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顧客体験の解説 | ゲーム |
「ドラゴンクエストウォーク」から学ぶ
課金施策事例

 
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 今回はゲームの"課金施策"の事例として、"ドラゴンクエストウォーク"の事例を紹介します。このケーススタディで紹介する生活者は、周りの友人と協調していきたい男性(27歳)が、友人が課金しているのを見て課金への抵抗がなくなったことにより、自分もドラゴンクエストウォークに課金するに至った、という顧客体験をご紹介します。この体験価値は約「10-20万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1
 

友人の課金行動

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課金

 今回、コレクシアマーケティングケーススタディでは、「ドラゴンクエストウォーク」を例に、身近な人の課金行動によりゲーム内課金を促したという構造を持つ顧客体験を収集し、ケーススタディとしてまとめました。本稿では、ゲームのどんな側面が、どんな課題を持った生活者にどのように受け入れられ課金するに至ったのか、そのプロセスから「身近な人の課金行動の認知によりゲーム内課金を促す」施策の学びを読み解き、解説していきます。

顧客理解

レアキャラを捕まえたり、友人よりステージを先に進めたりして
自分の気分を盛り上げたい。

今話題になっているゲームなので、課金している友人と同じように自分も課金してゲームを先に進めておかなければ、友人との話題についていけなくなるかもしれない。(27歳男性 神奈川県)

青柳さん 27歳(仮名)
パート・アルバイト

 まず、生活者と課題を見ていきましょう。ドラゴンクエストウォークに課金するようになった生活者のカスタマージャーニーを紹介します。青柳さん(27歳男性 神奈川県)は元々、「周りの友人と協調していきたい。」という方です。世帯年収200~400万円未満ほどで、パート・アルバイト、独身の男性です。

 しかし、青柳さんは、「ゲームをなかなか先に進められなかったら、友人との話題についていけなくなるのではないか。」と話しており、課金している友人と同じペースでゲームを進められなかった場合、気分が落ち込む原因になるのではないかと心配しています。

 では、このような状態の青柳さんに、ドラゴンクエストウォークへの課金がどのような変化をもたらしたのかを解説します。

ブランドの役割と顧客体験の変化

”ドラゴンクエストウォークへの
課金”

※2

課金によりゲームを先に進めたり、
レベルを上げることが出来るので、
友人との話題が広がる。

ブランドが果たした役割

 青柳さんは現在、外を歩いている時や、友人がプレイしているのを見た時に一緒にゲームをする習慣が続いています。最初は「身近な友人達がプレイし始めてから興味を持ち、自分もダウンロードしてみようと思った。」「今まであった様なゲームの形式だが、ドラクエウォークは特に倒したり捕まえたりと、楽しみが多い気がする。」と話しており、ゲームが始めやすく受け入れやすい内容だったことで「友人達が課金するようになって自分も抵抗が無くなった、課金しないと先に進みにくい。」と青柳さんは判断し、ゲーム内課金に至ったと考えられます。

顧客体験の変化

 青柳さんはドラゴンクエストウォークをプレイする以前、「友人との話題についていけなくなることが、気分が落ち込む原因になっているのではないか。」と感じた体験で、今のままでは良くないと気づかされました。その後はドラゴンクエストウォークをプレイすることにより、友人の現在のプレイ状況と自分自身のプレイ状況を比較しながら、この先こうしていきたいや、あれが欲しいなど、友人との話題を広げることに役立てています。また、「レアキャラを捕まえることで気分を盛り上げたい。」「課金して友人よりも先に進めたりレベルを上げておくことで、会った時に自慢できる。」とまで感じ、課金し続けるようになりました。
図解

ドラゴンクエストウォークの顧客体験事例から紐解く

「身近な人の課金行動の認知によりゲーム内課金を促す」の成功要因

※上記図解のように生活者の行動動線とそれに紐づく心理変化を明らかにするカスタマージャーニーの使い方や創り方は
カスタマージャーニーの教科書」をご覧ください。

https://www.journey-navi.com/

体験価値の
市場規模

10-20万人

 本セクションではブランド視点で顧客体験を読み解いて、「身近な人の課金行動の認知によりゲーム内課金を促す」施策のヒントを探っていきます。今回の顧客体験から得られた学びをまとめると、上図のような構造になっていることが読み取れます。

 このストーリーでは、青柳さんは元々「友人との話題についていけなくなることが、気分が落ち込む原因になっているのではないか。」という課題認識を持っていました。しかし、ドラゴンクエストウォークをダウンロードしたことで、友人との話題も広がるようになり、友人など身近な人の課金を知ったことで課金への抵抗も無くなりました。さらに課金により「レアキャラを捕まえることで気分を盛り上げられる。友人よりも先に進めておくことで、会った時に自慢できるし、色んな人との会話のきっかけにもなる。」という価値が成立して、課金に至りました。これは「10-20万人」の顧客層に訴求できたと推定されます。※1

応用可能性~本事例の学び

課題

社会的負担

話題についていけない場合に社会的な疎外感などの損失を感じる場合の負担

課金による
ゲーム進行を補助

結果

話題についていけなくなる、という事態を回避して、ゲームを続けることが出来るようになった。

 
 今回の事例で生活者に起こった変化を構造化すると、上図のようにまとめられます。「話題についていけなくなるかも」といった社会的負担を感じる生活者に、ゲーム内課金による進行支援が対応したことで、友人との話題についていける状態を実現し、社会的な損失を感じさせずにゲームを継続させていると言えます。

 この構造を応用する前提として、そもそものゲームやサービスが十分な話題性があり、周りについていけないと話題に取り残される、置いて行かれると感じられる程度のサービスである必要があります。その上で、課金することで「周りの話題やゲーム進行に置いて行かれないようにできる」ことで、ゲームへの課金を実現できると考えられます。この構造はゲームの進行を運営により管理できる、買い切り型ではないアプリゲーム、ネットゲーム等で応用できると考えられます。

注記
※1 体験価値の規模推定値は、市場調査結果(n=3000)データと人口統計データより、調査データ内の”同じ商品を購入した消費者”かつ、”本稿で紹介した消費者と類似のインサイトを持っている人”の規模から計算しています。

※2 消費者が実際に認識した価値です。企業やブランドが、当初狙って生みだそうとした価値とは異なる場合があります。