Collexia 
Marketing 
Casestudy

顧客体験の解説 | 趣味・習い事 |「陶芸のオンライン授業サービス」から学ぶSNSへの投稿施策事例

 
  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 今回は趣味・習い事 の"継続利用"の事例として、陶芸のオンライン授業サービスの事例を紹介します。このケーススタディでは、日常から離脱した時間を過ごすことでリフレッシュしたい男性(69歳)が、SNSへの投稿で陶芸のオンライン授業サービスを見かけて興味を持ち、自分のニーズに合っていると感じたことで継続利用するに至った、という顧客体験をご紹介します。
 

SNSへの
投稿施策

×

新規利用

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「陶芸のオンライン授業サービス」を例に、SNSへの投稿が新規利用を促進したという構造を持つ顧客体験をケーススタディとしてまとめました。本稿では、SNSへの投稿のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ、新規利用さらには継続利用するに至らせたのか、そのプロセスから「SNSへの投稿で新規利用を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

集中して作業に打ち込むことで
日常から頭を切り離したい

頭のみでなく手先を動かすことに神経を集中することでリフレッシュしたい(69歳男性 神奈川県)

藤原さん 69歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。陶芸のオンライン授業サービスを継続利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。藤原さん(69歳男性 神奈川県)は「日常から離脱した時間を過ごすことでリフレッシュしたい」と考えている方です。世帯年収2000万円以上で会社員、既婚の男性です。

 藤原さんは「コロナで在宅が増え、時間もあるので一人で集中して繊細な作業に取り組むなど、今までと異なる体験をしてみたい」と話していました。

 では、このような状態の藤原さんに、陶芸のオンライン授業サービスがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

“陶芸のオンライン授業サービスで成立した価値”

※1

心を落ち着ける時間ができ、
日常にメリハリがついた

ブランドが果たした役割

 藤原さんは現在、陶芸のオンライン授業サービスを継続利用しています。最初は「SNSの投稿で陶芸家の素人向けオンライン授業の映像を見かけて、集中してモノづくりをしたいと思っていたので利用した」と話していました。実際に利用してみると、一人で集中して繊細な作業に打ち込むことで平常心の鍛錬に役立ち、モノづくりの楽しさを思い出すこともできると感じました。また、「仕事、家庭、体を動かす趣味、それ以外の動から静への精神的ゆとりが持てるツールになっている」ということに気づき、継続利用するに至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 藤原さんは陶芸のオンライン授業サービスを利用する以前、「在宅時間が増えたことで頭の切り替えが悪くなっている気がする」ことに気づき、このままではいけないと思いました。その後、陶芸のオンライン授業サービスを利用することにより、「物を作る、土に触れる、水に触れる、子供のころの原体験が時間を経て戻ってきたような懐かしさを覚える」と感じ、さらに、陶芸のオンライン授業サービスを利用していくうちに、「ガレージの一角の作業場の明かりをつければ、没入する自分の陶芸の世界があると好ましい気持ちになる」ということに気づき、継続的に利用するようになりました。
図解

陶芸のオンライン授業サービスの顧客体験事例から紐解く

「SNSへの投稿で初回利用を促進する」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「SNSへの投稿で初回利用を促進する」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
 このストーリーでは、藤原さんは元々「コロナの影響で在宅時間が増えたため、日常から離脱した時間を過ごすことでリフレッシュしたい」という課題認識を持っていました。
 そんな時、SNSの投稿で陶芸家の素人向けオンライン授業の映像を見かけて、集中してモノづくりをしたいといった自分のニーズに合っていると感じて、利用するに至りました。
 その後、陶芸のオンライン授業サービスを継続して利用していく中で、「一人で集中して繊細な作業に打ち込むことで平常心の鍛錬に役立ち、モノづくりの楽しさを思い出すこともできる」と感じ、「心を落ち着けることが習慣化できるようになり、日常のリズムにもメリハリがついてきた」という価値が成立して、継続利用に至りました。

応用可能性~本事例の学び

課題

心理的負荷

コロナの影響で在宅時間が増えたため、日常から離脱した時間を過ごすことでリフレッシュしたいと考えているケース

SNSでオンライン授業に
関する情報を投稿

結果

在宅時間が増え、日常から離脱した時間を過ごしてリフレッシュしたい生活者が、SNSの投稿で陶芸家の素人向けオンライン授業映像を見かけて、集中してモノづくりをしたい自分のニーズに合うと感じて利用を開始している。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。コロナの影響で在宅時間が増えたため、日常から離脱した時間を過ごすことでリフレッシュしたいと考えている生活者が、SNSの投稿で陶芸家の素人向けオンライン授業の映像を見かけて、集中してモノづくりをしたいという自分のニーズに合っていると感じて利用を開始しています。一人で集中して繊細な作業に打ち込むことで平常心の鍛錬に大いに役立ち、モノづくりの楽しさを久々に思い出すことができると感じています。また、心を落ち着けることが習慣化してきており、日常のリズムにメリハリがついてきたとも感じてサービスの継続利用に至っています。

 この構造を応用することで、生活者の漠然としたニーズに対して、そのニーズを満たすことのできる的確な商品やサービスを提案することで、購入や利用を促進できると考えられます。商品やサービスの提案ツールとしては、ターゲットとなる生活者が日頃からチェックしている媒体を把握して、その媒体を通して情報の訴求を行っていくことが重要だと考えられます。

 発売中の書籍『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する』では、上図の応用可能性のように顧客体験を設計してブランドが次に打つべき企画や施策のアイデアを導き出す方法を解説しています。
『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する(Web担選書)』村山幹朗(著) 芹澤 連(著)(上記をクリックすると、amazonの販売ページに移動します。)

注記
この記事は、コレクシア社が独自に行った市場調査により、顧客体験をデータとして逆引きしたもので、当該ブランドが企業として意図した戦略・施策・狙い・ターゲット等を表すものではありません。

※1 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。