と一緒に飲みたいと思う存在になったことで、継続購入するに至ったと考えられます。

 この構造を応用することで、生活者のライフステージが変化するタイミングは価値観の変化や新しい課題認識がともない、生活者が既存の購入商品や利用サービスを見直すタイミングでもあります。その時に参考にする情報として、同じような状況にいる身近な友人の勧めのほか、同じライフステージのインフルエンサーの情報やアドバイスは、共感を得やすく自分事として信頼しやすいため、実際の購入にも繋がりやすいと考えられます。よって広告やプロモーションには、実際に商品やサービスを利用してほしいライフステージの生活者と、同じようなライフステージのイメージモデルを起用することが効果的だと考えられます。

注記
※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。