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顧客体験の解説 | 家具・インテリア |
「ニトリ」から学ぶTVCM×デジタル施策事例
Digital Marketing case:05001
今回は"TVCM×デジタル施策"の事例として、"ニトリ"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、手持ちの家具とのバランスを考えつつなるべく安くいいものを買って、家計の負担を減らしたい女性(33歳)が、TVCMからの店頭でのWEB注文により、ニトリを買い続けるようになった、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「25-50万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
TVCM×デジタル施策でリピート購買を促す
今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ニトリ」を例に、TVCM×デジタル施策がリピート購買を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、TVCM×デジタル施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「TVCM×デジタル施策でリピート購買を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。
ホームセンターなどでその都度必要な家具を
購入していたので統一感が無かった。
昔は家具は必要に応じ、ホームセンターやリサイクルショップも使って必要なものを買っていたが、
これだと統一感もなく、サイズもバラバラで、あまり見栄えの良くない部屋になってしまっていた。
(33歳女性 千葉県)
大石さん 33歳(仮名)
パート・アルバイト
まず、生活者と課題を見ていきましょう。ニトリを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。大石さん(33歳女性 千葉県)は元々、「ホームセンターなどでその都度必要なカラーボックスやテーブルなどを購入していたので統一感が無かった。」という方です。自身は目指したいあり方として「家の中をすっきりと整理整頓し、小物類も含めて統一感のある部屋にしたい。」とも考えている、世帯年収400~600万円未満ほどで、パート・アルバイト、既婚の女性です。
しかし、大石さんは、「都度別々の店で必要なものを買っていると、買い替えや買い増しのたびに不便。」と話しており、この時には管理負荷、買い替え・買い増し・更新が面倒だと感じたと話しています。家計の負担を減らしつつも、安くて良いもので、統一感のある部屋で過ごしたい。と考えている状況です。
では、このような状態の大石さんに、ニトリがどのような変化をもたらしたのかを解説します。
ニトリで 成立した価値※2 |
= |
ニトリで選ぶだけで 統一感のある部屋になる |
ブランドが果たした役割
大石さんは「価格が安いので、結婚後新居の家具を揃える際、ほとんどニトリで買った。種類も多いのでいろいろ選べた。」とニトリを利用し、現在はリピート購買するに至っています。最初にニトリで購入した時は「店頭で在庫がないから販売員がオンラインショッピングを代行してくれた、店頭で見て気に入った商品が無かったのでいろいろまとめて発注してくれた。」と話しており、「TVCMの雰囲気が好きで統一感を感じた」「店頭で在庫が無くても、店員さんがオンラインで注文してくれた」という特長が「ニトリで選ぶだけで統一感のある部屋になる」という価値を大石さんに提供し、リピート購買に至ったと考えられます。
顧客体験の変化
大石さんはニトリを利用する以前、「家に帰ってチェアを置く場所を考えていたら、大き過ぎるものを買ってしまったと思った」際に、今のままでは良くないと気づかされました。その後ニトリを利用することで、「家具の色は選べるので合わせることができる。小物類も合わせて買えばサイズなどピッタリになるのでよい。家の中がスッキリして整理整頓がしやすいし、見た目もよい。」と話しており、あまり考えなくても統一感のある家をコーディネートできるようになりました。
「TVCM×デジタル施策でリピート購買を促す」の成功要因
体験価値の
市場規模
25-50万人
本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「TVCM×デジタル施策でリピート購買を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。
このストーリーでは、大石さんは元々「ホームセンターなどでその都度必要なカラーボックスやテーブルなどを購入していたので統一感が無かった。」という課題認識を持っていました。しかし、ニトリが、「TVCMとオンラインストアを提供すること」によりTVCM×デジタル施策が機能したことで、「ニトリで選ぶだけで統一感のある部屋になる」という価値が成立して、リピート購買に成功しました。また「25-50万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
応用可能性~本事例の学び
課題
様々な商品を組み合わせて利用する場合に、組み合わせを考慮する必要がある場合の課題
結果
複数の店にまたがって商品の組み合わせを考えるよりも、1か所で統一感ある組み合わせを作れることで継続利用に繋がった
今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。統一感のあるコーディネートをしたいが、複数のショップにまたがって揃えていくのは大変と考えている生活者に、1店舗(オンラインストアも含む)で統一感あるコーディネートが揃う販売体制を提供することで、「ここだけで統一感あるアイテムで全部揃えられる」と認識させられたため、継続的な利用、ファン化へとも進められたと考えられます。
この構造を応用することで、他にも「管理負担(複数のアイテムで統一感を出したいが、多くの店にまたがってアイテムをそろえることの負担)」を感じうる商品(例:総合家電メーカーがデザインの統一感がある家電シリーズを出す 等)についても適用できると考えられます。また、1店舗であらゆるコーディネートに必要なアイテムを用意できなくても、店頭でオンラインストアを使って商品を紹介し、その場で購入したり取り寄せたりするなど、店舗とオンラインを現場で連動させることで、店舗に無いアイテムも含めて「生活者にコーディネート全体を提供する」を実現することが望ましいでしょう。
注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。
※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。
「カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。
https://www.journey-navi.com/