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顧客体験の解説 | 化粧品 |
「ちふれの口紅」から学ぶ雑誌の紹介記事・試供施策事例

 
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 今回は化粧品の"継続購入"の事例として、"ちふれの口紅(ちふれ化粧品)"の事例を紹介します。このケーススタディでは、口紅を使わなくなっていたので、鏡を見ていても退屈だと感じ始めた女性(30歳)が、雑誌の紹介記事でちふれの口紅を見かけ、母親から借りて試供したことで新規購入するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

雑誌の紹介記事・試供施策

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新規購入

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ちふれの口紅」を例に、雑誌の紹介記事・試供が新規購入を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、雑誌の紹介記事・試供のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規購入さらには継続購入するに至ったのか、そのプロセスから「雑誌の紹介記事・試供で新規購入を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

口紅を使わなくなっていたので、
鏡を見ていても退屈だと感じ始めた

マスクで口元は隠れるしメイクも落ちやすいため、全く口紅を使わなくなっていたが、その影響で鏡を見ていても退屈だと感じるようになった。(30歳女性 千葉県)

会田さん 30歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ちふれの口紅を継続購入するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。会田さん(30歳女性 千葉県)は「口紅を使わなくなっていたので、鏡を見ていても退屈だと感じ始めた」と考えている方です。会社員、世帯年収200~400万円未満の未婚の女性です。

会田さんは「マスクで口元は隠れるしメイクも落ちやすいため、全く口紅を使わなくなっていたが、その影響で鏡を見ていても退屈だと感じるようになった」と話していました。

では、このような状態の会田さんに、ちふれの口紅がどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ちふれの口紅を購入することで成立した価値”

※1

鏡を見た時にテンションが上がり、自然に笑顔にしてくれる

ブランドが果たした役割

 会田さんは現在、ちふれの口紅を継続購入しています。最初は「雑誌の紹介記事を読んで商品に興味を持ち、母親から商品を借りて使ってみたところ発色が気に入り、自らも購入した」と話していました。実際に使ってみると、顔色がぱっと明るくなり、マスクを取ってもしっかりと残っているティントタイプなので取れる心配もなく安心してつけられると感じました。また、「明らかに鏡を見た時の自分のテンションが上がるようになり、自然に笑顔にしてくれる」ということに気づき、継続購入するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 会田さんはちふれの口紅を購入する以前、「マスクで隠れるし落ちやすいからといって口紅を使わなくなったら、鏡を見るのがつまらなくなった」ことで対策が必要だと気づき、このままではいけないと思いました。その後、ちふれの口紅を購入することにより、「明らかに鏡を見た時の自分のテンションが上がるようになり、自然に笑顔にしてくれる」と感じ、さらに、ちふれの口紅を使用していくうちに、「彼と話すときにも余裕を持って接することができるようになって、人当たりが良くなった」ということに気づき、継続的に購入するようになりました。
図解

ちふれの口紅の顧客体験事例から紐解く

「雑誌の紹介記事・試供で新規購入を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「雑誌の紹介記事・試供で新規購入を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、会田さんは元々「マスクで口元は隠れるしメイクも落ちやすいため、全く口紅を使わなくなっていたが、その影響で鏡を見ていても退屈だと感じ始めた」という課題認識を持っていました。
そんな時、雑誌の紹介記事を読んで商品に興味を持ち、母親から商品を借りて使ってみたところ発色が気に入り、購入するに至りました。
 その後、ちふれの口紅を継続して使用していく中で、「顔色がぱっと明るくなり、マスクを取ってもしっかりと残っているティントタイプなので取れる心配もなく安心してつけられる」と感じ、「明らかに鏡を見た時の自分のテンションが上がるようになり、自然に笑顔にしてくれる」という価値が成立して、継続購入に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷

マスクで口元は隠れるしメイクも落ちやすいため、全く口紅を使わなくなっていたが、その影響で鏡を見ていても退屈だと感じ始めているケース

女性誌で商品特長を掲載
サンプル品の提供

結果

マスクの影響で口紅を使わなくなり、鏡を見ていても退屈だと感じ始めていた生活者が、雑誌の紹介記事を読んで商品に興味を持ち、母親から商品を借りて使ってみたところ発色が気に入り、自らも購入に至っている。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。マスクで口元は隠れるしメイクも落ちやすいため、全く口紅を使わなくなっていたが、その影響で鏡を見ていても退屈だと感じ始めていた生活者が、雑誌の紹介記事を読んで商品に興味を持ち、母親から商品を借りて使ってみたところ発色が気に入り、自らも購入に至っています。使ってみると、顔色がぱっと明るくなり、マスクを取ってもしっかりと残っているティントタイプなので取れる心配もなく、安心してつけられると感じています。また、明らかに鏡を見た時の自分のテンションが上がり、自然に笑顔になるようになったことで、人当たりも良くなった気がしています。

 この構造を応用することで、感染防止のために店頭のテスターやサンプルが使用休止になっている現状では、雑誌記事の商品紹介や家族・知人から借りるなどのように色味やテクスチャーが確認できる機会を作ってあげることで、購入に繋げることができると考えられます。雑誌記事の場合は、商品単体の紹介記事よりも、競合商品と比較する形で掲載することにより、店頭でのテスター使用と同じような役割を果たしてくれるのではないかと考えられます。

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注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。