Collexia 
Marketing 
Casestudy

顧客体験の解説 | お酒 |「ほろよい」から学ぶ製品ラインナップ戦略事例

 
  • facebook
  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 今回は”だから買い・指名買い”の事例として、”ほろよい”の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、お酒に弱く飲み会をあまり楽しめていない女性(31歳)が、ほろよいばかりを指名買いするようになった、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「6-20万人」の顧客層に訴求できたと推定されます(※)。
「お酒を飲みすぎて食事を楽しめなくなることがある」

製品
ラインナップ

×

だから買い
指名買い

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ほろよい」を例に、製品ラインナップ戦略がだから買い・指名買いを促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、製品ラインナップ施策のどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられていったのか、そのプロセスから「製品ラインナップでだから買いを促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

お酒を飲む場自体をあまり楽しめなかった

「お酒にお弱いし、あまり銘柄にこだわってもいなかったので、おいしいと思わないまま飲んでいることが多かった」(31歳女性 福岡県)

坂井さん 31歳(仮名)
会社員

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ほろよいを利用するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。坂井さん(31歳女性 福岡県)は元々「お酒は嫌いではないですが、特にこだわりはなかったです。」という方です。自身は目指したいあり方として、自然体でリラックスした自分でありたい。とも考えている、世帯年収600~800万円未満ほどで、会社員、既婚の女性です。

 しかし、坂井さんは、「つい飲みすぎてしまい、食事の場を楽しく過ごせなくなってしまい、お酒を飲む場自体をあまり楽しめませんでした。」と話しており、お酒を飲む場を楽しめていないと感じています。では、このような状態の坂井さんに、ほろよいがどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ほろよいで成立した価値”

※2

定番の味から変わった味まで安心して飲める

ブランドが果たした役割

 現在坂井さんは、友人や家族が集まって楽しむ時間にほろよいを利用するようになっています。ほろよいを使用し始めたことで、「味が合うので定番の味は安心して飲めるし、季節商品や変わった味にも挑戦しやすい。色々な銘柄を選ぶより、ほろよいのシリーズの中で味の違いを楽しむようになった。」と話しており、その結果「お酒でちょっとした楽しみや、季節感、特別感を得る楽しみができたと思う。」という事が実現できるようになりました。

顧客体験の変化

 坂井さんはほろよいを利用する以前、「頭が痛くなったり、体調が悪くなったとき」に今のままでは良くないと気づかされ、なりたい自分を意識するきっかけになったようです。その後ほろよいを利用することで、頑張りすぎず、自然体でリラックスした感じで過ごせることを感じました。お酒で、季節感、特別感が得られるちょっとした楽しみができたと思えるようになったと話しています。
図解

ほろよいの顧客体験事例から紐解く

「ラインナップ戦略で指名買いを促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

6-20万人

本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「ラインナップ戦略で指名買いを促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

このストーリーでは、坂井さんは元々「みんなでする食事や、飲み食い自体が好きだけど、お酒に弱いからお酒を飲む場自体をあまり楽しめなかった。」という課題認識を持っていました。しかし、ほろよいが、「低アルコールでもたくさんの味のラインナップ」を提供することで、ラインナップが幅広く用意されていることが機能し、「”ほろよい”だけでお酒に弱い自分も年中いろいろな味を楽しめる」という価値が成立して、新規購入に成功しました。また「6-20万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

入手負荷

低アルコール飲料カテゴリなど、アルコール飲料カテゴリ内のサブカテゴリに位置するもの

製品ラインナップを
豊富に用意する

結果

サブカテゴリ(低アルコール飲料)のみ利用している人が、ラインナップ豊富なブランドだけを指名して購入し続けるようになった。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。アルコール飲料全般について使用負担を感じている生活者に、低アルコール飲料ブランドが豊富な味のラインナップを用意したことで、当該ブランドへの指名買いが発生し継続利用していると言えます。

 この構造を応用することで、他にもカテゴリーメインの商品ではなく、サブカテゴリだけを利用することがある消費者をターゲットとしている商品やサービス(例:ノンアルコール 等)についても、製品ラインナップ戦略で指名買いに導ける可能性があると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。