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顧客体験の解説 | マンガアプリ |「少年ジャンプ+」から学ぶサービスの利用方法の訴求施策事例
今回はマンガアプリの"継続課金"の事例として、"少年ジャンプ+"の事例を紹介します。このケーススタディでは、課金することで作家への支援の気持ちを示したいと考えている男性(60歳)が、サービスの利用方法を知り新規課金するに至った、という顧客体験をご紹介します。
今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「少年ジャンプ+」を例に、サービスの利用方法が新規課金を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、サービスの利用方法のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規課金さらには継続課金するに至ったのか、そのプロセスから「サービスの利用方法で新規課金を促進する」施策の学びを読み解き、解説していきます。
課金することで
作家への支援の気持ちを示したい
息子から作家に対する敬意があるならお金を払うべきだと言われ、
自分も課金することで作家への支援の気持ちを示したいと思った。(60歳男性 神奈川県)
村田さん 60歳(仮名)
会社員
まず、生活者と課題を見ていきましょう。少年ジャンプ+を継続課金するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。村田さん(60歳男性 神奈川県)は「課金することで作家への支援の気持ちを示したい」と考えている方です。世帯年収1500~2000万円未満ほどで会社員、既婚の男性です。
村田さんは「息子から作家に対する敬意があるならお金を払うべきだと言われ、自分も課金することで作家への支援の気持ちを示したいと思った」と話していました。
では、このような状態の村田さんに、少年ジャンプ+がどのような変化をもたらしたのかを解説します。
”少年ジャンプ+で成立した価値” ※1 |
= |
課金することで、少しでも 支援できていると思える |
ブランドが果たした役割
村田さんは現在、少年ジャンプ+を継続課金しています。最初は「自分の好きな過去作品が配信されているサービスで、1話単位で購入できることを知って課金した」と話していました。実際に課金利用してみると、生活や時間帯のズレから息子との関係が空疎になりつつあったときも、昔の漫画の話で盛り上がることができたと感じました。また、「課金することで、自分の好きな作品や作家の活動に自分も参加できていて、少しでも支援できている」ということに気づき、継続課金するに至ったと考えられます。
顧客体験の変化
村田さんは少年ジャンプ+を課金利用する以前、「息子から作家に対する敬意があるならお金を払うべきだと言われて、クリエイターに敬意を表していない」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、少年ジャンプ+を課金利用することにより、「自分の好きな作品や作家の活動に自分も参加できていて、少しでも支援できている」と感じ、さらに、少年ジャンプ+を課金利用していくうちに、「自分も息子も同じ作品を読んでいるので、共通の話題や世界観が構築できて、息子とのコミュニケーションがとても円滑になる」ということに気づき、継続的に課金するようになりました。
「サービスの利用方法が初回課金を促進する」の成功要因
本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「サービスの利用方法が初回課金を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、村田さんは元々「息子から作家に対する敬意があるならお金を払うべきだと言われ、自分も課金することで作家への支援の気持ちを示したい」という課題認識を持っていました。
そんな時、自分の好きな過去作品が配信されているサービスで、1話単位で購入できることを知り、課金するに至りました。
その後、少年ジャンプ+を継続して課金利用していく中で、「生活や時間帯のズレから息子との関係が空疎になりつつあったときも、昔の漫画の話で盛り上がることができた」と感じ、「課金することで、自分の好きな作品や作家の活動に自分も参加できていて、少しでも支援できていると思える」という価値が成立して、継続利用に至りました。
応用可能性~本事例の学び
課題
課金することで作家への支援の気持ちを示したいケース
結果
好きな作品を無料で楽しんでいた生活者が、息子に作家へ敬意があるならお金を払うべきと言われて納得し、1話から購入できるサービスも提供されていたことから課金に至っている。
今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。もとは無料で作品を楽しんでいた生活者が、息子から作家に対する敬意があるならお金を払うべき、と言われて納得し、さらに1話から購入できると知ったことで、本サービスでの課金に至っています。課金することで、好きな作品や作家の活動に自分も参加できていて、少しでも支えになれていると思えるため、課金への満足を感じています。また、息子とも作品に関する共通の話題ができて盛り上がれることを嬉しく思っています。
この構造を応用することで、無料で利用できるサービスや、サブスクリプションのサービス利用者の中でも、音楽であればアーティスト、漫画や書籍であれば作家の活動を応援したいと考えている生活者に対し、課金することでクリエイターを支援できると気づかせることで、課金や有料版へのアップグレードに繋げられると考えられます。
上図のような生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を実際のマーケティング施策で役立てる方法や、マーケティング施策に使えるカスタマージャーニーの創り方については「カスタマージャーニーの教科書」に掲載しております。
注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。
※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。
「カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。
https://www.journey-navi.com/