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顧客体験の解説 | インテリアブランド |
「IKEA」から学ぶパブリシティ施策事例

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 今回は"パブリシティ施策"の事例として、"IKEA"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、なるべく不要なものを持っていたくないが、同居の家族にはあまり理解されていない女性(33歳)が、ニュース・TV番組の特集による託児サービスの認知により、IKEAのファンになった、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「5-15万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
パブリシティ施策でファン化を促す

パブリシティ
施策

×

ファン化

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「IKEA」を例に、パブリシティ施策がファン化を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、パブリシティ施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「パブリシティ施策でファン化を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

「北欧デザインの家具はお洒落で好きだけど、高いだろうし、
子どももいるのでなかなか手が出せない。」

本当は家具は統一感を出したい。なので自分は不要だと思うものを私は捨てたいけれど、必要だと思う家族がいて、失敗したと思った。自分も家族も不要と思わないものであればいいのにと思った。(33歳女性 東京都)

高橋さん 33歳(仮名)
専業主婦

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。IKEAを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。高橋さん(33歳女性 東京都)は元々、「北欧デザインの家具はお洒落で好き」ではあるものの、「高いだろうし、子どももいるのでなかなか手が出せない。」という方です。自身は目指したいあり方として、自分の部屋の掃除やベットメイキング、整理整頓などを日々の習慣にしている。また、定期的に断捨離をしているが、あくまで自分の物だけにし、家族の物には口を出さないようにしている、世帯年収1000~1200万円未満ほどで、専業主婦、既婚の女性です。

 高橋さんは現在「部屋で身の回りに置くものを安物で済ませてしまうと、こだわりも感じないし、少し使うと表面が剥がれたりしてみっともなくなる。自分の部屋に満足できなくなる」という課題を感じています。本当は「自分の部屋に帰ってきたら、心がウキウキしてテンション上がるようにしたい」と思っているものの、「子どももいるのでなかなか手が出せない」といった、人に迷惑をかけそうだと感じる等の”社会的負担”があることで、理想の状態を実現できていない状況です。

 では、このような状態の高橋さんに、IKEAがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”IKEAで成立
した価値”

※2

北欧デザインで、
自分も子どもと一緒に楽しめる部屋づくり

ブランドが果たした役割

 高橋さんは現在、託児サービスが使えて安価に北欧デザイン家具が手に入る、という理由でIKEAを利用し、現在はファンになっています。最初に利用する前は「TVの番組で託児サービスがあることを知り、元々北欧デザインの家具も好きなので見に行こうと思った」というきっかけで利用し始めたと話しており、「TV番組やニュースで取り上げられたこと」「託児サービス」という特長が、高橋さんのIKEAへの認識を「北欧デザインで自分も子どもと一緒に楽しめる部屋づくりができるブランド」へと変え、最終的にファン化に至るまでの変化を起こしたと考えられます。

顧客体験の変化

 高橋さんはIKEAを利用する以前、「自宅の部屋全体を見回した時」に今のままでは良くないと気づかされました。その後IKEAを利用することで、「値段が全体的に安いので、失敗してもいいかという軽い気持ちでショッピングを楽しめるようになった」「いろいろなインテリアに挑戦できるようになった」という体験に変化したようです。
図解

IKEAの顧客体験事例から紐解く

「パブリシティ施策でファン化を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

5-15万人

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「パブリシティ施策でファン化を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

 このストーリーでは、高橋さんは元々「北欧デザインの家具はお洒落で好きだけど、高いだろうし、子どももいるのでなかなか手が出せない。」という課題認識を持っていました。しかし、パブリシティ施策として「TV番組の紹介」「託児サービスがあること」を高橋さんが理解したことで、IKEAに対する高橋さんの認識は「北欧デザインのお値打ちの家具で、自分も子どもと一緒に楽しめる部屋づくりを実現してくれるブランドだ。」に変化しました。その結果、マーケティングの成果として高橋さんをファン化することに成功し、高橋さん自身の顧客体験も「値段が全体的に安いので、失敗してもいいか、という軽い気持ちで、いろいろなインテリアを楽しみながら買い物をするようになった。」と変化しました。同様の体験は「5-15万人」程度にも及んだと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

社会的負担

小さい子どもがいる等、人に迷惑を掛けたくないといった、来店をためらう原因がある場合

パブリシティ施策
 

結果

ニュースで取り上げられることで、宣伝よりも公に広く認められていると感じさせ、”迷惑かけずに済みそう”をより強く認識させられた。

 
 今回の事例でマーケティング施策が生活者に与えた変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。「迷惑をかけてしまいそう」と社会的負担を感じている生活者に、パブリシティ施策で託児サービスがあることを伝えたことで、広告や宣伝で伝えるよりも、より公共性が高く感じられ、迷惑かけずに済みそうと強く認識させられたと考えられます。

 この構造を応用することで、他にも「社会的負担」を考えている消費者をターゲットとしている商品やサービス(例:ママが行く化粧品売り場 等)についても、パブリシティ施策の中で「迷惑がかからない」を伝えることで、来店やファン化に導ける可能性があると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。